* 紀伊国屋シアトル店/ポートランド店にて「私の一冊」フェア開催中(2月末まで延長!) 次のページ »
小説
『1973 年のピンボール』村上春樹
村上春樹2作目の長編小説。双子の女の子と共同生活を始める僕と、友 人鼠の物語。同小説の英訳は、講談社が日本を中心に販売しているのみ。
勤務している高校には大阪の高校との交換留学制度があり、 私の家に先生方が泊まることもあれば、私が生徒を引率して 大阪へ行くこともあります。昨年の夏、大阪で私のホストだっ た先生が、 毎朝学校で読む本として、この本の英語版を渡し てくれたのです。とてもわかりやすく訳されており、各キャラ クターの行動は奇妙ながらも、すんなりと共感することがで きました。また、とても内省的な内容なので、いくつかのシチュ エーションに自分自身を重ねました。2週間の滞在中に、読み 終わることができなかったのですが、幸い、ギフトとして頂き、 シアトルへ帰る飛行機で読み終わりました。この本は、昨年の 夏の大阪のシンボルのような本です。
Sakura-Con チェアマン  クリストファー・M・B・ ラウクさん
Sakura-Con チェアマン
クリストファー・M・B・ ラウクさん
ケント学区の高校教師。中学時代より、日本人の友人の影響で、日本のアニメ、漫画、ゲームにのめり込む。02年よりSakura-Conを主宰するANCEAに参加。


末吉陽子さん
ともしび文庫をみんなで続けようプロジェクト代表 末吉陽子さん
大阪府出身。 関西テレビ放送でスポーツ中継や取材を担当し、98年に夫の仕事の都合により渡米。趣味はスポーツ観戦、子どもに関わ ること、読書。
『にぎやかな天地』宮本 輝
書籍『日本の優れた発酵食品』の編集者が、ぬか漬、かつお節、しょうゆ などを取材し、発酵の神秘のとりこになる様と、周囲の人間関係を描く。
05年、主人の日本土産で読みました。「待つことで生まれるも の」「時間だけが作り出せるもの」について再認識し、目に見え ない微生物を慈しんできた日本食文化が日本人気質を育ん だのだと思いました。また、発酵食品とともにこの本の横糸を 織り成している『日本の優れた発酵食品』という豪華装丁本 についての描写もそれらを一度でいいから手にしてみたいと 思わせるもので印象的でした。いつか子どもたちにも読んで 欲しいと思うとともに、日々忙しく過ごしている全ての人にす すめます。食べ物も人の心も、時間にしか生み出せないもの があることを伝えてくれる一冊です。


『モモ』ミヒャエル・エンデ
「時間貯蓄銀行」と称する灰色の男たちが人々の時間を盗み、心の余裕 も奪ってしまう。不思議な力を持つモモが、人々の時間を取り戻す。
小学校3年生の時に初めて読んで以来、懐かしくなると読み 返しています。幼い頃はただ純粋にモモの冒険にわくわくし ましたが、大人になってからは、忙しさに追われて生きる喜び を忘れてしまった現代人への注意喚起、または作者が意図し ていたような現代の経済システムへの疑問提示といった、い ろいろな読み方でも楽しめる1冊となりました。70年代に書 かれたものであるにも関わらず、古臭さを感じさせないのは、 やはりこの物語が大切なことを訴えかけているからでしょう。 数十年にわたる人生で何度も楽しめる物語はそう多くないも の。息子が小学生になったら、一緒に読みたいと思います。
ジャングルシティ創設者  大野拓未さん
ジャングルシティ創設者
大野拓未さん
Junglecity.com創 業者。オーストラリアでの高校留学後、90年に シアトルへ。シアトル大学・大学院で経済学を専攻し、自転車業界を経て、98年に起業。


ジュエリーデザイナー
中村奈美子さん
ジュエリーデザイナー
中村奈美子さん
青森県生まれ。東京で服飾レースのパターンデザイナーを経て、01年に渡米。ジュエリーブランドNamiko Abloomを立ち上げ、シアトルを中心に活動中。
『天翔る』(あまかける)村山由佳
北海道とカリフォルニアを舞台に、心に傷を負った少女が過酷な乗馬耐久競技に挑戦する。さまざまな出会いを通して、命の輝きを描く。
辛い時、励まされた一冊。昨年出版された本なのですが、もう2度ほど読み返しました。繊細で無垢な馬という動物を通じて、生き物全てに訪れる生と死。そして、今日を無事に暮らせることの奇跡や挑むことへの大切さを改めて感じる場面がいくつもあります。読んだ後、作品の世界観に背中を大きく押されたような、もう少し自分も前進出来るんじゃないかというような不思議な勇気をもらえる本です。作中には、まるで宝石のようにキラリと光る格言のような台詞が散りばめられていて、読むたびに、新たな発見があります。新たな自分や環境に挑戦している方にすすめたいです。


『ジャン・クリストフ』ロマン・ロラン著/豊島与志雄訳
天才音楽家の生涯を通し、19世紀後半から20世紀初頭の欧州社会を描く。ロランは、本書を書いた後、ノーベル・文学賞を受賞した。
私が本書を読んだのは、日本が高度成長期だった高3の秋。将来の可能性も時間もほぼ無限と思っていた。本書はベートーベンがモデルとされる天才芸術家の波乱万丈な心の旅路を描いている。主人公ジャンは近代欧州でのお金、名声、成功、という虚飾な価値観のほぼ真逆を貫いて生きる。これはむしろ現代への問いかけだ!それは「魂の根源」、「心の自由」を私に気づかせてくれた。その後、大学時代、商社時代、渡米後など人生の節目ごとにこの本を開き、その都度深く読め、読むたび心の糧となってきた。米北西部のネイチャーガイドという未開地を行く私に「新しい日に心の底からわく力を信じよ」「悩め、苦しめ、それでも前へ進め」といつも励ましてくれている。
エコキャラバン隊長  小杉礼一郎さん
エコキャラバン隊長
小杉礼一郎さん
88年よりオレゴン州在住。アメリカ北西部の自然を紹介するエコ・キャラバンを主宰している。本誌で『ノースウエスト自然探訪』を連載中。


*情報は2014年2月時点のものです