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【私の転機】憩いの会 シェフ モルストロム直美さん

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シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー

ポートランドのEpworth United Methodist Churchで、平日に低価格のランチを提供する「憩いの会」。ここでシェフを務めるのがモルストロム直美さんです。直美さんにこれまでの転機を伺いました。(2025年10月)

憩いの会 シェフ モルストロム直美さん
モルストロム直美(もるすとろむ・なおみ)

千葉県出身。専門学校卒業後、貿易や物流の仕事に携わる。その後、渡米しポートランド州立大学に入学。在学中に結婚し、卒業後はWild Salmon Centerに就職。2児の出産を経て、田村なを子氏の手掛けるChef Naokoにてケータリングの補助を始め、その後、同氏が経営するShizukuでも働く。2018年より現職。
https://www.instagram.com/ikoinokai/

ー渡米した経緯を教えてください。
日本で専門学校を卒業し、貿易や物流関係の仕事に就きました。大学に行きたかったのですが、すでに20代後半だった私が日本の大学に受け入れてもらえるか不安だったんです。すると、当時付き合っていたオレゴン出身の彼が「アメリカなら年齢を気にすることなく大学で学べる」と私を押し出してくれました。彼は日本に住んでいたのですが、転職のためオレゴンの大学に入るというので、私も追ってオレゴンへ留学。在学中に結婚し、PSUでバイオケミストリーを専攻して卒業しました。

– 卒業後はどうされましたか?
学生時代、サーモンの育成環境を保全するWild Salmon Centerでインターンをし、卒業後はそこに就職したんです。職場のビルには環境団体Ecotrustも入っていて、そこで働いていたローラさん(現・焼きそば麺メーカーUmi Organicの経営者)と親しくなりました。ローラさんと自然食料理Chef Naoko Cafeのランチに通ううち、オーナーシェフの田村なを子さんを紹介してもらえたんです。振り返ると、こうした数々の縁が私の転機に関わっているのかもしれません。なを子さんと知り合えたのですが、夫の研修でコネチカットへ引っ越すことに。コネチカットで長男を出産し、3年後にポートランドに戻り、次男を出産しました。

ー どのように料理の仕事にたどりついたのでしょう?
日本にいた頃は料理なんてしたこともなかったのですが、渡米すると日本で食べていた自分の好きなものは自分で作るしかなく、料理をするようになりました。もともと食べることは好きなので、どうせ作るならおいしいものを食べたいと、食にこだわるようになっていったんです。次男が1歳になった頃、パートタイムの仕事を探し始めました。そこで、ファンだったなを子さんへダメもとで「経験はないけど何でもします」とメッセージを送り熱意を伝え、料理の下準備などを学ばせてもらえるようになりました。ここでレストランだけではなくケータリングにも対応できる大量調理や食材の保存、美しい盛り付けなど、プロの仕事を一から教わることができたことが現在につながります。その後、なを子さんがレストランShizukuを開き、そこでも数年働かせていただきました。

ー 憩いの会で働き始めた経緯は?
息子が幼い頃、Epworth United Methodist Churchで行われる日本語の未就学児プレイグループにお弁当を持って参加していました。この教会では日系の高齢者を対象に低価格でランチを提供する憩いの会を行っていたのですが、誰にでも門戸を開きたいということで、マネージャーが「プレイグループの親子たちも憩いの会のお昼を食べませんか?」と私たちに声をかけてくれたのです。手頃な値段で栄養バランスの取れたランチが食べられたので、プレイグループの人たちはだんだんランチが楽しみになり、ほとんどの人がお弁当を持ってこなくなるほどでした。徐々に憩いの会の高齢者と子どもたちとの交流も始まり、自分もいずれ年を取ったらこんなコミュニティーに入りたいと思えるような場になっていったんです。子どもが成長し、プレイグループは卒業したのですが、あるとき、憩いの会で調理を担当していたシャロンさんが太田豆腐の経営を継ぐことになり、「調理のポジションが空いたから来ない?」とマネージャーから誘われました。その頃、私は子どもの送迎などが忙しく、なを子さんの店を辞めたばかりだったのですが、週に1回くらいからならできるかもと思い、引き受けることにしたんです。

ー 今の仕事内容を教えてください。
憩いの会のランチプログラムは、私を含め3人のシェフでメニューを決め、ボランティアの方と一緒に調理をしています。高齢者やプレイグループの参加者以外に、近くで働いたり、住んだりしている人も来ます。仕事で難しいのは、世の中のお母さんと同じで、メニューを決めること。同じものが続けば飽きるだろうし、予算もあるし…。でも、さまざまなバックグラウンドを持つボランティアの方々と働くことは面白く、いつも楽しく調理させてもらっています。

ー これから憩いの会を、どのような場にしていきたいですか?
憩いの会は日系1世が1979年に始め、現在、手伝う人は3世、4世に代替わりしてきています。日系コミュニティーに興味を持ってくださる方には誰でも参加してもらい、次世代につなげたいとマネージャーたちと話しているところです。SNSも活用しながら、日系コミュニティーに貢献できるイベントやケータリングサービスを始めるなど、活動の場を広げています。ランチの前後には無料でチェアヨガや詩吟、麻雀の会などもあり、歌の会ではギターやバイオリンの生演奏に合わせて日本語の歌を歌うんです。若い方も楽しそうですよ。もっと地域の方が来る場にしていきたいと思っています。

憩いの会 シェフ モルストロム直美さん
▲憩いの会は月火木金の午後12時から12ドルでランチを提供(65歳以上と子どもは割り引き)。予約不要で、誰でも利用できます。ランチ前後には無料アクティビティーもあります。
 
*情報は2025年10月現在のものです

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(ライトハウス編集部)