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【私の転機】清助ナイフ・ストアマネージャー 亜紀子ヒューズさん

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シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー

2016年、ポートランドに日本の包丁を販売する店、清助ナイフがオープン。未経験から同社で仕事を始め、今ではストアマネージャーを務める亜紀子さんに、これまでの転機を伺いました。(2017年5月)

清助ナイフ・ストアマネージャー 亜紀子ヒューズさん
亜紀子ヒューズ(あきこ・ヒューズ)
沖縄県出身。大学卒業後、沖縄で映像関係の仕事に従事。09年、オペア・プログラムでポートランドに1年滞在する。一度帰国し、11年再びポートランドへ。14年、オンライン包丁販売会社のJapannyで勤務開始。16年、同社初の路面店となる清助ナイフの立ち上げに携わり、現在はストアマネージャーとして勤務している。清助ナイフ(www.seisukeknife.com


日本では映像関係の仕事をしていて、英語力があれば仕事にプラスになるだろうと思い、オペア(住み込みでベビーシッターをしながら留学する制度)でポートランドに渡ったのが2009年です。一度帰国しましたが、結婚を機に11年にまたポートランドへ。再びベビーシッターをしていたのですが、だんだんと新しい仕事に挑戦してみたいと思うようになりました。
 
そこで見つけたのが、日本の職人さんが作った包丁を海外向けにネットで販売する石川県の会社、Japannyの顧客サポートです。この会社からは「日本の素晴らしい伝統文化を世界に広め、日本と世界に貢献したい」という強いエネルギーを感じ、面白そうだと思いました。14年当時、会社は創業からまだ数カ月で、はじめは1日2件程のメールに対応しているだけでした。
 
アフターケアでメッセージを送るとお客様から喜んでいただいたり、リピーターができたりして顧客が増えてくると、徐々に仕事にやりがいを感じるように。そして、知れば知るほど包丁の世界は奥深く、日本の職人さんたちが心を込めて作った美しく機能的な包丁を広めたいと思うようになっていきました。

– 世間話から生まれた ポートランドの店
16年4月、日本へ一時帰国した際、初めて社長や職人さんたちと会いました。そのとき「いつかアメリカにも出店できたらいいね」と話したのです。私は世間話だと思っていましたが、これが大きな転機になってしまいました。それから1カ月ほど経つと、「アメリカに出店する」と社長から連絡があったのです。決断の早さにびっくりしました。
 
会社は、約2年で欧州、中米、オセアニアなど世界中から月に数百件の注文が来るほどに成長しており、中でも売上の大きいアメリカで店を出したいとのことでした。社長はハワイやサンフランシスコでの出店を考えていたようですが、6月、ロケーション探しのついでにポートランドに寄ると、この街の雰囲気が至極気に入ってしまい、出店を即決したのです。私は店長としてオファーされ、不安は大きかったのですが、この会社の仕事は楽しかったですし、日本の伝統をポートランドで伝えることをやりがいに感じ、店長として働くことを決断しました。

そこからが大変です。会社立ち上げのため、弁護士に書類をお願いしたり、店舗を探したり、場所が決まれば内装工事の依頼をしたり、英語の難しい専門用語も分からず、ビジネスのコミュニケーションスキルも手探りの中、全てが必死でした。何もかも初めてのことばかりで、無茶振りもいいところです(笑)。アメリカ法人を立ち上げ、店舗が出来るまで2カ月くらいで、すごい勢いでした。そして、11月11日に開店しました。

– 日本文化を伝える 街の包丁屋さんへ
オンラインの仕事と、店舗の仕事は全く違いますね。店舗では、お客様と直接顔を合わせられるので、より親しくなれます。まずは街の包丁屋さんとして認知してもらい、この街のシェフカルチャーにも貢献したいです。包丁研ぎもするので一般の方にも気軽に来てほしいですね。6月には日本から職人さんを呼んでイベントも開催します。今後も、包丁を通じ、日本文化の素晴らしさをポートランドで伝えていきたいです。

清助ナイフ・ストアマネージャー 亜紀子ヒューズさん
▲ 包丁研ぎ担当者(左)とセールス担当者(右)と共に和テイストな店内で記念撮影。
 
*情報は2017年05月現在のものです