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不動産を購入する際、“その所有期間を重視するべき”と聞きました。その理由は?

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

不動産を購入する際、“その所有期間を重視するべき”と聞きました。その理由は?

< 回答者|コールドウェル・バンカー・ベイン 下村真美さん>

日本で不動産購入と言うと、特に1軒家の場合、子孫に残すほどの長期所有を考える傾向がありますが、実用的なアメリカ人は、ヤドカリ精神でその時の必要性に合わせて家を次々移り変わり、その年数は平均7年と言われています。よくあるケースとしては、学校卒業後、職が定まると共に手頃なコンドミニアムを買い、結婚後小さな1軒家に移ります。そして子供の数やニーズに合わせてもっと大きな1軒家、その間仕事に合わせて転居。子供が巣立つとメンテナンスのしやすい小さい平屋や長期の旅行に出掛けても安心なコンドミニアム、最近は退職者向けのコミュニティーの物件を買うケースもよく見られます。

所有期間をよく考えるという理由は、住む年数で物件自体の選び方も、ローンの組み方も違ってくるからです。以下3つの例を挙げてみます。1. 1~3年の場合:賃貸か購入か考えると思いますが、マーケット状態が上昇気味なら、購入を視野に入れてみましょう。大工仕事ができる方なら修理の必要な物件を買い、手を入れて高く売ることも可能です。ローンは3年間不変動などの短期のアジャスタブルにし、なるべく毎月の支払いを少なめにします。住みながらリニューアルをするのは大変ですが、投資目的の不動産ローンより利息が低いので、売却時に掛かる約10%のコストを考慮しても、経済的にはとてもプラスになります。2. 4~7年の場合:その時の自分達の生活パターンを重視して物件を選びましょう。売る時のことも考え、リモデルは骨組みを変えなくてもできるようなものが良いかもしれません。ローンも市場が落ち着いている状態なら、短期のアジャスタブル、または長期の利息が固定されているものでも良いと思います。3. 7年以上の場合:変えられないロケーションや太陽の当たり方、莫大な金額の修理などに十分注意を払いましょう。買った後のリモデルも、長期で楽しむ分個性が出せます。ローンはやはり30年などの利息固定のものが良いでしょう。数年して利率が下がったら、その時にまた組み直せばいいのです。

物件はふたつと同じものはありません。100%満足できるものはとても稀ですので、何がその時に大切かをよく考慮して選んでください。ローンの種類も山ほどあるので、経験の深いローンの専門家とよく話して決めることを勧めます。

(2008年2月)

コールドウェル・バンカー・ベイン 下村真美さん 


73年に京都からイリノイ州に移り、イリノイ州立大学を卒業後、78年にシアトルへ。87年、全米不動産会社で名高い、コールドウェル・バンカーに入社し、20年以上トップ5%を継続。99年にCRS(Certification of Residential Specialist)を取得。04年にはシアトル・マガジンで不動産エージェント“ベスト・イン・クライアント・サティスファクション”にも選ばれた。

Mami Shimomura, CRS, Associate Broker, Coldwell Banker Bain Associates TEL: 206-718-6264