| はじめまして、TSKです。このコーナーでは、ブラック・ミュージックを中心に、マニアックな洋楽話を展開していきます。今回紹介するのは、ソウル・ヒップホップの代表格である、ピート・ロックです。
15年以上前、ヘヴィ・D&ザ・ボーイズという“ポップ&クリーン”をモットーとしたラップ・グループがデビューしました。リーダーのヘヴィ・D※1はジャマイカ出身で、ブラック・アメリカンの多いラップ・シーンでは異色の存在。8歳からラップを始め、ラップの韻の踏み方、喋りの流暢さでは他のMCと一線を画します。たまたま彼らの3枚目のアルバム「Peaceful
Journey」(1989)を中古で買ったところすっかり気に入り、クレジットを見たらピート・ロックの名前があったという訳です。
ピート・ロックはジャマイカ出身。父もジャマイカのDJで、大量のレコードを持っていたそう。ヘヴィ・Dとは従兄弟に当たり、彼のキャリアはヘヴィ・Dのアルバムでプロデューサーとして起用されたことで始まりました。「ソウル・ブラザー」のニックネームで親しまれ、彼の音楽は'60 ̄'70年代のソウル・ミュージック、アシッド・ジャズのレコードをふんだんに使った深みのあるサウンド。'90年代の東海岸の音を決定づけたとも言われています。
昔のサウンドを使って新しいサウンドを作る、つまり、レコードから音源を拾い、その上にラップを乗せるという、ヒップホップの本来の楽しみ方を一貫して追求。現在はネプチューンズ※2に代表されるように、キーボードひとつで作った音楽がヒップホップとされ、彼のような音楽はオールド・スクール(昔のヒップホップ)と言われます。どうしてそういう方向へ行っちゃったんだろうと悲しくもありますが、彼が未だに現役で活躍していることにほっとします。
少し前に「They Reminisce Over You(TROY)」がリバイバルされ、話題を呼んだこともあったようですが、ピート・ロックは基本的にアンダーグラウンドを生きていると言えるでしょう。「Soul
Survivor2」(2004)など、最近のアルバムはソウル色が強く出ていますが、根底にあるのはジャズのように感じます。ジャケットのデザインがマイルス・デイビスの「Tutu」(1986)をもじっていて、そういうところも格好良く、とても好きです。
この記事は私、TSKの認識を元にした記事です。もし誤りがありましたらメールでお知らせください。また、ご意見・ご感想もお待ちしています。
※1: 一時期モータウン傘下、アップタウン・レコードの社長にまで昇り詰める。現在は創立期と同じ、アンドレ・ハレルが社長。ヘヴィ・D自身は現在、MCAレコードの取締役。プロデューサーとしてはソウル・フォー・リアルの作品があり、とても気に入っている。スロー・テンポのR&Bで、優しい曲調。
※2:2003年を代表するプロデューサー・ユニット。NERDというヒップホップ・グループのメンバーでもある。デビュー時は「ノレないビート」と言われていたそうだが、Jay-Zに起用され大ブレイク。3年先までスケジュールが埋まっているという。近年、アベイシングエイプのNigoとのコラボでファッション・ブランドを設立し、日本で話題に。
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