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民主党への政権交代で、歴史的大統領の誕生となるのか。世界中から熱い視線が集まる米大統領選挙をわかりやすく解説。

文/佐々田博教

第8回★★★アメリカ政治の分極化

分極化が意味するものとは
今号のテーマは、近年のアメリカ政治における最も重要な傾向のひとつである「分極化」が、大統領選挙に与える影響についてです。
分極化とは、ある国の政治が、極端にかけ離れた立場を取るふたつの勢力に分かれてしまうことを言います。アメリカの場合は、リベラルと保守という、非常に異なった政策を支持する勢力に二分化。昔から民主党=リベラル、共和党=保守という大まかな特色があったのですが、両党とも比較的中立的な立場を取っていました。しかし、近年その政策の違いが顕著になっています。
分極化の問題点は、政党間での合意がなかなか得られず、その結果、政治が硬直化してしまうことです。例えば、中絶や同性結婚の問題では、民主党と共和党の間に大きな隔たりがあり、妥協点が見つからず、政策決定ができなくなってしまうケースがよくあります。
もうひとつの問題は、中立的な立場にいる有権者を代表する政治家が少なくなっていることです。有権者のほとんどは、それほど極端な立場を取らない人々ですが、分極化した状況では、そうした人々の選択肢が限定されてしまいます。

両候補の政策への影響
では、今回の大統領選挙の候補者はどうでしょうか。これまでの号で両候補の政策スタンスを紹介してきましたが、やはり分極化の影響が色濃く現れていると言えるでしょう。
民主党のバラク・オバマ候補は、党内でも比較的リベラル傾向が強い政治家で、特に経済問題では極端にリベラルな政策を打ち出しています。例えば、オバマ候補が唱える自由貿易政策の抜本的な見直しや、国内労働者への手厚い保護、財政難の中での大幅な社会福祉拡大などは、一般有権者には受け入れにくい点です。
共和党の中ではリベラル寄りと目されるジョン・マケイン候補の政策も、保守色の強いものです。特に、米軍のイラクでの長期駐留も辞さないという姿勢は、イラク戦争の早期解決を望む多くのアメリカ人の意見とかけ離れています。
こうした分極化の要因のひとつは、キリスト教右派(保守)や労働組合・人権団体(リベラル)といった極端な立場を取りがちな政治団体の影響力が、政党内において急激に拡大したことです。その結果、中立的な立場の有権者は、自分の意見に近い候補者がいないと感じ、政治に対する失望感が生まれる恐れがあります。
アメリカ政治の分極化は収まりそうにありませんが、次の大統領には、二分化しつつあるアメリカ社会をまとめ上げる強いリーダーシップが期待されています。



マケイン候補、逆転して優勢か!?
本誌が出るころには、両党で党大会(民主党8月25日〜28日、共和党9月1日〜4日)が開かれ、各党の大統領候補が正式に決まるでしょう。党大会では、いよいよ副大統領候補も指名されます。オバマ候補は7月末、中東や欧州などを歴訪し、海外での知名度の高さと外交能力をアピール。メディアの注目もオバマ候補に集中していますが、8月初めの世論調査ではマケイン候補が逆転したとする調査もあり、これまでオバマ候補がリードしていた状況が一転してきました。今後、数回行われるテレビ討論会で両者が直接対決する機会も増え、党大会が終われば、11月の本選に向けて本格的な選挙戦が繰り広げられます。
Hiro Sasada:1974年生まれ、熊本県出身。滞米歴15年。現在ワシントン大学大学院政治学研究科博士課程在籍。非常勤講師としてワシントン大学で政治学の授業を教えている。趣味は野球と格闘技。今年は子育てと論文執筆に追われ、趣味の時間がほとんどないのが悩み。

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