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いじり放題USA


「つよく・あかるく・たくましく」をモットーに生きる 凹まぬジャパニーズが、アメリカをいじる暴挙に出た! 2年前に終了したゆうマガ人気連載「みるちゃんみるみる」のおかあちゃんこと、 いじりめぐみさんの愉快・痛快エッセイ。
 

第60回 「同窓会USA」

 

「同窓会だよ全員集合!」
そんなメッセージが、わたしの某ソーシャルサイトに書き込まれた。卒業以来誰ともコンタクトを取っていなかったのに。今まで1度も同窓会なんて呼ばれたことがなかったのに。こういうウェブサイトのおかげでいとも簡単に行方がばれてしまうのね。その同窓会は、留学生をしていたニューハンプシャー州、某高校の卒業26周年記念の会。25周年も20周年もやり忘れたので、26周年記念だってさ。とぼけたみんなの顔が思い浮かぶ。そういうのんきな所だったよね。
ニューハンプシャー。わたしのアメリカ初体験の地。そして、大酒飲みいじりめぐみ誕生の地。そりゃあ、もう1度行ってみたいわなぁ。ということで、スーツケースに日本酒一升ぶち込み、「ちょっと飲みに行ってくるわ」と、わたしは同窓会へ出掛けていった。
あれこれと26年前の出来事が思い出される。初めて飲んだビールの味。「なんだ、こんなの水じゃねえか!」とビール14缶(そこにあったの全部)をぐびぐび飲み干して、アメリカの若造共をびびらしたっけ。酔っ払って道路で大の字になって寝ていたこともある。目が覚めたら見知らぬ家の便所にいて、朝ご飯中の見知らぬ家族に電話を借りてホストマザーに迎えに来てもらったり……(よいこの留学生の皆さんはまねしないように)。そして今、わたしは、なつかしの大酒飲みいじりめぐみ誕生の聖地に再び足を踏み入れようとしているのだ〜!
「きゃああああ〜」「みんな〜! わたしのこと覚えてる〜? 日本からの留学生だっためぐみちゃんよ〜」「日本酒持ってきたぞー! おらおらぐいーっと飲め飲め!」
大騒ぎするわたしに同級生は皆絶句。
「……めぐみって、すごくおとなしかったよねぇ」
ぼそっと見覚えのない男に言われた。そうだった。思い出した。あのころのわたしは、酒は飲んでも男子と口なんかきけない恥ずかしがり屋さんだったっけ。
「あはははは、あのころは男と口きいたら妊娠すると思ってたもんなあ。だけどもうぶりっとふたりもガキ生んでるし、アメリカ人のだんな尻に敷きまくって15年もシアトルに住んでんのよ。おとなしくなんてしてねえっちゅうの、おらもっと飲め!」「・・・・・・・・・・・・・」
記憶の中のかれんな留学生めぐみちゃんのイメージをぶちこわす女登場にボー然とする同級生
達。しかし、そういえば、やつらもなんか変。
「……で、そういうあなたはだ〜れ??」
同窓会だから同級生がうじゃうじゃいるはずなのだが、見覚えのない連中が多いのである。卒業アルバムを広げ、名前と昔の顔をチェックする。
「えええええ、あんたこれ〜??」
正体不明なほど皆成長、いや膨張しているのだ。どこの誰だかわからないほど皆、でぶでぶなのだ。ブイブイいわしていたチアリーダーだった連中も、立派なビールっ腹のおばさんに変貌しているではないか!
「え〜!」(なにこのでぶ!?)
「え〜!」(なにこのやかましい日本人は!?)
お互いにショックを隠せずにいたのであった。
同窓会……といえば、去年日本の会社の同期会に出掛け、「でぶでぶでぶ」といじめられた(第53回www.youmaga.com/seattleite/ijiri/2010_01.php参照)。しかし、ここではわたしの上をいくでぶがうじゃうじゃいるではないか! そのうえ、昔好きだったけどもちろん口などきいたことない男がやって来て「君は、ちっとも年をとらずに美しいねぇ」と褒めてくれるし!
「ばんざいニューハンプシャアアアア〜〜〜!!」
屋外でのカラオケが始まってからというもの、マイクを握り締め、熱唱し続けていたわたし。
「もうおひらきにしようよ」
「うるせえ、わざわざシアトルからやって来たんだ。もっと歌わせろ!」
「めぐみがこんなになってしまったとは……」
元おとなしかった日本人留学生の歌声は、明け方までニューハンプシャーの田舎町に響きわたったのであった。
「同窓会ばんざああああい!」



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■ いじりめぐみ MegumiIjiri
身長177センチ(ホント)。体重45キロ(ウソ)。前世は東京でCMプランナー。後世はシアトルでベンチャー・ママ。世の中をいじる!がモットーのクリエイティブ・ハウス「IJIRIYA USA」社長。ウェブサイト「Go Feisty!(www.gofeisty.com)」主宰。著書に『デカくて悪いか!』、『デブで悪いか!』(角川文庫)などがある。