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震災の経験を通して、今後子供達にできることを教えてください

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

震災の経験を通して、今後子供達にできることを教えてください

< 回答者|めぐみ保育園 園長 鈴木芳美さん>

2011年3月11日の東日本大震災後、スタッフと突然の地震と大津波で恐ろしい体験をした子供の心の傷について話し合い、当園の子供達には家族を失った悲しみの中にいる人々が存在することを伝えました。その結果、5、6歳クラスの子供が「被災したお友達に手紙を書こう」と、慰めと優しい言葉で短い文や絵を描いたり、幼少クラスの子供もお小遣いの小銭を大事そうに持って来てくれました。

保育園の保護者が中心になり募金運動のバザーが計画され、同日、同じ目的でバザーを行ったS保育園と、後日行ったH幼稚園とは互いに宣伝し協力し合ったので、多くの方々が立ち寄り、絆の大切さを実感させられ「皆が集まれば大きな力になる」という経験をしました。

周りの人をいたわるこの経験を通して、今後子供自身が不安な時、困った時は、周りの人も助けてくれること、それが絆であるということを伝えました。

人に優しく、周りを思いやれる「優しい子」に育てるには、子供が「愛されて育つ」ことが何よりも大切です。普段の日常生活における親からの言葉掛けの中で、心からの愛情が子供に伝わるということを忘れないでください。親御さんに実際に心掛けて欲しいこととして、以下のことが挙げられます。

・子供からの質問や話し掛けには「後で……」と言わずに、まずは聞いてあげるようにしましょう。
・愛情を持って子供の話を受け止め、会話を増やす努力をしましょう。
・会話の中で、誉めてあげ、励まし、また問題に対して自分で解決するように、考えさせる力を養わせましょう。

まずどんな時も子供を受け止める。子供が不安に感じている時だけでなく、普段から愛情を示すチャンスはたくさんあります。

3月11日(日)に行われる「ソングズ・オブ・ホープ」主催の東日本大震災復興を支援する100人合唱チャリティー・コンサートにも協力し、子供達がこれから長い人生を生きていく上で重要な、人と絆の大切さを引き続き伝えていきたいと思います。家庭でも子供に家族、友人との結び付きを大事にすることや、助け合いの精神を教えてください。

(2012年2月)

めぐみ保育園 園長 鈴木芳美さん


13歳の時に、父の赴任地シアトルへ家族と移り住み、今年で28年。現在はアメリカの市民権を取得し、協力的で頼もしい夫と10歳、4歳の息子と暮らす。大学では幼児保育を専攻し、1992年に「めぐみ保育園」を開園。「大切な命を預かっている」という責任を心に重く感じつつ日々を過ごす。

Megumi Pre-School 
TEL : 425-827-2540(ベルビュー校) TEL : 206-723-8818(シアトル校) 
www.megumipreschool.com