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長谷川投手とシアトル・マリナーズ

※このページは、シアトル・マリナーズに在籍した長谷川投手ついて、在籍当時に作成・掲載された記事を基に再構成したものです。

■2003年5月号

ドキドキ初めての記者体験 プレス席&クラブハウス・レポート

取材・文、村井みどり

本職のスポーツ・ライターではないけれど、ひょんなことから今シーズン、マリナーズ・レポートを担当することになった私。マリナーズ・ファン歴は7年。家族全員が熱狂的な野球ファンで、メジャーリーグのことならまかせて!と言いたいところだけど、“ファン”だけではやっていけないのがこの職業。記者として初出陣が決まると、我がステップ・サン達は「じゃ、キャミーにサインもらって来てよ!」、「ブーンの写真撮って来て!」と大はしゃぎしたが、これは記者にとって御法度。サインをねだったり、カメラをクラブハウスに持ち込んだりしたらプレス・パスを取り上げられてしまうのだ。あらためて記者の行動規制を読み返し、いざセイフコ・フィールドへ。記者デビューは4月27日のデトロイト・タイガース戦だ。

試合開始が1時なので、10時半には球場入りした私。記者に必要なプレス・カードは媒体によって数種類あるのだが、緑色の私のパスはフィールド、プレス席、プレス用ダイニング・ルーム、サービス・トンネル、クラブハウスなど、ほぼ全域にアクセス可能。思わずニンマリ。

プレス席はバックネット裏側のテラス・クラブレベル(2階)、ピッチャーをほぼ真正面から見られる所にある。ドキドキしながら部屋に入ったが、誰もいなくて拍子抜け。普段なら選手のバッティング練習が始まっている時間だが、ナイター明けのデイ・ゲームのため、プレスも選手も遅出の様子だ。プレス席の1、2列目はデイリー・レポーターの席なので、単発取材の私は遠慮気味に3列目に陣取った。

さて、YOUMAGA編集者に「落ち着いたらバッティング練習の様子を見て、できれば選手のインタビューを取ってこい!」と命令されて来たが、30分たってもフィールドに選手の姿はない。イチロー?と思われる選手がランニングしているだけで、あとは整備に大忙しのグラウンド・クルーだけ。そこで、私はプレス・ルーム探検に出かけることに。

じつはプレス席にはダイニング・ルームが付いている。$10で食べ放題ということもあり、試合前は常連の記者で一杯。「6回が終わるとホットドックがタダになる」という情報を仕入れ、ケチな私はそれを待つことにしたが、メニューはチェック。そこには朝食の用意がしてあり、スクランブル・エッグ、ソーセージ、マフィンなど、かなり豊富なメニューだった。

その後、プレス席に戻って気が付いた。日本人記者は観客席から見て右側に座ることになっていて、それを知らない私はアメリカ人記者席に陣取っていたことに! しかし、おかげで日米両国の記者をじっくり観察することができた。

まず、記者に共通する7つ道具は、ラップトップ、携帯電話、スコアブック、メモ帳、カラー・ペン、テープ・レコーダー、各チームの統計ブック。デスクには電話も設置してあり、インターネットの速報を担当している人などは、試合状況を電話で伝えている人もいた。不思議だったのは、日本人記者がみんなスコアブック用の修正液を持っているのに対し、アメリカ人記者は誰も持ってないこと。几帳面な国民性だからか? 一方、アメリカ人の記者は、仕事をしながら食べ放題のマフィンやクッキーをむしゃむしゃ食べていた。大食いの国民性だからか? なんだか笑えた。

そんなこんなしているうちに、試合は4対3でマリナーズが勝利。試合終了とともに、記者は先を争うようにしてクラブハウス(ロッカールーム)がある1階へ。インタビュー・ルームで監督の話を聞くのである。みんなテープ・レコーダーを回しつつメモを取っているが(当たり前?)、実際に質問をしているのはテレビの「Fox Sports Net」やラジオの「KOMO 1000」の人。とてもじゃないが私みたいな新人記者が質問できる雰囲気ではない。

そのムードに圧倒されつつ、次はいよいよ期待のクラブハウスへ。高校の野球部の部室をイメージしていた私はびっくり! 部屋はかなり広く、各選手のスペースなんてアパートのウォークイン・クローゼットのようだ。また、中にいる選手の様子にも仰天、驚愕! 噂には聞いていたが、本当に選手達はスッポン○○で歩いているのである!……ということで、この続きは次回。まだインタビューは取れないと思うので(情けないけど)クラブハウス・レポートをお届けします。

 

■2003年6月号

禁断のクラブハウス・レポート2

取材・文、村井みどり

前回に引き続き、マリナーズのクラブハウス(ロッカールーム)の様子をお届けします。

テレビのインタビュー・シーンなどで見たことがあるかもしれないけど、選手ひとり分のロッカー・スペースは幅1.5m×縦3mほど。上半分にはユニフォーム等がハンガーに掛かっていて、真ん中は小さな引き出し、下1/3は靴箱になっている。ロッカーの順番は背番号や打順とは関係なくアトランダムになっている様子。イチローはさすがスター選手だけあってロッカーふたつ分を独占! だから彼の周りはとても広々。日本人記者陣がどどっと彼を取り囲んでも、他の選手の邪魔にならないようになっている。ちなみに、彼の左隣はマイク・キャメロン中堅手、右隣は今シーズン怪我でチームを離れているノーム・チャールトン投手のロッカーだ。

イチローは昨年まで取材陣の数が多かったため、代表者のひとりが質問をまとめて試合後にインタビューしていたらしいが、今年はニューヨーク・ヤンキーズの松井フィーバーで記者の数が激減。そのため、今年は記者の囲みインタビューがOKになった。ただし、「質問のある記者だけ」とのことなので、質問が思い浮かばない私は今回しぶしぶ断念。聞きたいことは山ほどあるのだが、天下のイチローに直接質問するには準備&度胸不足だし、当然だが野球以外の質問は一切NG。ということで、タオルを肩に、記者陣に背を向け椅子に座って話しているイチローを横目に、再びクラブハウス内見学。

イチローから左に3つ目のロッカーは“Shiggy”こと長谷川滋利投手。一方、大魔神・佐々木主浩投手のは長谷川のほぼ向かい側にあって、彼もイチローと同じく2つ分のロッカーを使用。佐々木の隣は通訳のアレン・ターナー氏とブレット・ブーン二塁手だ。他の記者の行動とは裏腹に、「誕生したばかりの赤ちゃんの写真が貼ってある!」「あのかわいい男の子は誰の子供?(選手の子供はクラブハウスに入れるらしい)」などと、キョロキョロしながら徘徊する私の視野を横切るのは、裸の男達(選手達)だ。

ちなみに、みんながみんなフル○ンでうろうろしているわけじゃなく、シャワー室から腰にタオルを巻いて出てきた後、着替える時にそのタオルをパラッと取るという感じ。見せたがりの人もいるけど、記者陣がクラブハウスに入る前に着替えを済ませてしまうシャイな選手もいて、人それぞれ。怪我した箇所をアイシングしたり、携帯で話したりしながら、帰り支度をしている。

仕事をしに来てるんだから、と見ないようにしてもついつい選手の裸に目がいってしまうのは人の常(女心?)。今年他球団からチームに加わったA選手の足の細さに目を疑い(私より絶対細い)、若手野手のB選手のタトゥーだらけの上半身にびっくり仰天! 鍛え抜かれた美しい体の持ち主がいる一方、30代のベテラン選手の中にはお腹がちょこっと出ている人もいて、意味なく安堵。

そんな感じでキョロキョロしてたら、な、なんと。チームNo.1の筋肉マン、ブレッド・ブーン選手がパンツをたくし上げてTバック風にし、おしり丸出しでつかつかっと私の方に近寄ってくるではないか! 目のやり場に困ってあわてて下を向くが、時すでに遅し。私を指さして、からかうように笑うブーン選手。いい歳こいて、思わず赤面してしまった。

目の保養にはなったけど、これから野球記者としてやっていくのにこんなんじゃまずい!選手の裸なんかに動じず、きびきびと仕事をこなす女性記者を見習わねば! と心に誓う私。とはいえ、今までテレビの画面を通して(もしくは球場で)見ていた選手達を間近に目にするばかりか、素顔ならぬ“素体”まで目にするのだから、当分は慣れないかも(笑)。

というわけで、今後は心身共に鍛えて、次回までにはレギュラー選手に突撃インタビューする予定です。どうぞ、お楽しみに!(なんて予告しちゃっていいのか……)。

 

■2003年7月号

ジョン・オルルド選手に直撃インタビュー!

取材・文、村井みどり

前回のレポートで、大胆にも「次回はレギュラー選手にインタビューします!」と予告してしまった私。ターゲットに選んだのは今季絶好調の中継ぎ投手、長谷川滋利選手。彼の著書『メジャーリーグで覚えた僕の英語勉強法』を読んで大いに同感して以来、ぜひ話を聞いてみたいと思っていたのだ。で、質問を用意し、勇み足で6月14日のアトランタ・ブレーブス戦に出陣したのだが、そこには苦難の道が……。

試合前に長谷川選手を探してクラブハウスを何度もチェックするが、見つけることができず、こうなったら試合後にアタックだ! とひとまずプレス席へ。そして試合終了後、再びクラブハウスに猛進するが、この試合で出番がなかった長谷川選手は、プレスがクラブハウスに入る前に帰ってしまっていたのであった。ガックリ気落ちして、泣きそうになるが仕方がない。

今回悟ったのは、選手に“その日の試合について”などの簡単な質問はできるが、すこし長めのインタビューは選手の都合もあるので突然は難しい、ということ。この状況はかなりやばい! なぜなら、私はホームゲーム中に1回しかプレス・パスがもらえない身。月末のサンディエゴ・パドレス戦でインタビューが取れなかったら、このレポートではインタビュー失敗報告をしなくちゃならないし、ゆうマガの編集者にも合わせる顔がないではないか!。

しかし、めげていてもしょうがないので気を取り直し、次のパドレス戦で確実にインタビューをとるべく準備を開始。長谷川選手がダメだった場合に備え、他の選手への質問も用意。そして、ベテランの日本人記者に独占インタビューをする秘訣も聞いてみた。曰く、長めのインタビューはクラブハウスがオープンするのと同時に行うのがベストとのこと。よっしゃ!っと、当日は試合開始の4時間前に球場入り。クラブハウスが開くのを待って長谷川選手を探すが……どこにも見あたらない。しかも、この日に限ってマリナーズはいつもより早めに練習を開始したので、クラブハウスは空っぽ状態。諦めきれず、グラウンドで練習が終わるのを待ち、勇気を振り絞って長谷川選手に話しかけてみた。
「あのー、地元新聞のものですが、ちょっとお時間いただけますか?」
「今日はこれから予定があるから、また明日にでも」と爽やかに立ち去ってしまった長谷川選手。

えーっ、そんなことおっしゃっても私には明日がないんです~。一瞬目の前が真っ暗になり、脳裏にはインタビューが取れずに編集者に必死に言い訳する私がちらつく。後がない私は、よろよろとしながらも辺りを見渡し、こうなったらダメもと!と、グラウンドから戻ってきたジョン・オルルド一塁手に声をかけてみた。 「Excuse me, Mr. Olerud. May I ask you a few questions?」

すると、なんとまあ、「Sure!」と言ってくれたではないか! 感謝感激しつつボイス・レコーダーを準備。実は私、彼の大ファンなのである。物静かで目立たないが、毎年のように3割台を打ち、守備でもゴールドグラブ賞を2回受賞。そして、飾らない人柄の持ち主でもある。うれしいやら緊張するやらで、明らかに声がふるえている私に対し、丁寧に質問に答えてくれたオルルド選手。以下がインタビューです。

―今の自分は子供の頃、こういう選手になりたいなーと思っていた通りの選手ですか?
オルルド選手:そうだね。僕は子供の時から自分はホームラン・ヒッターじゃないと思っていたから、高い打率を狙える選手になりたいな、と思っていたんだ。

―憧れていたメジャーリーガーは誰ですか?
オルルド選手:小さい頃は外で遊んでばかりいたから、野球を見ることにはあんまり関心がなかったんだ。高校生になって野球を見始めてから好きになったのは、ジョージ・ブレット選手*だね。彼の打法には憧れたよ。

―いつプロの野球選手になれると実感しましたか?
オルルド選手:小さいころから野球選手になりたいなと思っていたけど、高校3年生の時にメジャーリーグのスカウトが質問しに来た時に初めて、プロになれるチャンスがあるな、と実感したね。

―初めてスカウトの人と話した時はうれしかったですか?
オルルド選手:もちろんさ! エキサイティングだったよ。スカウトに質問されるっていうのは大ごとだからね。

―オールスター戦の3日間は何をする予定ですか?
オルルド選手:家族と一緒にアリゾナの別荘に行く予定。もちろんオールスターに選ばれたらキャンセルしなくちゃいけないけど、選ばれたら選ばれたで光栄なことだからね。

―最後に、日本人選手を見て何か変だなと思うことはありますか?
オルルド選手:う~ん、変というわけじゃないけど、マッサージを受ける回数が断然多いね(笑)。

*ジョージ・ブレット選手:3104安打、317本塁打、生涯打率.305で殿堂入りした三塁手。80年にはシーズン打率.390を達成。

オルルド選手、本当にありがとうございました! 人柄の良さ溢れる話しぶりに、益々ファンになっちゃいました。

では、次回こそは長谷川選手のインタビューをお届けしようと思います(またもや大胆な予告)。長谷川選手、万が一このレポートを目にすることがあったら(見ないと思うけど)、来月こそはよろしくお願いしますね!

 

■2003年8月号

長谷川選手独占インタビュー、ついに成功!

取材・文、村井みどり

ついに果たしました! 念願の長谷川滋利選手の独占インタビュー! 実現したのは7月27日の対テキサス・レンジャース戦。日曜日のデイ・ゲームなので試合前の練習がないと見込んで、朝10時過ぎにクラブハウスへ。すると長谷川選手は他のインタビューを受けていたので、終わるのを待って声をかけると、これから練習があるとのこと。しかし、先月顔を売っておいたのが幸いしたのか、「インタビューは広報の人に前もって言ってもらうと確実なんだけどな。練習が終わって時間があったらいいよ。じゃなかったら試合後に来て」とのお答えを頂き、練習後、再びクラブハウスへ。

早く本題に入れ! と言われそうだけど、その前に長谷川選手の経歴を紹介します。8月1日で35歳の誕生日を迎えた長谷川選手は、アナハイム・エンジェルスで5年間活躍し、昨シーズン我らがマリナーズに移籍。チーム内での役割は中継ぎ投手。今年は守護神・佐々木主浩投手が故障で長期戦線離脱しているため、代理でクローザー役を務め、すでに7セーブを挙げている。8月1日の時点でこれまで43試合登板し、許したのはたったの4点! 防御率は0.71と驚異的な数字。パワー・ピッチャーというわけじゃないのに、これだけの成功を収めているのは、メジャー7年で培ったピッチング(制球や球種の使い分けなど)が優れているからだろう。

また、彼の英語力も特筆すべきもの。地元テレビ局のインタビューにジョークを交えながら答えている姿を見ると、アメリカ社会への適応度が伺える。長谷川選手はこれまでに3冊本を書いていて、そのうちの1冊『メジャーリーグで覚えた僕の英語勉強法( 幻冬舎)』は、英語初心者にオススメの本。主に英語で生活している私には、実際に役立つ本というわけではなかったけど、「そうそう、私もこの教材を使った!」とか「私もこうして勉強したな~」と大いに同感。それが今回のインタビューのきっかけにもなったわけです。

というわけで、前置きが長くなりましたが、お待ちかねのインタビューをお届けします。

―今年でマリナーズは2年目ですが、1年目と何か変わったことはありますか?
長谷川選手:う~ん、特にはないですね。チームがどうのこうのというのじゃなくて、自分自身の肩の調子は良いですけど。

―オールスターに初出場されて、一番楽しかったことは何ですか?
長谷川選手:家族とみんなで参加できたことかな。日本ではあまり考えられないですけど、家族全員でジェット機に乗って行って、息子も例えばホームラン・ダービーとか、試合中にダグアウトなどに入れたりとか、そういうのが一番楽しかったですね。あんまりない経験ですし。

―また参加するチャンスがあれば、したいと思いますか?
長谷川選手:もちろん! 個人的にもそうですし、家族も楽しむことができますから。

―クローザーを務めることについて、どう思いますか? 中継ぎより登板の数が少ないと思うのですが。
長谷川選手:でも、それ(登板の数)はその時によりますよね。僅差のゲームが多いか少ないかで。クローザーというのは勝っていようが、負けていようが、点差が近ければ入っていくものですから、それは本当に運ですね。やる時は、クローザーだから、セットアップ(中継ぎ)だから、という心構えはあんまり変わらないです。

―抑えに入った時、たまに笑顔が出るなどリラックスしているように見えますが、緊張する場面で平常心を保つ秘訣みたいなものはあるのですか?
長谷川選手:いろいろなメンタル・トレーニングの技術で、それを言ったら本が一冊書けますよ(笑)。ボールを投げたりする時、メンタル面で落ち着かせる方法はたくさんあります。メンタル・トレーニングはもう10年ぐらいやってますから、それらを使ってリラックスしています1*

―日本にいた時に憧れていたメジャーリーガーはいますか?
長谷川選手:テキサスのピッチング・コーチをしているオーレル・ハーシハイザー2*。だからと言ってしゃべりたいとか、そういうことはないですけど、尊敬していました。スライダー/シンカー・ピッチャーだったんですよね。僕は日本にいた当時スライダー・ピッチャーだったので、まあシンカーも投げてましたけど、よく彼の試合を見ていました。

―メジャー3年目でお書きになった『メジャーリーグで覚えた僕の英語勉強法』についての質問ですが、本の中で当時の英語力を“自分の理想の半分ぐらい”と評価されていましたが、今は100%中どのくらいまで上がりましたか?
長谷川選手:アメリカ人のネイティブの人でもあんまりしゃべれない人もいるし(笑)、何を基準にして自分が何%かは分からないけど、あの当時よりは良くなっていますね。

―本の中で、「ナイトショーの小話などを理解するまでにはだいぶ時間がかかるだろう」と書いていらっしゃいましたが?
長谷川選手:まだやっぱり無理ですね。

―そうですか? FOX SPORTS NETなどの英語のインタビューではジョーク交じりに答えていらっしゃいますが。
長谷川選手:ああいうインタビューはパターンが決まっているじゃないですか。だからそれほど難しくないですけど、僕が(難しいと)言っているのは、チームメイトとの間で交わすその時々の話題など。その会話についていくためにはテレビなども見ておかないといけないし。でも、長いこと一緒にいるチームメイトなどは「あ、こいつはこれぐらいならわかるな」とか、「彼にはちょっとこれは無理だな」とか、ちゃんと使い分けてくれますけどね。パッと会って冗談を言うような人との会話はやっぱり難しいです。

―本の中で「これからも自分の英語に満足することはないだろう」と書いていらっしゃいましたが、今でも努力はされていますか?
長谷川選手:そうですね。自分の好きな本を読んだりとか、いろいろ努力はしていますよ。

―ヒアリング、スピーキング、リーディング、ライティングの4分野で最も力を入れている分野は?
長谷川選手:僕ぐらいになると、今これが不足しているからこれをしよう、とかっていうのはあまりないですね。生活で満足しているし、不満足でも何とかやっているから。その時々で「本を読みたいな」と思えば読書をするし、本を読んで「この文章がいいな」と思ったら、その文章を実際に使ったりします。あとは勉強のために映画もよく見ますね。

1*長谷川選手は実際にメンタル面についての本を書いています。『チャンスに勝つピンチで負けない自分管理術( 幻冬舎)』
2*オーレル・ハーシハイザー選手:1983-2000年に活躍した右腕投手。生涯成績204勝150敗。ピークの’80年代にはロサンゼルス・ドジャースのエースを務め、59連続イニング無失点の記録を達成。シンカー、スライダーがトレードマーク。

長谷川選手、お忙しいのにわざわざ時間を作ってくださって、本当にありがとうございました。マリナーズの選手は良い人ばかりで、新人記者の私は恵まれてます(他のチームでは、怒ると爆発する選手もいるらしいので)。では、来月もレギュラー選手のインタビューを狙ってクラブハウスをうろうろするつもりなので、お楽しみに! また、「あの選手にコレが聞きたい」など質問がありましたら、ご意見をお寄せください。

むらい・みどり

シアトル在住7年。アメリカ人のご主人&息子達の影響で、ホームゲーム中は毎日のように球場に通う熱狂的マリナーズ・ファンだが、本業はサイエンティストという異色の新人記者。