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| キャラバン#85 自然世界「南オレゴン」の蠱惑(こわく)※(3) 樹上ホテル | |||||||||||||
| ※蠱惑=人の心を引きつけ、惑わすこと | |||||||||||||
| カリフォルニア州境近くにユニークな宿がある ……が、そこに泊まることは体験のほんのひとつにすぎない 写真を中心に森の中のはじける遊び心を紹介しよう |
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▲森と渾然一体になったOut 'n' About。正面がロビー&オフィス。ここを中心に森の中に現在12室(2〜6名部屋)の部屋(ツリーハウス)が建っている。宿泊は、基本料金2〜4名$120〜$250の範囲。各部屋を見学するミニ・ツアーも週3回実施(大人$5、子供$2.50)。実際に部屋を見てしまうとムラムラと泊まりたくなり「おとうさん、泊まろうよ! ねえ、泊まろうよ!」という展開になる(なお、諸料金は2009年夏現在のもの。最新の情報はOut 'n' Aboutのサイト参照のこと)
Out‘n’About緑豊かなノースウエストでは、民家の庭にツリーハウスを見掛けることがある(そしてそれは、隊長の家にもある)。またも映画「Stand by Me」を引き合いに出すが、映画の冒頭で12歳の少年達が集まってくる、あの樹の上の小屋だ。子供の遊び場とあなどるなかれ。そこは日常生活を離れ、ちょっと隠れ家※1のような、人間の遊び心が発露する場所と言える。 南オレゴンのタキルマ(Takilma)という森の中で、この「子供の遊び」をとことん追求しているグループがいる。彼らはツリーハウス作りの技を極め、1996年夏、この地に世界初のツリーハウス作りの学校“Treehouse Institute”を発足。そのノウハウをワークショップの形で世界へ情報発信してきた。さらにこれまでに作った18棟の小屋を樹上ホテルとして運営。正式名称をOut‘n’About Treehouse Treesort LLC(以下Out‘n’About)と言う。……が、そこまでの道のりはとても険しかった。 パブリックの宿泊施設として営業許可を得るまで、管轄するジョセフィン郡を相手に、実に8年にわたって戦ってきた。数回に及び(当初の)ツリーハウス賃貸サービスを差し止められたり、ひとつのツリーハウスは取り壊し命令さえ受け、法廷の場でも争った。しかし彼らはオレゴニアン、筋金入りのリベラルだった。苦労を重ねつつも自分達の遊びを極め尽くし、ついに夢を実現してしまう。 現在のOut‘n’Aboutの活動は、ツリーハウス、木登り、“Zip Line”※2を始め、多岐にわたっている。そのコアはいつまでも「木と遊ぶこと」にある(Information参照)。
木の魅力を五感で楽しむツリーハウスを訪れる、泊まる、ワークショップに参加する、自宅の木に造ってみる……私達の人生でそれらができる時間は、実は極めて短いと思う。この記事を読んで興味を持った人は、Out‘n’Aboutのドアをノックすると良い。ここのドアに、鍵はない。入れば木の魅力があなたの五感に語り掛けてくるだろう。鳥のさえずり、風のさざめき、葉のそよぎ、木洩れ陽、森の霊気、木肌にしかない感触、木の軋む音、微妙な振動、風で揺れる部屋……。 ツリーハウスが最後に教えてくれることは、樹の成長に従って数年〜十数年の内に、それが「朽ちること」かもしれない。その意味は深いが、できれば現代の子供達にそういう体験を共有して欲しいと隊長は願っている。
※1隠れ家:英語ではHide Awayという言い方やEscape=隠遁(?)という言葉もある。いずれにせよ、心が日常生活から離れることが大事で、携帯電話、テレビ、インターネットなどは「興醒め」「ぶち壊し」の元凶。あって良いのはお気に入りの本と音楽くらいか。
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