Valentine’s Day

第169回　Valentine’s Day
2003年に製作され話題を呼んだ「Love Actually」のハリウッド版とでも言うべき本作「Valentine’s Day」が、バレンタインズ・デーの2日前、2月12日（金）に公開されました。公開翌日の13日（土）に見に行ったところ、劇場は超満員。そんな環境で映画を見るのはずいぶん久しぶりのことだったのですが、なかなか楽しめました。
何を差し置いても、この映画はキャストの豪華さが目玉。右上の情報欄に載せたキャストに加えて、アン・ハサウェイ、ジュリア・ロバーツ、ジェイミー・フォックス、ジェシカ・ビール、クイーン・ラティファ、挙げ句には10代の間で大人気のカントリー歌手、テイラー・スウィフトまで出演。さすがハリウッド、まだまだ大丈夫だなあと思わず感心してしまうラインナップです。
ストーリーはまるっきり「Love Actually」を踏襲しており、舞台がロンドンからロサンゼルスへ、クリスマスがバレンタインズ・デーにすり替わったくらい。それぞれのカップルがほかのカップルの人生にも知らず知らずのうちにかかわっているという設定も同じです。
オーシャンズ・シリーズにしろ何にしろ、こういったキャストの豪華さを全面に押し出した映画は、野球やフットボールのオールスター・ゲームと同じで、全体的なストーリーよりも個々のキャラクターに注目が行きがちですが、本作もまさにその典型的な例。ストーリーは何の変哲もないラブ・コメディーで、サプライズは一切なし。あまりにカップル数が多いせいで、キャラクターを深いところまで描写したシーンもありません。しかし、ターゲット・オーディエンスのことを考えると、案外それでも大丈夫、というのが泣きどころです。友達同士や恋人同士で、こんなカップルないよね、って確かめ合いながら軽く笑って済ませるのが、いちばん楽しめる鑑賞の仕方なのでしょう。
「Love Actually」を見ていない方には、ぜひこの作品と見比べて考えて欲しいのですが、本作には「Love Actually」にはあった上品さや、本当にロマンチックな場面が決定的に抜け落ちています。それがハリウッド映画だからなのか、舞台となったロサンゼルスのせいなのか、はたまた脚本のせいなのか、おそらくは全部なのでしょうが、まあこんなものだよな程度の仕上がりになっているのが、非常に残念でした。そういうわけで、本作がこの先のバレンタインズ・デーに語られるような映画になることはまずないと言って良いと思います。

3月公開の注目作品

Alice in Wonderland
監督：ティム・バートン
出演：ジョニー・デップ、ミア・ワシコウスカほか
公開日：3月5日（金）
奇才ティム・バートン監督による実写映画。ティム・バートンらしい奇妙で独特な世界観の中を、ウサギの穴に落ちて迷い込んでしまった少女アリスが冒険するストーリー。ジョニー・デップが演じるいかれた帽子屋にも注目。

Remember Me
監督：アレン・コールター
出演：ロバート・パティンソン、エミリー・デ・レイビンほか
公開日：3月12日（金）
トワイライト・シリーズで人気絶頂のロバート・パティンソンが主演する、新作ロマンス映画。似たような境遇の暗い過去を背負う男女が、恋愛を通して活力や幸せを与え合うラブ・ストーリー。

Hot Tub Time Machine
監督：スティーブ・ピンク
出演：ジョン・キューザック、クリスピン・グローバーほか
公開日：3月26日（金）
中年4人組が生きることに退屈を覚え、人生をやり直そうと決意。ある日、ひょんなことから1986年へとタイムスリップしてしまう。これが将来を変える、最後のチャンスと思い一生懸命奮闘するのだが……。