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2006年シーズンのシアトル・マリナーズ

※このページは、2006年シーズンのシアトル・マリナーズについて、2006年4月から10月にかけてのシーズン中に作成・掲載された記事を基に再編集したものです。

いよいよ開幕!今年のマリナーズは?

  
 2年連続地区最下位の屈辱から、マリナーズはどう立ち直るのか?
今年こそ復活を……と書きたいところだが、春のキャンプを見る限り、相変わらず厳しい現実が見える。
さて、その懸念とは何か。チーム状態を投手、打撃に分けて分析してみた。
(取材・文/丹羽政善)※本文中のデータは3月13日現在のものです。
 
  
  継投に課題の残る投手陣
今年もマリナーズは、厳しいシーズンを迎えることになるのか? そう問われたら、「大丈夫 !」――とは、楽観視できない。ある程度は、過去2年同様、厳しいシーズンになると覚悟が必要かもしれない。

オープン戦が始まり、6試合を終えた段階での勝敗は1勝5敗。この数字には何の意味もないが、その6試合の投手防御率はなんと、11.94 ! これは、マイナーリーガーが多く登板していることも理由に挙げられようが、他チームも同じような条件なだけに、心配な数字である。

その6試合を振り返れば、先発投手はなんとか試合を作っているものの、2番手以降のブルペン投手が、崩壊してしまっている。7日のミルウォーキー・ブルワーズ戦では、1イニングで11点を許すという場面もあった。先発の5人は、ジェイミー・モイヤー、ジャロッド・ウォッシュバーン、ジョエル・ピネイロ、フェリックス・ヘルナンデス、ギル・メッシュで計算は立つ。しかし、抑えのエディ・ガーダドまでの流れが、全く見えない。J・J・プッツなどが出遅れていることもあって、マイク・ハーグローブ監督も、6回以降の継投が白紙状態に違いない。

先発が中盤まで試合を作っても、終盤に突き放されるパターン。このままなら、昨年同様の試合展開を覚悟しなければならない。

城島、バッティングに苦心
打線に関してはここまで、まずまずと言えよう。イチロー、エイドリアン・ベルトレを欠きながら、チーム打率.317は、リーグ3位となっている。しかしながら、それが相変わらず得点にはつながっておらず、オープン戦6試合の時点で31得点はリーグ9位。8日に行われた対全日本戦でも、チャンスでタイムリーが出ない。隣で見ていたシアトルP-I紙のジョン・ヒッキー記者などは、「昨年と全く変わらない」と嘆き、まだ、ベスト・オーダーを組めない要素を差し引いても、厳しさが漂っている。

おそらく、オフェンス的な要素も期待されて入団した城島健司も、オープン戦では、なかなかヒットが出ずに苦しんでいる。「彼が6、7番に座ってくれれば……」という、ハーグローブ監督の思惑もあるはずだが、今のままでは、2番にするのか下位に置くのか、判断のしようがないだろう。

城島は今、メジャー特有のムービング・ファスト・ボールに戸惑っている。3月11日の試合では本塁打を含む3安打と気を吐いたが、手元で微妙に変化するその球を克服したとは言えず、ゴロになるケースが多い。それに対応するため、手首を返さない打ち方などを試みているものの、開幕まで間に合うかどうか。

本人も、「頭で考えたからと言って、すぐにできるわけじゃない」と、バッティングに関しては、しばらく苦労するであろうことを認めている。

イチローの次に打席に立つのは?
となると、今年もマリナーズ打線は、イチロー頼み? しかしながら、イチローの後ろを打つ2番打者が、今年も固定できない。この2番という打順が、昨年のように不安定となれば、今年もイチローの出塁を生かせないことになる。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、エイドリアン・ベルトレが絶好調。彼と、リッチー・セクソンにどうやってつなぐのか、今年もオフェンスの課題は、その辺りにありそうだ。

ところで、シーズン前は比較的楽観的な地元メディアからも、いい話が聞こえてこない。「今年もダメならば、監督を始め、ビル・バベーシGMも、その責任を問われるだろう」――と、話はもう、そんなところにまで発展しているのだ。ルー・ピネラ監督が去り、再建モードに入ったはずのチームは、またしても仕切り直しを迫られることになりそうだ。

悪循環のマリナーズ…。断ち切る術は?

  
 いろんな面で、マリナーズは悪循環に苦しむ。ただ、同地区のライバルもお付き合い。
これだけの借金を抱え、まだ地区優勝に望みがあるのは信じ難い。
なんとか相手が苦しんでいるうちに、マリナーズもリズムをつかみたいのだが……。
(取材・文/丹羽政善)※本文中のデータは5月15日現在のものです。
 
  
  数字が出せない選手達
数字が、その選手のすべてではない。例えば、ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムから移籍してきたジャロッド・ウォッシュバーンは、チーム・ワーストの5敗を喫しているが、投球内容は今一番安定している。対照的に、ギル・メッシュはずっと不安定で、防御率もウォッシュバーンより悪いのに、勝ち星は上回っている。打線の援護や相手投手の良し悪しなど、投手の勝敗にはさまざまな要素が絡む。だから、数字で選手を評価することは危険なのである。
ただ、数字が悪くて、なおかつチーム貢献もできない場合は別だ。例えば、リッチー・セクソンとエイドリアン・ベルトレ。セクソンの成績は、打率1割9分6厘、4本塁打、18打点。ベルトレは、打率2割1分8厘、2本塁打、11打点。打率はこれでも構わない、得点圏で打ってくれさえすれば。しかし、セクソンの得点圏打率は2割2分5厘で、打点16。ベルトレは1割2分5厘で、9打点。これではもう、彼らを擁護する材料はない。「最近、強い当たりが出るようになった」などという言葉も、結果が伴わなければ全く意味がない。
今季のセクソンの年俸は1,300万ドル(約14億3,000万円)。ベルトレは1,290万ドル(約14億2,000万円)。合わせて2,590万ドルは、チーム全体の4分の1以上。それでいて、チームの勝利に貢献するどころか足を引っ張っているのだから、非難の矛先が彼らに向かうことはもう止めようがない。彼らに対するブーイングも正当な評価である。

課題が残る選手補強
一方で、期待されながらもメジャーに定着できなかったホセ・ロペスが活躍を続けている。打率2割8分8厘、5本塁打。得点圏打率は4割1分で、打点28はチーム・トップ。年俸は、わずか33万5,000ドル(約3,685万円)で、セクソンらの3パーセントにも満たない。打点は、ベルトレの2.5倍。ここに来てようやく、生え抜きの選手が実績を出し始めた。
セクソン、ベルトレの獲得に象徴されるように、ここ数年、マリナーズの打つ手は後手後手だ。期待を掛けながら、選手の不調に我慢できなくて放出すると活躍する。シカゴ・ホワイトソックスのスコット・ポドセドニク、デトロイト・タイガースのカルロス・ギーエン、コロラド・ロッキーズのブライアン・フエンテスは、いずれもオールスターになった。
逆に、フリーエージェント(FA)、トレードで獲得した選手は、ことごとく期待を裏切る。リッチ・オリリア、スコット・スピージオ、ジェフ・シリロ……。中途半端なお金の使い方が非難されて、セクソン、ベルトレには大金を注ぎ込んだが、今のところ効果なし。2001年ごろまではそれでも、アーロン・シーリー、ブレット・ブーン、ジョン・オルルドらを効果的に獲得して勝ちにつなげたが、今では、そんな補強から遠ざかって久しい。

至るところに広がる悪影響
監督の問題でもあるだろう。GMの問題でもあるだろう。若い選手を育てられぬ、ファーム・システムに問題があるのかもしれない。フロントの改革にも失敗している。長期的なビジョンがまるでなく、なまじお金があるだけに、方向性をお金で買い換える。それがことごとく失敗につながっている。
さすがにファンも「NO」というメッセージを出し始めた。開幕以来、セイフコ・フィールドの観客減は深刻で、最低観客数を今年に入って、何度も塗り替えた。良い時には年間300万人を超えていたが、今年は200万人を超えるかどうか。大幅な収入減は避けられないだろう。となると、来季以降の選手予算は縮小か。セクソン、ベルトレの高額年俸が、いっそうチームの首を絞め、彼らの不振はそんなところにも影響をもたらしている。
ただ、そんな悪循環に苦しみながらも、チームは一応プレー・オフ圏内に踏み止まっている。なんとか粘り続けるなら、徐々にチームも自信を付けるかもしれない。

見えないマリナーズの方向性

  
 マイク・ハーグローブ監督解任の噂が流れている。同時に、ビル・バベシGMもチームを去れば、このチームはリセットを迫られることになり、今後の方向性は、ますます不透明だ。
さて、そんな流れはどうして生まれたのか。その経緯を追った。
(取材・文/丹羽政善)※本文中のデータは6月14日現在のものです。
 
  
  ハーグローブ監督解任はあるか
ちょっと不思議な状況になってきている。現時点(6月14日)では、地区首位のテキサス・レンジャーズまで4.5ゲーム差だが、シーズン途中での監督解任が噂されている。今号が配布される7月1日まで、マイク・ハーグローブは、マリナーズの監督でいられるのかどうか。

その噂を初めて聞いたのは、5月終わりにマリナーズが6連敗をした際。その直後にレンジャーズに大勝して7連敗は免れたのだが、その試合で負けていれば、その場で解雇が決まっていたかもしれなかったという。

勝ったことでかろうじてつながった首だが、次のホームで負け越せば解雇という状況だったらしい。ただ、ハーグローグも悪運が強い? ホーム7連戦の最初の4試合の相手が、なんとメジャー最弱のカンザスシティー・ロイヤルズ。ここでマリナーズが3勝1敗と勝ち越すと、また解雇問題が先延ばしとなった。その後も、ミネソタ・ツインズに2勝1敗、ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムに3連勝して、ひとまず続投という形になった。

しかし、地元紙のブログや、投稿欄を読んでいると、マリナーズが勝つことを必ずしも喜んでいない風潮になっている。つまり、ハーグローブには、ビル・バベシGMと一緒に退陣して欲しいという声が多く、そのためなら負けてもいいという奇妙な流れなのだ。ハーグローブの不人気は今年に始まったことではないが、そういうファンからの圧力もチームは感じているのかもしれない。

もちろん、ハーグローブが解雇されれば、バベシも一緒に退くことになるだろう。ハーグローブとの契約に始まり、手掛けた数々のトレードがことごとく失敗。地元ファンとの結び付きも弱く、擁護の声はない。


見極めが難しい決断のタイミング

後任問題だが、残りのシーズンは、コーチのダン・ローンがその職を引き継ぐと見られる。タコマ・レニアズの監督を長年務めた彼は、来季に関しても有力なひとり。ただ、本命ではないだけに、今季限りという見方が強い。

さて、監督が変われば強くなるのか? 本当にそうなら、やはりハーグローブの責任ということになる。変わらなければ、やはり戦力的な問題。チームを作ったのはGMのバベシだから、彼に非は集中しよう。いずれにしてもシーズン途中での監督解任は、マリナーズにとって異例。比較的コンサバティブなチームなだけに、こういうシナリオがシーズン途中に漏れてきたことにも耳を疑った。

こうなった以上、遅かれ早かれ、ハーグローブは監督を辞めるのだろう。ただ、このところ勝っているだけに、そのタイミングが難しい。確かに一気に負けてくれたほうが、その決断も容易。本当は、それを考えた時点で、あとひとつ負けたらとか、次のホーム・スタンドで負けたらとか、条件を考えるべきではなかった。

懸念される選手への影響
多くのメディアがすでに知っているのだから、選手も当然知っているはず。そんな中でプレーをするのは、煩わしいだけだ。解雇か否か、選手はそのはっきりとしたフロントの方向性を知りたいと思っているだろう。
考えてみれば、その方向性が、このチームの不透明な部分。打撃のチームを作るのか、投手中心のチームを作るのか。それがどちらにも中途半端だし、トレード戦略にしても、今必要なのは即戦力なのに、何の保証もない4、5年後の選手ばかりを獲得する。そうして獲得した選手のほとんどが、キャンプで失敗の烙印を押されている。

仮に、ハーグローブが解雇され、バベシがチームを去っても、しばらくは厳しいシーズンが続くだろう。まずは、現状の戦力を整理する時間が必要。しかし、今年でプレー・オフを逃せば5年連続。もう、ファンの我慢も限界。観客数の減少には、監督の解雇ぐらいでは歯止めが掛かりそうにない。
このチームはどこへ向かうのか。オールスターまでに何らかの動きがあるかもしれない。

シーズンもあと2カ月、マリナーズは今年こそ地区優勝できる?

  
 過去2年は、シーフェアを迎えるはるか前にシーズンが終わってしまっていた。しかしながら今年は、なんとか前半を
終えて、地区優勝の射程圏にとどまった。後半次第では、当然地区優勝のチャンス。現状はどうなのか?
(取材・文/丹羽政善)※本文中のデータは7月13日現在のものです。
 
  
 リードの代役探しは?
マリナーズは前半を43勝46敗で折り返した。地区首位で並んでいたオークランド・アスレチックス、テキサス・レンジャーズとはわずか2.5ゲーム差だった。過去2年を考えれば後半に希望が持てるその差は、8月を迎えてどうなっているのだろう。

ただ、残念ながら状況は厳しい。7月2日、ジェレミー ・ リードが右手親指を骨折し、復帰は早くても9月上旬。骨折の翌日、AAAのタコマ・レニアズから秋信守を昇格させたものの、元々、肩は強いが守備が不安という選手。メジャー合流でその不安をさらけ出すと、それが打撃にも影響したのか数字を残せず、後半戦を前に降格になった。

もちろん、センターには実績のあるウィリー・ブルームキストを代役として使うこともできるが、そのためにベンチ層が薄くなるというマイナス面が生まれる。理想はトレードによる補強だが、7月31日のトレード・デッドラインまでに、マリナーズはどんな動きができたのか。

先発、ブルペンとも戦力補強望む
投手陣も、現状では若干、手駒がショートしている。開幕以来、ジェイミー・モイヤー、ギル・メッシュ、ジョエル・ピネイロ、ジャロッド・ウォッシュバーン、フェリックス・ヘルナンデスの5人がローテーションを守り通している。それは素晴らしいことだが、ウォッシュバーン、ピネイロが不安定。6月には1度、マイク・ハーグローブ監督がピネイロを先発から外すことも示唆しているが、何しろ代わりがいない。地区優勝を争うには、また来年以降を考えれば、もうひとり先発が欲しい。それをマイナーの選手に期待するのか、トレードに頼るのか。

エディ・ ガダードが抜け、ブルペンも少し寂しい。ラファエル・ソリアーノ、J・J・プッツは安定している。しかし、リードしながら先発が5回でマウンドを降りてしまった時などは、そのふたりにつなぐ継投が難しい。ジョージ・シェリルはそこまで安定感はないし、フリオ・マテオも出来にムラがある。7月の初旬に少し肩を痛めているソリアーノに、2イニングを投げさせるなど無理を強いることはできない。

打線はジョーンズ頼み?
打線に関しては、リードの抜けた穴をどう補うか。後半明け、マリナーズは好打者と評判のアダム・ジョーンズをマイナーから昇格させた。おそらく、打つだけならリードより上。しかし、守るほうは、昨年ショートからコンバートされた選手だけに、不安はある。

指名打者のカール・エベレットも不振。7月、日本のファンにはおなじみのロベルト・ペタジーニを代わりに起用するのでは、という話もあったが、結局彼は放出されてしまった。この8月の時点で、まだエベレットがチームにいるかどうかわからない状況。今ごろ、AAAからクリス・スネリングを昇格させて、彼が指名打者になっていても不思議ではない。

仮にジョーンズがダメなら……いよいよ本格的にトレードだ。理想は、打てるセンター。現時点でトレード市場を見渡せば、トリー・ハンター(ミネソタ・ツインズ)らの名前が挙がっているが、マリナーズには相手を満足させるような選手がいない。もちろん、彼らが欲しがるであろう選手、例えばホセ・ロペス、ユニエスキー・ベタンコートなどは、マリナーズも出せない。おそらく実現しない話だろう。

ライバルも決め手欠く
アスレチックスはけが人が多く、レンジャーズは先発投手が相変わらず弱い。ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムは得点力が課題と、それぞれに問題を抱えている。

この西地区は、抜け出すというより、落ちないことが重要になるのかもしれない。9月まで今の状態で進み、9月の下旬にすっと抜け出したチームが優勝する。となればもちろん、マリナーズにも地区優勝する可能性があるわけだが、とにかく5割前後でこのまま離されず付いて行けるかどうかが今後のカギだろう。

マリナーズ、5年連続でポスト・シーズン逃す

  
 8月の11連敗がなかったら……。あの後、チームは調子を取り戻しただけに、残念。
しかしながら、今季のマリナーズには、来季に向けての明るい話題もある。
先発投手さえうまく補強できれば、来季は期待できそうだ。
(取材・文/丹羽政善)※本文中のデータは9月13日現在のものです。
 
  
 

来季の布陣はどうなる?
今年もポスト・シーズンに出ることなく、マリナーズのシーズンが終わってしまった。しかしながら、8月中旬まではプレーオフ出場の望みがあったし、9月に入って強い勝ち方を見せるなど、来季につながるものもあった。今季終盤の流れから来季を予想するなら、さほど悲観することもない。以下、来季のメンバーを予想してみる。

先発投手フェリックス・ヘルナンデス
ジャロッド・ウォッシュバーン
セットアッパーマーク・ロウ
ラファエル・ソリアーノ
ジョージ・シェリル
クローザーJ・J・プッツ
一塁リッチー・セクソン
二塁ホセ・ロペス
三塁エイドリアン・ベルトレ
遊撃ユニエスキー・ベタンコート
左翼ラウル・イバネス
中堅イチロー
右翼クリス・スネリング
捕手城島健司
指名打者ベン・ブローサード

ざっと見渡せば、野手に関してはさほど懸念は感じない。もちろん、今年初めのようにベルトレとセクソンが揃って不振に陥れば怖いが、彼らが終盤並みの活躍をしてくれれば、十分プレーオフを狙える打線だ。セクソンのトレードの噂が出ているが、その場合は一塁にブローサードが入り、新たな指名打者、いや、イバネスが指命打者に戻るなら左翼手を探さなければならない。しかし、当面はマイク・モースらでしのげるかもしれない。

セットアッパーもいい。今季半ばにデビューしたロウは、ひじを痛めて離脱したが、18回2/3を投げて防御率1.93という数字を残した。回復すれば、大いに期待できる。また8月の終わりに、頭部に打球を受けたソリアーノだが、大事には至らなかった。彼もまた力強く復帰を果たせば、ロウとふたりで強力なセットアッパーとなる。そこに左腕のシェリルが絡めば、メジャーでも屈指のブルペンと言えるだろう。

今季途中からエディ・ガーダドに代わってクローザーに昇格したプッツは、32セーブを記録(9月13日現在)。制球も安定しており、来季はメジャー・トップクラスとしてのクローザーになる可能性を秘めている。

先発投手の獲得が課題
問題は先発投手陣。今のところ、ふたりしか確定している投手がいないが、フリー・エージェント(FA)のギル・メッシュが残留すれば、彼がここに加わる。だが、まだふたりほど先発が足りない。おそらく、ジョエル・ピネイロがチームを出るだろうから、残り2枠は終盤に入って先発に回ったジェイク・ウッズ、白嗟承が候補。だが、彼らで1年を乗り切れるわけではないだろう。よって、マリナーズはふたりの先発投手が、このオフの補強ポイントになるはずだ。

補強候補として名前が挙がっているのが、地元出身のジェイソン・シュミット(サンフランシスコ・ジャイアンツ)とアダム・イートン(テキサス・レンジャーズ)だが、松坂大輔についても、たびたび地元紙で紹介されている。理想を言えば、シュミットと松坂だが、そこまでお金があるのかどうか。松坂の場合は、移籍に多額のポスティング費も掛かるとされる。それは、やはり松坂を狙っているニューヨーク・ヤンキース、ニューヨーク・メッツなども条件は同じだが、彼らは底なしの予算を持つだけに、対抗できるのかどうか。いずれにしても最低ひとりは、エース格の投手を獲得したいところだろう。メッシュが他チームと契約する場合は、さらにあとひとり必要だ。

監督、コーチに関しても不確定要素は多い。マイク・ハーグローブ監督は解雇されるだろう、というのがもっぱらの噂。となると、多少なりともコーチ陣も顔触れが変わるはず。まずは、そこから早急に固めなければいけないのかもしれない。

丹羽政善
『スポーツ・ヤァ!』や日本経済新聞、MAJOR.JP、ESPN.COMなどに寄稿するスポーツ・ライター。
Mariners Updateの執筆は2000年3月より。