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22歳女性です。子宮頸がん検診を受ける必要がありますか?

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22歳女性です。子宮頸がん検診を受ける必要がありますか?

< 回答者|一般内科医 吉岡みのりさん>

この検診は、1度でも性交渉を持ったことのある女性すべてが対象です。「子宮頸がん」とは子宮の入り口部分にできるがんです。このがんがほかのがんと異なるのは、定期的に検診を受けることでがんになる前に発見することができ、治療によってほぼ完全に治癒する点です。つまり、自分の努力で防ぐことができるのです。

日本では、残念ながら子宮頸がん検診はあまり普及していません。近年の厚生労働省の調査によると、日本での子宮頸がん検診の受診率は15%程度です。いっぽうアメリカでは80%以上の女性が3年以内に1度は検診を受けています。子宮頸がんは、性交渉によりうつるヒューマン・パピローマ・ウイルス(HPV)が原因で起こります。女性、男性共に、かかっていても無症状です※。多くの場合、免疫システムがウイルスを体から追い出してくれますが、排除できずにウイルスが居着くことがあります。それが頸部の細胞に異変を起こし、何年後かに、がんに進行する可能性があります。

症状が出た時点では、がんは進行していることがほとんどなので、その前に発見するのがこの検診の目的です。検診では、内診によって子宮頸部をプラスティックのブラシでこすり細胞を摂取しますが、痛みはありません。HPVが性交渉でうつることを考えれば、10代の女性でも検診が必要です。初めての性交渉から3年程度で検診を開始し、以後、年に1度検診に行きましょう。ただし、数十年間同じパートナーのみで、検診の結果が3年間正常であった場合は、検診を受けるのは2、3年に1度で十分でしょう。日本では婦人科に行く必要がありますが、アメリカではかかりつけの内科、家庭医のクリニックで簡単に行えます。HPVの予防接種も有効です。費用については、加入している医療保険会社に問い合わせてください。多くの保険が全額カバーしているようです。自費の場合は事前に各クリニックに問い合わせると良いでしょう。

※HPVの中には陰部いぼを起こすものがありますが、がんを起こすのとは別のタイプです。

(2008年2月)

一般内科医 吉岡みのりさん


国立岡山大学医学部卒。東京の国立国際医療センターにて日本の内科研修を修了。バージニア・メイソン・メディカルセンターにて米国内科研修を修了。米国内科専門医。下記、バージニア・メイソン・メディカルセンター、ウェブサイトの「Find a Physician」 コーナーで、詳しいプロフィールが見られる。

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