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【私の転機】Kohaku America CEO 小田竜輝さん

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シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー

関西学院大学野球部のエースが、プロ野球の次に目指したのはアメリカでした。い草の青々とした香りがすがすがしい、畳を使ったヨガマット。そんな日本らしい製品をアメリカで広めるべく奮闘する小田竜輝さんに、転機を伺いました。(2025年8月)

Kohaku America CEO 小田竜輝さん
小田竜輝(おだ・りゅうき)

熊本県出身。関西学院大学経済学部に進学し、野球部ではピッチャーとして活躍。大学卒業後、化学系専門商社に就職。2024年、ワシントン大学に留学し、ビジネスプログラムに参加。2024年7月、畳製品をアメリカで販売するKohaku Americaを立ち上げる。好きな食べ物は寿司と焼肉。
https://kohakumats.com/

ーシアトルに来るまでのことを教えてください。
ずっと野球をやっていたのですが、さほど野球の強い高校ではなく、最後の夏の大会も1回戦負けで、後悔というか、もうちょっと続けたい気持ちがあったんです。そこで、伝統ある野球部を有する関西学院大学に進学しました。多くの大学野球の強豪校と違い、関西学院大学は一般入試で入学する学生にも入部できるチャンスがあったからです。当時の部員数は270人くらいで、ピッチャーだけでも70〜80人いましたが、3、4回生になると、試合に出してもらうことが増え、運良く活躍できるようになりました。プロ志望届を出したのですが、ドラフト会議でお呼びいただけなくて…。卒業後は、化学系の商社に就職しました。実は、我が家は曽祖父が戦前に熊本で事業を始め、現在は父が継いで物流関係の仕事をしています。ずっと祖父や父の働く姿を間近で見てきて、将来は自分も熊本でこの仕事を継ぐつもりで、勉強のために、大学では経済学部を選び、就職は商社に決めたんです。会社員時代は、電子部品や半導体を扱うエレクトロニクス事業部に所属し、海外から原料を輸入して日本国内の製造業者に販売したり、逆に日本の塗料や部品を海外の会社に販売したりしていました。

– シアトルへ来た理由は?
もともと海外や留学には興味があったのですが、高校も大学もずっと野球漬けで休学するわけにもいかず、行く機会がなかったんです。また、現在の家業は国内販売が主流で、将来、成長していくためには海外展開も見据える必要があると思っていました。そのため、英語や海外市場を学ぼうと会社を辞めて留学することを決意。ワシントン大学で英語とビジネスを学ぶプログラムに参加することにしました。

ー なぜ、アメリカで起業することに至ったのですか?
ワシントン大学に入ってから、ビジネス系のイベントに出たり、シアトルのスタートアップ企業を日本の企業とつなげるJapan Seattle AI Innovation Meetupというイベントを手伝ったりするようになりました。多くのスタートアップ企業と接するうちに刺激を受けて、自分でも何かやってみたい思いに駆られたんです。また、同じ頃、名古屋にいる大学時代の友人とも一緒に何かビジネスができたらいいねと話していました。「転機」と言えば、アメリカに来たことかもしれません。渡米当初は起業する気は全くなかったですし、自分を大きく変えるきっかけになったと思います。

ー そこから、どのように畳ヨガマットの販売につながるのですか?
せっかくアメリカで起業するなら、日本のものを販売しようと思いました。寿司や抹茶のようにすでに浸透しているもの以外で何かないかと考えた時、畳に行き着いたんです。地元の熊本県は、日本のい草の生産量の95%を占める産地です。しかし、日本では中国産い草を使った畳が増えていますし、畳産業自体が衰退の一途をたどっています。1960代には熊本に1万軒もあったい草農家は現在、200軒を切ろうとしており、同時に畳を作る職人も減少と高齢化が進んでいる現状があります。だからといって、重くて大きな畳を輸入し、アメリカの家庭に設置するのは大変です。そこで、アメリカで人気があり、マーケットとして伸び代のあるヨガに着目し、熊本産い草を100%使用したヨガマットを作ることを思いつきました。そこからは地道に、畳業者一軒、一軒に問い合わせて、友人と共に私たちのやりたいことに賛同してくれる職人を探しました。畳のヨガマットは、作るのに大きな機械が必要で、普通の畳にはない裏側の滑り止めとの貼り合わせの工程もあり、誰でも簡単に作れるものではないのです。5種類の畳縁と2種類の畳表のデザインを決定する過程では、こちらに来てから学んだマーケティングやデータ分析が非常に役に立ちました。また、マットの他にメディテーション用のクッションやコースターなどのテーブルウエアも作っています。

ー 現在、ビジネスはいかがですか?
少しずつではありますが、売れてきています。今春には全米で一番大きなヨガの展示会に出展しました。アメリカの人たちはそもそも畳を知らないので、畳とは何なのかを認知してもらう部分では難しさを感じています。ですが、ヨガマットを実際に見て、触れてもらえば、熊本産い草の質の良さを分かっていただけるので、これからどうやって広めていくかが課題です。い草には、森林で感じるのと同じ「フィトンチッド」という香りの成分が入っていて、リラックス効果もあるんです。海外で畳の市場を作ることで、将来的に熊本の畳業界の存続につながればいいですね。今後は、さまざまなマーケットプレイスや、ヨガ教室などとコラボレーションをして、少しでも熊本に貢献していくことができればと思っています。

Kohaku America CEO 小田竜輝さん
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*情報は2025年8月現在のものです

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(ライトハウス編集部)