育児に悩みはつきもの。まして、海外での育児では「バイリンガル環境」という要素まで加わり、不安や疑問は増すばかり。ここでは、バイリンガル児の言語発達にまつわる誤解について説明します。
誤解1 「海外で生活している子供は、自然にバイリンガルになる」
アメリカに住んでいるからといって自然にバイリンガルになるわけではありません。バイリンガルになるには、両言語の豊かな言語刺激が必要です。具体的には、正しい言語モデルを示す、多くの語彙に触れる機会を持つ、子供自身が各言語を使う意義を理解できるようにする、などといった心掛けが大切です。
誤解2 「バイリンガル児は言語発達が遅れがちだが成長と共に追いつく」
数々の研究により、適切な言語環境にいるバイリンガル児の言葉は、モノリンガル児と同じペースで発達していくことがわかっています。ですから、同年齢の子供よりも言葉が遅れていることに気付いた場合、できるだけ早く対応することが大切です。
誤解3 「言語発達に遅れがある場合、バイリンガル育児はあきらめたほうがよい」
乳児期に喃語(意味のある言葉を発する前の段階の「あーあー」「ぶーぶー」といった発声)を発しない、1歳になっても有意味語を言わない、20カ月までに語彙が20語以下、2歳までに2語文を言わない、など言語発達に遅れがある場合は、言語的負担を軽減するためにひとつの言語に絞って育児をしたほうが良いのかと悩まれる方も多いでしょう。しかし、親にとって最も話しやすい言葉(母国語)で子供に話し掛けることは、子供の言語力だけでなく、安定した情緒、言葉を使って考える力や学習する力を高めることにつながります。もし子供に言語発達の遅れがあるとしても、ぜひそれぞれの母国語で豊かな言語刺激を与え続けてあげてください。
以上、バイリンガル育児にありがちな誤解について説明しました。正しい知識をもってバイリンガル育児を楽しんでいきましょう。
話/スピーチ・パソロジスト 鈴木美佐子さん
日米両国で臨床経験をもつスピーチパソロジスト。現在、ウィルソンビルにて言語発達相談や子供向けのスピーチセラピーを行うほか、遠隔地の方を対象にビデオ通話によるセラピーも行っている。
■Misako Suzuki, MA, CCC-SLP / Suzuki Speech Therapy LLC

503-925-4507
www.suzukispeechtherapy.com