シアトルの生活情報&おすすめ観光情報

アメリカでの確定申告・タックスリターン

尾崎会計事務所

2023年度分のタックスリターン(確定申告)の締め切りは2024年4月15日ですが、タックスリターンの期限が近付くと気になるのが節税。しかし、実際は、提出直前に調べ、慌てて書類をそろえたり、準備開始が遅過ぎて間に合わなかったりすることもあるのでは?

 節税は、日頃から対策を心がけておくことが大切です。このページでは、2023年度のタックスリターンに向け、会計士としてアメリカで20年以上活躍する尾崎さんにポイントを伺いました。

2023年度のタックスリターン(確定申告)での節税の準備&対策は?

タックスリターンや節税の準備には、まず、控除項目やタックスクレジットの知識を持っておくことが重要です。今回は、節税という観点で、知っておきたい知識を簡単に解説します

標準控除と項目別控除

誰でも申請ができる標準控除の金額は、2023年度(一般的に2024年に提出)は、独身(個人)申告だと前年より900ドルアップして1万3850ドル、夫婦合算申告では1800ドル増えて2万7700ドルです。 

これとは別に項目別控除があります。項目別控除は、それぞれの経費を個別に申請するもので、項目別控除の金額が標準控除より大きくなる場合は、項目別控除を申請する方が得になる可能性があります。特に家を購入した場合などはその可能性が高いと言えます。項目別控除では、非営利団体への寄付金や医療費が控除できるので、それらの領収証は取っておきましょう。

なお、所得に応じて10〜37%まで段階的に税率が変わります。独身申告で所得が57万8125ドルを超える、または夫婦合算申告で所得が69万3750ドルを超える場合、2023年の最高税率は37%で据え置きです。

タックスクレジット

タックスリターンでは、収入から経費と控除額を引いた差額に税金が発生するものですが、それとは別に、税金そのものを減額できるタックスクレジットという制度もあり、控除と併用して申請ができます。

例えば、子どもがいる方はデイケア費用が、また大学生の子どもがいれば教育費用にタックスクレジットが適用できます。

クリーンエネルギーと省エネ

また、冷暖房の改良や、新規購入で、クレジットの対象になる可能性もあります。2023年より、「The Energy Efficient Home Improvement Credit」というタックスクレジットが始まりました。自宅のドアや窓を耐熱性の高いものに変える、セントラル・エアコンや給湯器をよりエネルギー効率の良いものに変える、住宅エネルギー診断を受けるなど、省エネに関する出費は、2023 〜2030年まで毎年30%、最大で1200ドルの控除の対象となります(バイオマスストーブとボイラーは別途クレジット限度あり)。

さらに、2022年から、自宅に太陽光発電や地熱発電を設置すると設置費用が控除の対象となっています。この「Clean Energy Property Credit」は最大で設置額の30%まで控除できます。

相続について

日本と異なり、アメリカの相続は資産を渡す側が支払います。相続でお悩みであれば、生前贈与を検討するのも手です。2023年は、受取人1人につき年間1万7000ドルまでの贈与には税金がかかりません。

年金について

節税を心がけても税金を多額に払う場合は、リタイアメントプランに使うことをおすすめします。中でもTraditional IRAは税金の控除になります。

投資について

投資をしている方は、キャピタルゲインに注意しましょう。キャピタルゲインがある場合、過去の損失が繰り越されて、キャピタルゲインと相殺されますので、これまでの購入価格や、不動産なら賃貸収入や費用など、記録を必ず取っておくことが役立ちます。なお、リターンは少ないけれどリスクも少ない投資としては、政府関連のポンドに注目しましょう。配当金がタックスフリーというメリットがあり、確実に増やしたい場合におすすめと言えます。

個人事業主

個人で事業をされている場合は、特に節税が欠かせません。自分が出した費用は、返済を受け取っていなければ控除の対象となりますし、マイレージも控除の対象です。また、14歳以上の子どもがいれば、子どもに手伝ってもらい、給料を払うことで、ビジネスの費用(控除)を増やすという選択もあります。ただし、 その場合、Kiddie Tax Credit(児童税額控除)や大学生だと大学のファイナンシャルエイドなどに影響する可能性があるため、専門家にアドバイスを仰ぐ必要があります。

 

総じて言えるのは、タックスリターンに有効かどうか定かでない出費でも、控除の対象になる可能性があると言うことです。ですから、普段から出納帳や家計簿を記録しておき、領収証を整理しておくことが、一番の節税対策と言えます。同じ理由で、会計士から常に新しい情報を得ておくことも有用です。

また、タックスリターンの手続きのちょっとした間違いで、桁違いの税金が発生してしまったり、ペナルティーを科せられてしまったり、税務署から手紙が来たり、監査が入ってしまったり、ということも起こり得ます。3年以内であれば修正申告が可能ですので、信頼できる専門家を見つけて頼ることも、広い意味では節税対策の一つと言えます。

確定申告で不安のある方は、ぜひ、尾崎真由美会計士まで一度お問い合わせください

 

アメリカでのタックス・リターン(確定申告)で知っておきたい基礎知識

アメリカで収入を得たら、税金の申告は義務です。きちんと申告して、後々困らないようにしておきましょう。今年初めてタックス・リターンを経験する人も、今まで何となく疑問があった人も、知っておいた方が良い、アメリカのタックス・リターンの基礎知識を紹介します。

アメリカのタックス・リターンとは?

アメリカのタックス・リターンとは日本でいう確定申告のことです。「タックス・リターン(Tax Return)」、言葉通りで考えれば、「税金の払い戻し」となりますが、実際には「確定申告(または税務申告)」という意味です。「還付金(Refund)」といって、納めすぎた税金を政府から払い戻してもらったり、逆に「支払い不足分(TaxDue)」がある場合は支払い義務が生じます。

タックス・リターン(アメリカの確定申告)の締切り日は?

タックス・リターン締切り日は、「毎年4月15日」です。(※15日が日祝の場合は翌週の月曜日に繰り越し)

誰でも申告しなければならない?

アメリカで収入のある方は申告しなければなりません。よって、アメリカ市民・永住権保持者だけでなく、就労ビザの方、就労ビザの配偶者の方も、そして留学生、OPTの方も、アメリカで収入がある限り、全て対象となってきます。(※18歳未満の場合は扶養者として親と一緒に申告します。)しかし、Fビザ・Jビザの方は、特別税金免除の規定(非居住者)があるため、通常のタックス・リターンとは手続きの異なる場合がありますのでご注意ください。

留学生・OPTで、収入が少ないです。それでも申告が必要?

前述の通り、たとえ短期間・少額であっても、また、アルバイト(パート)であっても、アメリカで収入がある限り申告しておきましょう。授業料も控除対象となる場合があります。また、少額であってもリファンドがあるため、申告した方が得策です。

タックスリターンの申告の締切りに遅れた場合、どうなる?

申告締切り4月15日に遅れたり、税金を支払う必要があるにも関わらず何もしていない場合は、ペナルティを課せられます。締切り後に通告届けがIRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)より郵送され、遅滞期間に応じて利子も算出され、別途、増税の扱いを受けます。万が一、締切りに遅れてしまった場合は、できる限り早い段階で、CPAまたは会計事務所に相談するなどして対処しましょう。また、事前に遅れるとわかっている場合も同様です。「延長申請」も可能ですが、支払い義務のある人は、その延長の間、利子を課せられます。しかし、もともと税金の支払い義務がなく、リファンドをもらえる場合はペナルティも利子も課せられません。

日本へ帰国する場合のアメリカの確定申告は?

たとえアメリカから日本へ帰国してしまっても、タックス・リターンは義務です。日本からでも申告可能ですので、きちんと手続きしておきましょう。

アメリカ国外にいる場合は?

世界中どこにいても申告義務があります。郵送による申請も可能ですが、Eファイリングなら、インターネットで、世界中どこからでも申請可能です。CPA・会計士に依頼する場合も、たいてい、どの事務所も海外からでも受付・対応してくれます。

どのように、いつ頃政府から返金される?

申請フォームに記入したあて先へ小切手を郵送してもらう、または、フォームに記入した指定の銀行口座へ自動振込してもらう事も可能です。返金には通常、6週間を目安にしてください。

いつまでたっても返金されない場合は?

通常、IRSへ問合わせます。(1-800-829-1040 またはオンライン www.IRS.gov)

過去の分も、再度申告可能?

申告漏れや間違いなど、ケースによっては、「過去3年間」にさかのぼり、再度タックス・リターンの申告が可能です。

タックス・リターンのために何を準備すればいい?

「SSN(ソーシャル・セキュリティ・ナンバー)」と勤務先から受取る「W-2フォーム」、この2つは必須です。個々の場合によっては、タックス・シーズンになると、自宅(郵便お届け先)へ銀行・不動産・投資・ローン関係のタックス・リターン関連書類が郵送されて来ます。申請書類として、きちんと保管して、申告の際に活用しましょう。CPA・会計士に依頼する場合はすべて提出しておきましょう。

車購入で、税金は戻って来る?

自営業・スモールビジネスの経費で購入する場合なら可能、プライベート用の買い物なら適用外です。しかし、購入時のセールスタックスは州によっては(例:テキサス州、フロリダ州)、プライベート用であっても控除対象となります。ハイブリッドカー購入であれば、クレジットをもらえます。

SSNがない場合は?

アメリカのSSNのない方、例えば、就労ビザ保持者の配偶者や扶養者(子供)は、「納税者番号(Tax ID)」を取得しなければなりません。タックス・リターン締切り日までにID取得が間に合わない場合は、IRSへタックス・リターン申請を行なう際、「Tax ID」の同時申請も可能です。CPA・会計士に依頼する際はこれらの情報も提出します。

「W-2フォーム」を紛失しました

すぐに勤務先に伝えて、再度発行してもらいましょう。W-2はタックス・リターンのための重要書類。紛失などがないよう、くれぐれも注意しましょう。

他に何を保管しておけばよい?

クレジットカード明細、銀行明細、現金払いレシート・領収書関連、レント・光熱費など、様々な請求書や、毎日の支出に関わる証拠書類は、過去の分も含め、きちんと保管しておきましょう。

全米どのCPAにでも依頼できる?

税金・確定申告は、アメリカ国内どの州のCPA・会計士にも依頼・相談することが可能です。よって自分に合った融通の利くCPA・会計士を探すとよいでしょう。(※尚、法人監査では各州のライセンスを持つCPA・会計士に依頼する必要があります。)

「レビュー(Review)」とは?

「簡易査定」のことです。CPA、会計事務所に書類を見てもらい、どの程度の払い戻しが見込めるか、事前算出を行ってもらいます。費用は、各CPA・会計事務所により無料・有料ともあります。依頼する前に査定をしてもらえる場合と、または、依頼することで、査定をしてもらう場合と、各CPA・会計事務所によりシステムが異なるため、まずは問い合わせてみましょう。

アメリカにおいて「節税」のために、普段から何をしておくべき?

毎日の生活の中でまず費用の見直しをします。タックス・リターンに有効かどうか定かでない勘定項目(出費)であっても、毎年の状況により、税金控除の対象になる場合があります。よって、普段から出納帳や家計簿などで記録されておくこと、そして様々な領収書も整理されておくことをお勧めします。

アメリカでは、具体的にどんな控除がある?

  • 初めて家を購入された方には特別控除があります。また、昨年は景気の悪さから、個人破産や抵当流れなどの方が例年以上に増加しており、そうした方のための特別規定もあります。
  • 子供のデイケア代も控除対象です。よって、デイケアの方のタックス番号をもらっておきましょう。
  • あまり知られていませんが、暖房・冷房の設備の改良や、新規購入には「エネルギー効率化クレジット」と呼ばれるものがあり、これらも控除対象となる場合があります。
  • 日本で支払った税金がアメリカの確定申告でも控除対象になる場合があります。また、日米間におけるソーシャルセキュリティ(年金)の二重支払いを避けるための日米租税条約も理解しておきましょう。
  • 日本居住のグリーンカード保持者は、日本での収入については一定金額まで免税対象となります。
  • レストランを経営していて、従業員のチップからソーシャル・セキュリティやメディケアを支払った場合はクレジットをもらえます。
  • 低所得者にはクレジットがあります。また、アメリカの軍部にお勤めの方にもクレジットがある場合もあります。
  • 会社員の方で、出張費などを会社が立て替えていない場合は「控除規定」があります。出張日数によっては、IRSの規定する計算方法により、食事やホテル代も、「免除」となる場合もあります。また、車の使用マイレージや、出張の多い方は、「何日間地元を離れたか?」なども把握しておきましょう。
  • 「転職した」、「結婚した」、「子供ができた」なども確定申告に影響を及ぼす場合があります。ここ一年の生活や状況を振り返り、いろいろ見直してみましょう。
尾崎会計事務所は、日本語と英語でお客様のお手伝いをさせて頂いております。税金を払いすぎている気がする、もっと事業の費用を削りたい。そして収入アップ、自分と家族のための貯蓄を増やしたい。ビザ更新について、確定申告は必要か?など、あらゆるご質問にお答えします。

▲ ページトップに戻る

確定申告・タックスリターン以外のアメリカでの税金関連情報

新しい税法もとりいれながら、日ごろからできる節税とは

確定申告の直前に「節税の仕方」について調べる始める方が多いですが、実際はその時点では遅すぎるというのが実情です。そのために、来年の節税に向けて今から準備と対策を心がけましょう。


アメリカから日本への帰国前に準備すべき出国税、FBAR、FATCAとは?

アメリカから日本に帰国する前、多くの人が悩むのが、永住権・市民権の保持または放棄の選択。そこには税金が大きく関係してきます。会計士の尾崎真由美さんに、帰国前に気をつけるべき税金と申告について解説いただきました。


尾崎会計事務所 Todd’s Accounting Services|(ワシントン州、オレゴン州)



会計士 尾崎真由美

18001 Old Cutler Rd., Suite 454, Miami, FL 33157
Tel: 1-877-827-1040
Eメール:info@1040ca.com
ウェブサイト:http://1040ca.com

シアトルオフィス
11811 NE 1st St Suite 102, Bellevue, WA 98052
Tel: 425-233-6155


【業務内容】
確定申告、経理アウトソーシング、法人およびLLC設立、バーチャルオフィス、日米不動産投資税務、相続税、FBAR、ITIN

PR