アメリカの公的な医療保険としては、65歳以上の高齢者や身体障害者向けの医療保険制度であるメディケア(Medicare)がある。入院用の保険の掛け金は、本人または配偶者がソーシャル・セキュリティー税を最低10年払っていれば免除されるが、外来診療用の保険は月々の支払いが必要。65歳以上のメディケア受給資格のない者でも、合法的に5年以上アメリカに滞在していれば、どちらのタイプの保険も定められた掛け金を支払うことで利用できる。運営資金には、この掛け金のほか、会社員の給料から天引きされる連邦税やソーシャル・セキュリティー税の一部なども充てられている。保険控除額(Deductible)と被保険者負担分(Co-pay)の比率は年によって変動する。2005年3月には、喫煙を原因とした病気を持つ高齢者に限り、禁煙のためのカウンセリングや薬品も保険でカバーできるようになった。また、2006年1月から処方箋薬もカバーされている。低所得者向けには、連邦政府と州政府によって運営される医療扶助制度、メディケイド(Medicaid)や、ワシントン州居住者のためのベーシック・ヘルス(Basic Health)、オレゴン州居住者のためのオレゴン・ヘルス・プラン(OHP)がある。また、2010年3月に可決された健康保険法案を受け、ワシントン州では新たに同7月からワシントン・ヘルス・プログラム(Washington Health Program)を実施している。
それ以外の人は民間の医療保険に加入するしかない。保険によって、補償される病気の種類、医療機関の指定、加入者負担の割合、控除額など、内容は千差万別なので、自分の加入している保険の内容をよく知っておく必要がある。医療機関で診察を受ける時には必ず加入した機関の保険証を持参。医療機関が保険会社に直接医療費の支払いを請求する場合は、保険会社からの支払いがあってからその差額が患者に請求される。患者が直接保険会社に請求する場合は、医療機関からの医療費請求書と保険会社専用の保険請求用紙を保険会社に送る。日本と違い、妊娠・出産に関しても医療保険が適用されるが、歯の治療はカバーされないので、別途歯科保険に加入する必要がある。医療保険、歯科保険のどちらも、会社や学校を通してグループ保険に加入するのが普通で、主なタイプは下記の通り。
Preferred Providers Organization(PPO)
医師や医療機関がひとつのネットワークになっていて、このネットワークに加盟している医師や医療機関にかかることで、低コストで診察・治療が受けられる。しかし、ネットワーク外の医師への医療費はカバーされない(されても負担額が大きい)などのデメリットがある。
Health Maintenance Organization (HMO)
保険会社と提携したネットワークの中から自分の指定医(PCP:Primary Care Physician)を決めるタイプ。専門医に診てもらうには指定医の紹介が必要で、ネットワーク以外の医療機関には保険が適用されない。
Indemnity Insurance Plan
基本的にどの病院・医師でも診察を受けることができるが、完全な補償(Indemnity)から、管理型補償までいろいろなタイプがある。前述の2つに比べて保険料は高額。 |