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【私の転機】ペットサロンPosh オーナー 古川真弓さん

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シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー

昨年11月にオープンしたベルビューのペットサロンPosh。フライトアテンダントからグルーマーに転身したというオーナーの古川さんにこれまでの転機を伺いました。(2018年3月)

ペットサロンPosh オーナー 古川真弓さん
古川真弓(ふるかわ・まゆみ)

岐阜県出身。オーストラリアの高校卒業後、成田の航空系専門学校を経て、成田空港に就職。その後渡米し、1999年、ユナイテッド航空に就職。2001年、グルーミングの専門学校を経てグルーマーに転身。2017年11月、自身がオーナーとなるサロンPoshをオープン。(www.poshpetbellevue.com

高校生の時、近所に留学生が来たのを機に留学したくなり、オーストラリアの高校に編入しました。高校卒業後はフライトアテンダントに憧れ、日本の航空系専門学校へ。成田空港のVIPラウンジに就職しました。その後、家庭の事情でシアトルに引っ越し、ユナイテッド航空のフライトアテンダント試験に合格。夢が叶いました。

2001年9月、NY便の仕事が入ったんです。自由時間があり、朝からワールド・トレード・センターに行くことにしました。が、その日に限り、かけたはずのアラームが鳴らず起きられなかったんです。サイレンの音で目覚め、テレビを点けるとテロの直後。私がいるはずだったビルが映っていたんです。恐怖で鳥肌が立ちました…。

テロ後、仕事は自宅待機となり、この仕事を続けられるか?と自問しました。飛行機のセキュリティーを信用できなくなった自分。お客さんを疑いながら接客するくらいなら辞めようと退社しました。

– グルーマーとしての理想と現実の狭間で
実は渡米後から犬を飼い始め、初めてのグルーミングで、私の犬は乳首と耳を切られ、何の説明もなかったんです。以来、自分で犬の毛をカットしていました。これなら私にできそうだと、退社後はグルーマーの専門学校に入学。修了してサロンやペットホテルで経験を積みました。

グルーマーになって数年すると、当時ベルビューで1番大きかったサロンから声がかかりました。ここでの仕事は刺激もあり勉強になりましたね。ドッグショーに出る犬もいれば、いろんな犬のカットも経験しましたし。オーナーの都合で閉店する16年の夏まで約10年働きました。

ただ、ここでずっと疑問に感じていたのが、朝、大量に犬をチェックインさせ、トレーニングもままならない人が犬を洗い、グルーマーは次から次へと仕事をこなし、夕方に犬を返す仕事のやり方。その後、別のサロンに転職しましたが、ここでもオーナーからは「お客さんと話す時間はムダ。日々、頭数をこなすように」と言われたんです。

アメリカの多くのサロンではお客さんとの対話を重視しません。それに特別な教育を受けなくてもフロントや犬を洗う人、グルーマーにすらなれてしまいます。私は美容師がお客さんの好みやライフスタイルを聞いてカットを提案するように、お客さん一人一人との時間を大事にしたいし、犬を良く分かるプロだけがパーフェクトな状態で犬を触るべきだと思うんです。

今の環境ではダメだと日本の父に相談しました。すると父は「頑張れ、最後のチャンスだ。やってみろ」と私に出資してくれたんです。こうして昨年11月、自分のサロンをオープンしました。

– 犬と飼い主、皆がハッピーになれる店に
私が正しいと思う方法でもビジネスになると証明したいです。やっと自分のやりたいことができるようになり、忙しいけど幸せです。

今はグルーミングが嫌いな犬や他店で拒否された犬にもじっくり時間をかけられています。自分がオーナーだからこそですね。施設で保護された犬のカットや、飼い主の教育の機会、アダプトのイベントなど、犬に関することはなんでもやって、犬好きのおばちゃんの所に寄る感覚でいろんな人に来てほしいです。

ペットサロンPosh オーナー 古川真弓さん
▲ 「お客さんからありがとうと言われるとうれしくて、スタッフと毎日『やっててよかったね』と言い合っている」と古川さん。
 
*情報は2018年3月現在のものです