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SEA GAL チコのシーホークス・レポート

2003年9月号 「みなさん、はじめまして」

今回からエッセイを書かせていただくことになりました、シアトル・シーホークスでチアリーダーを務める“Sea Gal”のちこです。この場を借りて、シーホークス、そしてSea Galsの裏側をみなさんにお伝えできればと思っています。
まずは自己紹介から。私は今年5月、Sea Galsのオーディションを受けに日本から渡米、無事合格をすることができ、現在Sea Galとして活動しています。シアトルに来る前も、東京で銀行員をしながら、アメリカン・フットボール・リーグのチアリーディング活動やチアリーダーのセミプロとしてイベントなどに出演していました。でも残念ながら日本にはプロのアメリカン・フットボール・リーグもチアリーディング・チームも存在しません。
 
私は本場アメリカで、プロのチアリーダーになりたい!と、シアトルに来ました。これだけ聞くとかっこいいのですが、単身でここに来たものの、家族、友達、ここで出会った多くの人に助けられ、今はなんとか暮らしていけているというのが本当のところです。アメリカに来てまだ3ヵ月、毎日いろいろなことを経験しています。最近やっと、ここでの暮らしを楽しむ余裕がほんの少しだけ出てきたかな?といったところでしょうか……。

さて、私の話はこのくらいにして、今回は8月に行われたプレシーズン・ゲームのお話を少ししたいと思います。試合が行われた8月9日(日)は、天気予報では雨とされていましたが、予報は見事に(?)はずれて晴天!  私達Sea Galsは夜7時のキック・オフの3時間半前から集合し、それから長い1日が始まりました。
 
ロッカー・ルームに入ってまず目に飛び込んできたのが大きなケーキとカード! それは、初めてのスタジアムでの試合となる私達新人に、先輩達がプレゼントしてくれたものでした。ケーキは、中にチョコレートのスポンジ、アメリカっぽく青や緑のデコレーションがあって、“Good Luck”のメッセージ入り。それだけでも大感激の私に、ライン・キャプテンであるキンバリーが、カードとチョコをくれてもっと感動♪ いよいよ試合直前になり、「今までみんなよく頑張ってきたわ。今日は緊張するかもしれないけどみんなで助け合えば大丈夫。楽しみましょう!」と、キンバリーが目を潤ませながら言った時には、私も一緒にウルウル……。本当にこのチームに入れてよかった!と、この日は何度も思いました。
 
プレシーズンなので観客は3万人くらいだったでしょうか(シーホークス・スタジアムの定員は6万7,000人)。でもやっぱり本場、“エンターテイメント”という言葉がぴったりで、大きなスクリーンを活用して観客と一緒に遊ぶコーナーもあり、みなさんにもぜひスタジアムに来て、この楽しさを体感してほしいと思います。「百聞は一見にしかず」ですよ!
 
試合はシーホークスのペースで観客も大いに盛り上がり、シーホークスの勝利で終了。初めてのことばかりで戸惑うことも多かったのですが、充実感もいっぱいで、気持ちのいい疲れでした。9月7日(日)からスタートするレギュラー・シーズンは、ホーム・ゲームがわずか8試合! 今年はシーホークスの前評判もけっこういいので、プレイ・オフまでいけるかもしれません!! 試合もとてもおもしろくなるでしょう。
 
みなさん、野球もいいですが、アメフトはゲームあり、チアあり♪と、一味違う楽しみ方ができます。ぜひスタジアムに見にいらしてください。待っています!

2003年10月号 「レギュラー・シーズンがスタート!」

9月から始まったレギュラー・シーズン。初戦は9月7日、相手はニューオーリンズ・セインツ! この日は“Military Appreciation Day(軍隊感謝の日)”ということで、ハーフタイムは軍の人達のパフォーマンスと演奏があり、私達Sea Galsも彼らの演奏に合わせてダンスを踊りました。そのため、試合前は軍の人達と一緒のリハーサルが中心に行われ、それ以外のリハーサルもあった私達は今までになくバタバタとしました。
リハーサルが終わってロッカールームに戻ってからも、この日でき上がってくる予定だったユニフォーム(パンツ)が間に合わないということで、急きょ過去のメンバーのユニフォームを借りることに。予定外の出来事で、ルーキーはみんな大慌て! 私もほかのルーキー達にもれず、パンツ探し、メイクにヘアーと、まさに時間との戦いといった感じでした(なので、今回は写真なしのエッセイです)。

試合内容に関しては、えがしらさんの「激闘!シーホークス観戦記」を読んでいただくとして、今回は私達Sea Galsがロッカールームからフィールドアップする前に必ずやっていることをちょこっとご紹介します。ロッカールームを出る前には必ず、1度全員で集合し、ライン(私達のサイドラインでは4つのグループに分かれています)ごとに並びます。そして、隣に並んだ人とユニフォームやメイクのチェックを互いに行い、同時にディレクターからのチェックも受け、OKが出るとみんなでロッカールームからフィールドに向かいます。

これが私達Sea Galsのフィールドアップ前の恒例儀式(とでも言うのでしょうか?)となっていて、それまでどんなにバタバタしていたとしても、私はこの瞬間に気持ちを落ち着かせ、気合いを入れ直し、一度大きく深呼吸をすることで、Sea Galの「ちこ」にスイッチを入れます。もちろんいつでもSea Galとしての意識を持ち、試合の日も朝から気合い十分でスタジアムに行きますが、ここでもう一度チアである自分のテンションを上げるとでもいうのでしょうか。私にとっては試合前の大切な時間となっています。

この日は前半・後半と違うユニフォームを着る初めての日でもあり、しかもハーフタイムの間もパフォーマンスをしなければいけなかったので、前半が終了する少し前に一度ロッカーに戻り、急いで違うユニフォームにチェンジ! 汗はたくさんかいているし、時間も少ししかない……。そんな状況で、みんなで必死に着替えを行いました。でも、焦れば焦るほどうまく脱げないし、うまく着れなくって、余計に時間を取られながらも着替えを済ませ、メイクなどを直し……。記念すべき第1戦ではありましたが、裏ではバタバタしっぱなしの試合でもありました。

試合前の評価は「セインツ優勢」というものでしたが、終わってみれば、シーホークスが27対10で圧勝! 第2戦のラムズ戦も最終クオーターで逆転し、なんと1点差での勝利。今年のシーホークスは、勝負強さも持っていることを見せつけてくれる試合でした。これまでの9月の3試合はすべてシーホークが勝利し、ただ今、シーホークス絶好調!!! このまま行けば、シーホークスの地区優勝も夢ではないでしょうし、スーパーボウル出場も圏内かも!?と、まだ始まったばかりなのに、今から興奮しっぱなしの私。

10月の1戦目は12日のサンフランシスコ49ers戦で、これはスポーツ専門チャンネル「ESPN」で放送されるビック・ゲーム。絶対に見逃せません! 今年は昨年に続き、マリナーズが残念ながらプレイ・オフ進出を逃してしまいました。私もとても残念です……。が、マリナーズ・ファンのみなさんも、これからのシーズンはシーホークスの応援を楽しんでいただければと思います♪ シーホークスのゲームは、もっともっとおもしろくなること間違いなしですから!

2004年1月号 「シーギャルズの裏側(?)」

みなさんお久しぶりです。このコーナー、すいぶんお休みしてしまいました……。
実は今シーズン、私は残念ながら最後までシーホークスの応援をすることができず、日本に帰って来ました。とても残念ではありますが、シーホークスがなくなるわけではありません。また来年以降、みなさんと一緒にシアトルでシーホークスを応援できれればと思っています。
シーホークスはめでたくプレイオフ進出が決まったものの、4日のグリーンベイ戦で敗れてしまいました。来シーズンこそは! みなさんも応援よろしくお願いしますね。さて、今回は試合の裏話ではなく、練習とその他のシーギャルズの素顔を少しだけお話したいと思います。
 
シーギャルズの練習は基本的には週に2回。必ずみんなで同じ練習着を着用します。もちろん、その練習着は支給されるもので、ほとんどが紺色。最初はディレクターが「次回はこれとこれを着て来て」というような指示をしていましたが、休みが間に入ってしまった時などは、みんな何を着るのかわからなくなってしまったり、勘違いしてしまったりすることがあり、途中からは4パターンのローテーションが決められ、それに沿うようになりました。でもやっぱり、次はなんだっけ?というような会話がいつも飛び交っていました。それが原因なのかはわかりませんが、シーギャルは大抵すべての練習着を車に積んで練習に来ています。
 
メンバーはみんな忙しいこともあり、車にはそのほかにもいろいろと生活用品を積んでいて、いつでも旅行ができそうな感じ。お菓子に化粧品、靴、タオル、水着に水……なんでも車から出てきます。みなさんもご存知のように、日本では車で移動するよりも電車での移動がほとんどなので、車をまるで家のように使っているメンバーが私には少し不思議に映りました(でもこれはアメリカでは普通で、メンバーだけではないのかもしれませんが)。
 
自分の車を持っていなかった私は、いつも大荷物だったので、なんだかそんなメンバーがとってもうらやましかったりしました。あまり大きな声では言えませんが、車の中で靴も洋服もお菓子も同じところにポンっと積んでいるメンバーも結構多かったような……(^^;) でも、それもあまり細かなことを気にしないおおらかな性格の表れなのかもしれませんね。私はそんなシーギャルズのメンバーが大好きです(^o^)
 
みなさん、シーズンは終わってしまいますが、これからもシーホークスの応援を楽しんでくださいね。それではまた、みなさんにシアトルで逢えるのを楽しみにしています☆
Go Seahawks!!!

ちこ(本名:山田幸子)
東京都出身。日本では世界規模のチア&ダンス団体の選抜チームや日本最高峰アメフト・リーグ「X League」のチアとして活躍。現在は、シアトル・シーホークスの専属チアリーダーSea Gals全28名のうちのひとりとして試合を盛り上げている。