シアトルの生活情報&おすすめ観光情報

「Inside Passage Tour」隊長の夢の旅(2)

アメリカ・ノースウエスト自然探訪
2013年05月号掲載 | 文・写真/小杉礼一郎

「クルーズ船とは違うインサイド・パセージの旅を創りたい」ずっとそう思ってきた隊長。
今回の記事が活字となる5月の初旬から、50日間のロングキャラバンに出る

アラスカ州営のフェリーを乗り継いでインサイド・パセージを旅する
▲アラスカ州営のフェリーを乗り継いでインサイド・パセージを旅する。この船に、約700人の乗客と約90台の車が乗る

9年越しの願い

2004年の秋、アラスカからオレゴンへ戻る時に海路東南アラスカを通った隊長は、一撃で魅了された。

1年後の当連載記事「水の回廊インサイド・パセージ」でこう書いている。

「クルーズ船とは違うインサイド・パセージの旅を創りたい」。旅から戻ったら会う人ごとにそんな話をした。…初夏のインサイド・パセージの旅ができたら、水の回廊キャラバンの続報を書くつもりだ。これが2006年の隊長の夢である。

だが、06年には間に合わず、07年も08年も日本の旅行社に企画を持ち込み、興味を示す人があれば話してきたが実現しなかった。09年も10年も11年も企画するが惜しくも催行には至らず…。

しかし昨秋、半月間一緒に米北西部をキャラバンした、あるグループの人たちに出会った。その際ことあるごとに「インサイド・パセージの旅がいかに魅力あふれるか」を隊長は熱っぽく話した。そしてサブリミナル効果か洗脳か、そのグループの中から、この初夏に隊長とインサイド・パセージに行きたいという人が現れたのである。

よく聞く陳腐な言い草の「強く想い続ければ、夢はきっとかなう」ことが実際に起きると隊長は知った。

これはおそらく、半分は人生でも千載一遇の、半分は運命的な機会なのだろう。これまでの隊長の北西部でのエコキャラバンの経験と知識と智慧のありったけを注いで、このインサイド・パセージの旅をいい旅にしようと思っている。皆さんがこの記事を読んでいる今がまさに、隊長は喜び勇んで旅をしている真っ最中だ。

旅のあらまし

通常、クルーズ船で行くインサイド・パセージは、5日から1週間の旅程で表面をなぞるだけだが、隊長と行くそれには、プロローグもエピローグもある。何しろ50日間の旅程だ。

北米大陸の地図を見ればわかるが、米西岸の水の回廊の最南端は、ワシントン州のタムウォーターであり、最北端はアラスカ州のスキャグウェイだ。その約2千キロの間には、ピュージェット湾から始まる美しい内海も、荒々しい北太平洋の外海もある。

そこには、深い緑の雨林に覆われた大小無数の島々、幾筋もの海峡、入り江、半島、海に流れ込む氷河がちりばめられている。

その海と森の中には、たくさんの生き物がいる。私たちは少人数で車とフェリーと足を使ってゆっくり、ゆっくりと北上するのだ。

フェリーで島から島へ渡り、船を降り、車で道の果てるところまで行く。その先の自然の中を歩き、島に泊まり、地元の人たちと話をする。

そうやって時に高みから、時に水辺から、水の回廊の最南端から最北端までをつぶさに見て歩こうと思う。

旅のハイライトには何を挙げたらいいか困る。

広大無辺なミスティ・フィヨルドの温帯雨林。世界遺産、グレイシャー・ベイの海に流れ入る巨大氷河。ノルウェー文化が息づくピーターズバーグで毎年5月中旬に開催されるリトル・ノルウェー・フェスティバル。静かで美しいシトカ、へインズの街での安息の日々。スキャグウェイからはゴールドラッシュの跡を辿り、アラスカ・ハイウェイを通り、ユーコン河を渡り、ブルックス山脈を越える。

そして北極圏に入り、北米大陸の果ての北極海まで足を延ばすのだ。

同時報告します

06年の約束通り、旅から戻ったら隊長はこの旅の報告記事を書く心積もりだ。ただし50日間ものロングキャラバンで行くアラスカ各地を紹介するには、到底誌面が足りないことは目に見えている。
 
幸いこの数年のインターネットの進化は目覚ましく、これを活用しない手はない。今回の旅では、ダイアリー代わりに日々、旅の途上で撮った写真とコメントをFacebookとウェブサイト上にアップしようと考えている。
 
ご興味のある方は、道中の景色と旅の様子をご覧いただきたい。

www.facebook.com/ecocaravan
www.ecocaravan.wordpress.com

ワシントン州の州都オリンピア
▲ワシントン州の州都オリンピア。州議会議事堂直下の水面から水の回廊が始まる
シアトルとバンクーバーを発着港として延べ百数十隻の2000~4000人乗りのクルーズ船が、アラスカのインサイド・パセージを訪れる
▲夏期、シアトルとバンクーバーを発着港として延べ百数十隻の2000~4000人乗りのクルーズ船が、アラスカのインサイド・パセージを訪れる
アラスカの州都ジュノー
▲アラスカの州都ジュノーは、クルーズ船の発着の重要な拠点港となっている
北緯70度プルドーベイ
▲今回の旅で最北端の目的地、北緯70度プルドーベイ。左側の海は北極海。海岸の建物は石油採掘現場の建物


アラスカの原野
▲アラスカの原野は未舗装路が延々と続く。標準タイヤを2本積んでのロングドライブ
アラスカ州営フェリーの最南端の港ベーリングハム
▲アラスカ州営フェリー(Alaska Marine Highway)の最南端の港ベーリングハム(Bellingham)。ここからフェリーに乗り北へ向かう

Information

アラスカ州営フェリー
アラスカ州営フェリーのウェブサイト。
総延長3500マイルに及ぶ営業航路のすべての
情報が得られる
www.dot.state.ak.us/amhs/index.shtml

■「水の回廊インサイド・パセージ」
『ゆうマガ』06年1月号掲載記事
www.youmaga.com/odekake/eco/2006_1.php

■グレイシャーベイ国立公園
79年に世界遺産に指定された国立公園局の
公式ウェブサイト www.nps.gov/glba/index.htm
■アラスカ観光協会ウェブサイト
アラスカの地域情報やトラベルガイドが掲載
された日本語ウェブサイト
www.travelalaska.jp

(2013年5月)

Reiichiro Kosugi
54年、富山県生まれ。学生時代から世界中の山に登り、77年には日本山岳協会K2登山隊に参加。商社勤務を経て88年よりオレゴン州在住。アメリカ北西部の自然を紹介する「エコ・キャラバン」を主宰。国立公園や自然公園のエコ・ツアーや、トレイル・ウォーク、キャンプを基本とするネイチャー・ツアーを提唱する。