■生活にもっと緑を! 庭やベランダが綺麗で気持ちよくなるコツを、ノースウエスト園芸部長こと小杉晶子さんに教えてもらいます。小杉さんについて »
(2025年5月)
暖かい季節になってきましたね。多くの樹々がどんどんと葉を出す中、5月にやっと芽を出す樹があります。西海岸に自生するどんぐりの樹、オレゴン・ホワイトオーク。いつものようにみんなから遅れて葉っぱを出し始めたオークを見て、私は「あっ!これで柏餅作ろう」と思い付きました。手頃な大きさの葉を摘み、さっと茹で上げると、ふわぁーとあの柏餅のいい匂い! 日本の新緑の頃のあの匂いです。同じどんぐりの木の仲間なので、匂いが同じことに驚きました。
ノースウエストのオークの森は、昔からネイティブアメリカンに野焼きされ、草原を管理されていました。開拓者が入り、開発が進み、多くが切り倒され、ゆっくり育つオークは、現代なかなか生き残る事が難しいようです。ワシントンでは、フォートルイスのミリタリーの敷地内に立派なオークの樹々が残されています。I-5を運転していると、フェンス越しに立派なオークの樹々が見られますね。オレゴンではユージーン辺りで、大きなオークのある森が残されています。
家に30年ほどのオレゴン・ホワイトオークの樹がありますが、いつも周りの植物が春の日を浴びて我も我もと葉を出し始めるのを、オークは「どうぞ、お先にお日さまを浴びてください、僕は後から…」なんて言って、ゆっくり葉を出し始めます。今や少ないオークの森では、珍しいスクラブ・ジェイがどんぐりを一生懸命食べる姿が見られます。

▲オークの葉を軽くさっと茹でます。

▲餅粉で作った団子に小豆あんを入れて、それを包むだけ。ノースウエストの柏餅です。

▲樹が成熟しないとどんぐりはできません。

▲オークのドングリが大好きなスクラブ・ジェイ。

▲ゆっくり育つオーク。これで15年ぐらい。3.5~4メートルほど。葉の形がかわいいので庭に植える方もいます。

▲枝がゴツゴツしてうねるように育っていきます。ノースウエスト自生種なので、放ったらかしで育ち、乾燥に強い樹です。

オレゴン・ホワイトオーク(Garry Oak)(学名Quercus garryana)。オークの葉は、冬の間も樹にしがみついて落葉しません。新芽が出た後に落葉することから、日本では子孫繁栄の縁起を担ぎ、端午の節句に柏餅を食べるようになったそうです。
サウスシアトル・コミュニティー・カレッジで園芸学の学位を取得。現在は、剪定家として庭園や個人の庭の手入れを行う。趣味はバードウォッチング。