シアトルの生活情報&おすすめ観光情報

お雑煮 – 思い出レシピ

アメリカの正月は、あっけないと思っている人も多いはず。しかし日本人にとっては、この行事は欠かせない!お雑煮を作ってムードをより高めよう。読者自慢の雑煮レシピをエピソードと共に紹介。(2012年12月)

純和風雑煮 

【材料・4人分】

鶏もも肉1/2枚、ニンジン1/2本、大根1/6本、干し椎茸2個、三つ葉4個、昆布適量、かつお節適量(だしの素で代用可)、しょうゆ大さじ2(薄口だとさらに良し)、みりん小さじ1、大さじ2、適量、柚子皮適量(なければ柚子果汁か柚子こしょうで代用)

作り方

  1. 干し椎茸は、椀1杯分のぬるま湯に砂糖をひとつまみ溶かしたものに浸けて、軟らかくなるまで戻す。昆布を椀4杯分の水に入れて火にかけ、煮立ったら引き上げる。かつお節を投入し火を止め、3分ほど置いてから漉す。干し椎茸の戻し汁を加える。
  2. ニンジンは花型、大根はいちょう切り、椎茸は薄切り、鶏は小さめに切る。
  3. [1]で作っただしに②の野菜を入れ、しょうゆ、みりん、酒を加えて軟らかくなるまで煮る。鶏を加えて火を通す。
  4. しょうゆと塩で味を整えたら、餅を準備する。100円ショップで購入した専用のトレイに乗せてレンジでチンすると、簡単にゆで餅ができる。
  5. [3] の汁から大根を少し取って椀の底に敷き(餅がくっつくのを防ぐため)、そこに餅を乗せて汁を注ぎ、三つ葉、柚子皮をのせてできあがり。
 
【レシピにまつわるエピソード】

紹介者:テレタビ子さん/ワシントン州シアトル在住

毎年この時期になるとアメリカ人の友人のクリスマス・パーティーに招待されることが多いので、そのお返しも兼ねて元旦は我が家で新年会を開くことにしています。伝統的なおせちと、アメリカ人にもなじみやすいオーブン料理などを組み合わせることが多いのですが、雑煮は純和風のシンプルなレシピで作ります。これがなかなか好評で、おかわりをする人もいるほど。特別なことはしていませんが、だし、餅、三つ葉、柚子といった和の食材ならではのじんわりとしたうまみ、食感、香りが珍しいのかもしれません。スシ、テリヤキだけが和食じゃないのよ~と宣伝できる、良い機会でもあります(笑)。

 

博多風雑煮 

博多風雑煮

【材料・4人分】

丸餅4個、(正統派博多雑煮はブリですが、我が家では鯛。当地では「冷凍いずみ鯛」を使用)8切れ、生椎茸4個、かまぼこ(紅&白)各4枚、ニンジン適量、サトイモ適量、青菜適量(元々はかつお菜。油菜かクレソンで代用)、焼きアゴ(干したトビウオ。「味の兵四郎」のアゴだしパックが入手できればベストだが、無ければだし昆布を増量。イリコだと別物になるので使わないこと)、だし昆布約20cm分、干し椎茸3、4個、200cc、薄口しょうゆ小さじ2、3杯、小さじ1杯弱、1リットル弱※分量は目安。味見しながら調整し、通常の吸い物よりも濃い目に。

作り方

  1. 前日までに魚に強めの塩をしておく。焼きアゴ、昆布、干し椎茸でだしを取って放置しておく。かなり濃い昆布だしにしたほうが良い。
  2. 生椎茸、ニンジン、里芋、青菜をそれぞれ茹でる(これも前日でOK)。
  3. [1]の焼きアゴ、昆布、干し椎茸を取り除き火にかける。沸騰したら酒、薄口しょうゆ、塩を加えて味を調える。
  4. 丸餅をお湯で伸ばす。我が家では鍋の底に、だし汁に使った昆布を敷いてお湯と餅を入れ、沸騰しないよう弱火で温めて、芯まで軟らかくなったらOK。魚の切り身は別の小鍋で、身がほろりとなるまで茹でる。
  5. 青菜以外の具材をだし汁に入れて温め直してから(直前に具材を茹でた場合には省略)、各自の椀に、餅、具材を入れ、その上から汁を注ぐ。
 
【レシピにまつわるエピソード】

紹介者:葛城 薫さん/ワシントン州ウッディンビル在住

母の手料理の中でもいちばん尊敬する雑煮を最後に味わったのは、2007年。元旦に国際電話で私と話している最中に母は倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。緊急に手配したフライトであちこち経由して24時間かけて、1月3日夜、故郷にたどり着き斎場に直行。さすがに父が限界に達していたので、深夜父を連れて家に帰りました。そして見つけたのは、ガスコンロの上に準備された雑煮のだし汁の大鍋。冷蔵庫には下準備された具材がきれいにタッパーに詰められて……。倒れたのが1月2日の早朝でしたから、2日目の雑煮の準備がしてあったのですね。翌朝きちんと最後の雑煮をいただきました、涙ぼろぼろ流しながら……。何十年かぶりに食べると、私がいかにうろ覚えで作っていたか、よくわかりました。香りをさらにきつく、薄口しょうゆとお酒をかつんと利かせるんですね。「ちゃんとこの味を覚えるんだよ」と言われているように思えました。

ページトップ

 

地域によって違う雑煮の味

正月の祝い料理である雑煮は、地域ごとに味付けや具が違う。母や祖母が作った雑煮を小さい頃から食べてきた人の中には、大人になってその味が全国共通ではないということを知り、驚いた人もいるのでは。関東地方なら、すまし汁に焼いた切り餅を入れ、エビやかまぼこなどの具に加え浅草のりを浮かしたもの。関西地域は白みそ仕立てで丸餅を茹でて入れ、焼き豆腐や大根などを添える。北陸ではブリ、広島ではカキを入れるなど、その土地で採れる産物を材料にすることも多い。また、だしの素材も昆布やカツオ節、アゴ(トビウオ)、煮干しなど、さまざまだ。

現在アメリカで暮らす私達は、故郷の味を再現するのも良いが、地元で手に入る食材を利用してオリジナルの雑煮レシピを編み出し、アメリカの家族や友人に継承していくのものもいいかもしれない。

参考文献:『百科事典マイペディア』(平凡社)

 

ページトップ

シアトル&ポートランドの大晦日やお正月のイベント情報 »

*取材は2012年12月

このほかのレシピはこちら »

このほかの特集記事はこちら »

シアトルの最新生活情報はこちら »