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サーモン・フィッシング

ノースウエストでアウトドア

スノホミッシュ川でサーモン・フィッシング

気が付けば10月も半ば。そろそろ川に鮭がも戻って来る時期だ。釣り好きの知人は他の釣り仲間から入ってくる最新の情報を聞いては、いつ、どのポイントで何の仕掛けを使って釣るか、胸をわくわくさせながら計画を練って毎日を過ごしているという。そこで今回、その知人にお願いして、ノースウエストでの秋の醍醐味、サーモン・フィッシングをするため、エベレットにあるスノホミッシュ川に連れて行ってもらうこととなった。

ワシントン州にて釣りをするにあたって、まず必要なのがフィッシング・ライセンス。これはワシントン・デパートメント・オブ・フィッシュ・アンド・ワイルドライフ(WDFW)が発行するライセンスで、すべての釣り人は、州が定めたルールに基づいて釣りをすることとなる。このおかげで、国内でも有数の漁場といわれるこのワシントン州内で、魚介類を乱獲から守るのだそうだ。ライセンスは1年ごとに更新し、毎期末ごとにキャッチ・レコード・カードと呼ばれる書類をWDFWへ返信する。ちなみに、本年度の期間は2003年4月1日から2004年3月31日まで。種類は淡水用、海水用、貝/イカ用、コンビネーション、2日間用の5種類があり、WDFWのウェブサイト、または釣具店、フレッド・マイヤーKマートなどの大手スーパーマーケットにて購入可能だ。ライセンスの料金は、年齢やワシントン在住者か否かなどで変化する。

さて、眠い目をこすりながら、朝6時に集合し、いざスノホミッシュ川へと向かう。深い霧のため、目的のスポットを通り過ぎてしまうというハプニングはあったものの、無事に到着。しかし、日の出前で、まだ真っ暗にもかかわらず、すでにスノホミッシュ川のあちこちに釣り人達が集まり始めていた。今回の狙いは、サーモンはサーモンでも「コーホー・サーモン(Coho Salmon)」。別名はシルバー・サーモンと言い、腹部の眩しいほどに輝く銀色が特徴で、脂がのり、料理にとても向いている。週末に家族をほったらかしにして釣りに出掛けても、これさえ釣れれば、家に帰って家族を喜ばせることができるという、まさに魚の鏡のようなサーモンなのだ。この時期、コーホー・サーモン以外にも、体に緑と紫の縦のラインが入るチャム・サーモンや、背中にラクダのようなコブ(ハンプ)が付いているピンク・サーモン(通称:ハンピー)なども釣れる。

川では、鮭が至るところで飛び跳ねている。1メートル以上にもなる姿を現しては、水面にお腹を打ち付け、大きな音を上げるのだ。「あの下に網を置けたら、簡単にキャッチできるのに……」などと、ふらちな考えを起こしながら、なかなか釣れない時間を過ごしていると、ついに知人の竿にヒット!「ビュー」っと大きな音を立てながらリールから糸が引っ張られていき、みるみる残りの糸が少なくなっていく。姿は見えないが間違いなくサーモンだ。無理矢理に糸を巻き取るとサーモンほどの大物では簡単に糸を切ってしまうので、サーモンが糸を引っ張るときは引っ張らせ、糸にたるみが出た時に巻き上げ、サーモンが疲れるのを待って釣り上げなければならない。格闘を繰り返すこと約10分、ようやく水面に大きな姿を現したサーモンを用意していたネットですくう。周りの釣り人の注目を浴びながら釣り上げたサーモンは、ずっしりと重い9パウンドのチャム・サーモン。それを上機嫌で持ち上げる知人。

エベレット付近のスノホミッシュ川は河口に近いため、潮の満ち引きにより、川の流れが逆流する。水量が少ない干潮の時間帯を狙って行ったため、水際の先ほどまで水面下だったところは、かなり足場が悪い。スニーカーを履いて行くと滑りやすく、泥に足を取られるので、トレッキング用などの作りのしっかりしたブーツか、濡れても大丈夫な長靴などを準備するのがおすすめだ。その他、服装について注意すべきところは防寒対策。この日はそれほど寒くはならなかったものの、霧が濃かったため服が濡れてしまった。できれば動きやすく、防水や防寒の機能があるゴア・テックス素材のジャンバーなどを着るといいだろう。釣りには様々な道具を使うので、ポケットが多い服も便利だ。

この日は結局、狙いのシルバー・サーモンは釣れなかったものの、知人の釣ったチャム・サーモンはスモークするには最高の魚。「今度はイクラのいっぱい入ったサーモンを狙うぞ!」などと、新たな目標もできた。寒くなりつつあるこの季節を熱く乗り切るサーモン・フィッシング、ぜひトライしてほしい。

(2003年10月 文・石橋知典)

川には釣りボート
川には釣りを楽しむボートが行き来する
待望のサーモンをヒット
待望のサーモンをヒット!

見事に捕らえたチャム・サーモン
見事に捕らえたチャム・サーモン

■ワシントン・デパートメント・オブ・フィッシュ・アンド・ワイルドライフ(WDFW)
コンタクト・インフォメーション

オリンピア・メイン・オフィス:360-902-2200
ウェブサイト:https://wdfw.wa.gov/
料金一覧:https://fishhunt.dfw.wa.gov/#/application/help?tab=3&subTab=-1
ライセンス販売店一覧:https://wdfw.wa.gov/licenses/dealers

ワシントン州サーモン・フィッシング(フレッシュ・ウォーター)のルール

サーモンは2匹までは生のまま持ち帰ることができる。このほかに、切り身などに加工したり、冷凍したりすることによって、40パウンドまでなら持ち帰りもOK。ただし、サーモンの種類によって、その量は制限される。アトランティック・サーモンは、サイズや時期に関係なく持ち帰ることはできない。
※その他、それぞれの川やエリアによって、制限があるのでルール・ブックを参照。

■サーモンの種類
回遊期産卵期
  
コーホー・サーモン
銀色の体に背中と尾びれ上半分にある斑点が特徴。産卵期になるとお腹が銀色からピンク色に変わる。上あごがフックのように曲がり、大きな歯があるのも特徴。
チャム・サーモン
斑点のない体と白い口周り、尾びれに入った銀色の色素が特徴。産卵期が近づくと、お腹にチャム最大の特徴である緑と紫の縦縞模様が出る。
ピンク・サーモン
大きめの背中の斑点と丸みのある尾びれが特徴。産卵期になると背中にラクダのようなコブができる。
チヌック・サーモン
大きな背中の斑点と黒い口周りが特徴。産卵期には黒みがかった色になる。サイズはかなり大きくなる。
ソッケイ・サーモン
斑点がなく、口周りの白さが特徴で、尾びれに銀色の色素がないのがチャム・サーモンとの違い。繁殖期になると頭以外すべてが真っ赤に変色する。