おいしい牛肉が食べたい！（１）- シアトルのレストラン

シアトル周辺のレストランの肉料理

石庵

日本からの進出ながら、地元ノースウエストの旬の食材を生かした独自メニューを展開する石庵。日本では置いていないという牛肉料理も、同店では米農務省（USDA）認定“チョイス”にランクされる良質のアメリカン・ビーフを用いた魅力的なラインナップがそろう。1度は試したいのが看板メニューの石焼きで、牛肉はヒレとタンの2種類。高温の石が放つ赤外線効果で素材本来のうまみが引き出された肉はジューシーで軟らかだ。一方、直火でグリルする串焼きは程良く脂が落ちた肉にスモーキーなフレーバーが加わり、これまたお酒が進むおいしさ。串焼きは日替わりでフランク、ヒレ、ハラミの3種類があり、肉のクセに合わせ、たれもだししょうゆ、辛子しょうゆ、レモン＆塩と変えているところが日本らしい心配り。ほかにも、ユッケや牛たたき、牛丼、ステーキ丼、そして週末ランチ限定で11種類用意されるビーフ・カレーと、居酒屋ならではのバラエティーの豊かさで楽しませてくれる。

▲串焼きは手前から時計回りにフランク（1本＄1.80）、ヒレ（同＄3）、ハラミ（同＄2.75）。確かなハンド・カットの技で、驚くほど軟らかな歯応え

▲石焼きにしたヒレ（＄14.50）は、クリーミーなポン酢入り石庵ソースで和風に

▲軽くあぶったフランク・ステーキを刻んで作るユッケ（＄7.50）は、自家製韓国風だれとウズラの生卵が味の決め手。生の玉ネギも名脇役！　

喜作

寿司の名店、喜作で2年前に開始されたのが、ランチ限定のビーフ・カレー。たっぷりの玉ネギなど、野菜をじっくり炒めて手作りしたビーガン・ベジタリアンのルーは、小麦粉やスターチを一切使用していないにもかかわらず、もったりとしたとろみを持ち、独自に調合したスパイスと韓国唐辛子で、野菜の甘みはそのままに、じわっとした辛みがあとを引く。牛肉は程良く脂を残したブリスケットを塊肉のままフライパンで焼き色を付け、赤ワインや野菜と共にオーブンで3～4時間ゆっくりと火を通した後、ひと口大にカットしてから凝縮させた肉汁と共にルーと煮込むので、肉の形はきれいに残しつつ、口に入れるとほろほろとほどける軟らかさ。「しっかり味付けした牛肉のうまみごとルーに移すのがミソ」と、おいしさの秘密を教えてくれたのは、日本のホテルでフレンチ・シェフの経験を持つキッチン・ヘッド・シェフ、関口さん。素材がわかるプロならではのアレンジが利いている。

▲肉がごろごろと入ったビーフ・カレー（＄9.95）には福神漬けやサラダも付く。カレーはほかに、シーフード（＄9.95）とベジタブル（＄8.95）も

▲大きな窓から木漏れ日が入る店内でジャズのBGMを聴きながら、ゆったりとランチ・タイムを過ごしてみては　

元気寿司

「他店にない高品質な味をお得に提供したい」と元気寿司が今夏から始めた＄3均一スペシャル・メニューに8月から加わったのが、和州牛のにぎりとたたき。日本の黒毛和牛とアメリカン・ブラック・アンガスをかけ合わせたオレゴン育ちの和州牛は、日本同様の繊細な飼育方法により、絶妙な霜降り具合と軟らかな脂、和牛さながらのフレーバーを実現した牛肉だ。ステーキ用サーロイン肉を焼き上げた外側はカリッとクランチー、内側はしっとりジューシー！　週／日替わりのスペシャル・メニューはほかにも多数あり、にぎりは特にサケが充実し、世界一との呼び声高いスコティッシュ・サーモンはぜひ賞味したい。秋には松茸やサンマなど日本の四季を感じさせる品々も計画中とか。また新メニューとしては、牛煮込みをトッピングしたすき焼きうどん（＄3）、一気飲みする若者もいるというショット・グラス入りのイカそうめんなども。日本酒ハッピー・アワーも予定されている。

▲（写真：1&2） レモンの酸味がさわやかな和州牛のにぎりとたたきに舌鼓。MSG不使用の自家製だれが絡み、噛むごとに肉の甘みが染み出すが脂っぽさは全く感じない。（写真4）ショウガと麺つゆで味わうイカそうめん（＄1.50）は新メニュー　

▲同じくスペシャル・メニューより、左下から時計回りに天然アラスカ産のソックアイとコッパーリバーのサケ、九州産アジ、スペイン産本マグロ、アヒポキ、カンパチ

梢

ウォーリンフォードにある梢では、日本の味を気軽に楽しんでもらいたいと、さまざまな和食を提供する。その中でも牛肉の味噌漬け串焼き（＄8.50）は、ほかでは味わえないひと皿。昆布、ニンニク、ショウガ、赤唐辛子などを加えた味噌に、アンガス産のサーロイン肉を丸1日漬け込み、うまみを凝縮。噛めば噛むほどに味わいが出て、なんともヤミツキに。しっかりおなかを満たしたい時には、これにちらし寿司と小鉢が3品付くデラックス弁当（＄18.95）をぜひ注文してみよう。牛肉を使ったメニューとしてはほかに、ショート・リブのテリヤキ・ビーフや、日本人が大好きなデミグラス・ハンバーグが、共にご飯、味噌汁、サラダ付き（各＄14.50）で堪能できる。これらのセットのご飯はおかわり自由と文句なし！　また、5:00 p.m.～9:30 p.m.（金曜～6:30 p.m.、土曜3:00 p.m.～6:30 p.m.）のハッピー・アワーには、スパイシー・ビーフ・テリヤキを含む17種類のアペタイザーと日替わりの巻き寿司が、リーズナブル価格の＄2.99でオーダー可能なので、こちらもお見逃しなく。

▲牛肉の味噌漬け串焼きは、上にかかった七味の辛みがほんのり甘い味噌のフレーバーとマッチし、さらに食欲をそそる

▲ビーフとポークの合いびき肉で作ったデミグラス・ ハンバーグはボリュームも申し分なし！　

▲ミディアム・レアで焼き上げたショート・リブを日本人の口に合うあっさりとした特製ソースでいただくテリヤキ・ビーフ

フォート・セント・ジョージ

“洋食屋さん”の味わいにファンの多いこの店で試したいのが、牛肉100％の手捏ねハンバーグだ。ひき肉は豚肉を入れる代わりに脂の割合が高いものと赤身の2種類を使い、軟らかさを追求。ふっくら焼けたハンバーグを箸で割ると、肉汁があふれ出る。煮詰めた赤ワインが隠し味の和風ハンバーグ、手間暇掛けて仕込んだ特製ミート・ソースをかけたもの、優しいトマト・ソース味でいただくチーズ・ハンバーグの3種類がある。「開店以来18年続くロング・セラー。ハンバーグ入りのスパゲティやカレー、サンドイッチもよく出ます」と話す郁子さんは、隣接する姉妹店の居酒屋まえかわと同店を併せて切り盛りする。9月からはディナー限定の新アペタイザーを予定。そのひとつが「牛肉のソテー・キノコ・マリネ・ソース」で、程良い焼き加減のフランク・ステーキに、炒めた椎茸、エノキ茸、マッシュルームをアンチョビ・ドレッシングでマリネしたソースがかかり、口当たりさわやかでワインが進む。

▲（写真1&2 ）ハンバーグはご飯と味噌汁、付け合わせの野菜とスパゲティがセットになったランチが＄8、ディナーが＄10.50（単品では＄8.50）。写真は地元日本人から“ジャパハン”と呼ばれ親しまれる和風ハンバーグと、ディナー限定のミートソースがけ

▲キノコを使ったイタリアンなソースに加え、パルメザン・チーズとバルサミコ酢がかかる牛肉のソテー（＄7.50）が9月から登場

ベニハナ

鉄板焼きでアメリカン・ドリームを体現した青木ファミリーによるレストラン・チェーンで、今や世界中に100店ほどを持つ。このシアトル店は70年にオープンし、8人のシェフが16のテーブルに用意された鉄板を舞台に、ヘラを使ったアクロバティックなパフォーマンスを行いながらステーキを焼き上げる。鉄板を囲む観客は、シェフの調理を見守りつつ、次々とでき上がる料理に舌鼓。米農務省（USDA）に“チョイス”と認定された牛肉を程良く熟成させ、ハンド・カットしたヒレ・ステーキは特に人気の高いメニューで、ランチでは和風ドレッシングの生野菜サラダ、炒飯、野菜炒め、焼きマッシュルームが付く。2種類のソースはジンジャー、マスタードがあり、これまた焼いた肉や野菜とよく合うこと！　03年からは寿司バーも併設し、ランチでは寿司の食べ放題が提供されているが、にぎわう夕飯時に鉄板のあるテーブル席が空くのを待つ間、寿司をつまみに軽く1杯という過ごし方もできそうだ。

▲（写真1&2 ）目の前で調理されるヒレ・ステーキ（L ＄15.95、D ＄24.95）。この取材ではエビもプラスしてもらった。牛肉ではほかに、ニューヨーク・ストリップを使った「ヒバチ・ステーキ」（L ＄13.95、D ＄21.95）もよく出るそう

▲ 華麗なパフォーマンスを披露してくれたのは、同店で働いて5年になる大介さん

みやび

ウエスト・フィールド・サウスセンター・モール近くにあるみやびは、季節ごとに催される盛りだくさんのイベントと日本を感じさせる気さくな雰囲気で、いつも常連客でいっぱい。20年以上の経験を持つシェフの正昭さんが腕によりを掛けて作る料理は、本格和食から居酒屋風のつまみまで、豊富なラインナップがそろう。同店自慢の牛肉料理が、ディナーのアペタイザーで味わえる牛タンシチューで、何種類もの野菜をじっくりコトコト煮込んだ特製ベースと軟らかい牛タンの絶妙なハーモニーに、日本人客はもちろん、多くのアメリカ人客も虜に！　火曜にはブラジリアン・ギター、土曜にはアコーディオンの生演奏が6:00p.m.ごろから始まるので、その夜に来店すればより得した気分で過ごせそう。ランチでは、スタミナ満点のステーキ丼を味わってみては。バターの利いたちょっと甘めの特製だれが絡むリブ・アイ・ステーキに、ワサビを少し付けて食べるのがポイントだ。

▲熱々のところをふうふうして食べたい、牛タンシチュー（＄10）

▲  バターとワサビの風味で食が進むステーキ丼（＄10.95）はランチ限定メニュー

▲ 懐かしいJポップのBGMに、日本にいるような居心地の良さを感じる店内 ©Miyabi　

わん

日本でもおなじみの居酒屋わんでは、ビールや焼酎、日本酒にぴったりの牛肉メニューが勢ぞろい。例えば、カリフォルニアで育った見島和牛の霜降り肉を使ったたたきは、レモンの酸味がさわやかに肉の味を引き立て、ダイコンのつまの上にきれいに盛られた見た目も食欲をそそる。同じ見島和牛を使った串焼きもあり、こちらは香ばしいネギとの黄金のコンビネーション。ガッツリおなかに入れたい時には、日本の焼き肉を思わせる甘辛いたれが絡むカルビをどうぞ。また、以前にあった人気メニュー、牛タンも10月以降に再開予定だ。わんと言えば充実したハッピー・アワーで有名だが、カルビの小皿も＄5のお値打ち価格で用意されている。アニバーサリーを迎える9月は、ハッピー・アワーが毎日、しかも終日の実施となるのでお得。10月以降も月・火曜は終日、水～日曜は4:00 p.m.～7:00 p.m.、さらに金・土曜はバーのみ10:00 p.m.～1:00 a.m.にハッピー・アワー・メニューがオーダー可能なので、ぜひ利用してみよう。

▲（写真1＆2）見島和牛を使用した串焼き（2本＄8）とたたき（＄9）

▲ 焼き野菜が添えられる牛タン（＄12）は写真の味噌だれのほか、塩だれも用意

▲ 軟らかジューシーな骨付きカルビ（＄9）はボリューム満点！

キャピタル・グリル

全米展開するファイン・ダイニング・レストラン。08年にオープンしたシアトル店は地元の食材を多く取り入れ、特にステーキには牧草で育ったワシントン州産牛のみを用いる。同店地下で14日間熟成させハンド・カットする肉は霜降り加減も程良く、骨付きのニューヨークやサーロイン、ヒレとサーロイン両方が1度に味わえるポーターハウスなどが人気。コーヒーやイタリアン風味の変わり種ステーキもそろう。一方、前菜ではカリフォルニア産和牛を使ったカルパッチョが気になる存在だ。シーフード料理も豊富。個々に合わせたサービス、重厚なインテリア、すべてがハイ・クオリティーで、記念日やビジネスでの会席にも最適だ。

▲「Porcini Rubbed Delmonico with 12 Year Aged Balsamic」（＄44）は、ポルチーニ茸とバルサミコ酢の風味がジューシーな肉との相性抜群

▲ 骨付きサーロイン肉にコナ・コーヒーをまぶして焼き上げ、エシャロットを煮詰めたバター・ソースで味わう「Bone-In Kona Crusted Dry Aged Sirloin with Shallot Butter」（＄45）

▲ 好みの3品を組み合わせるランチ・プレート（＄15）は、ぜいたくにヒレ肉を挟んだミニ・サンドイッチもあり、お得感いっぱい！

新羅

リーさん、ソンさん夫婦が営むコリアン・レストラン、新羅（シーラ）は宇和島屋ビレッジのフード・コート内でも大盛況の1店。人気メニューはプルコギ（Korean Style BBQ）とカルビ（Beef Rib）だ。プルコギには脂が少ないロース肉のスライスを使用し、しょうゆベースで少し甘めの自家製だれがよく絡む。肉厚の骨付きカルビは、ジューシーな肉が食べたい人にぴったり！　どちらも捨てがたいという欲張りさんには、肉2種類ほか餃子かスープが選べるコンボ（＄7.50、カルビは＄1増）がオススメ。肉は1種類で餃子とスープ両方が味わえる弁当コンボ（＄8.99）もある。ご飯は白米と玄米が用意され、手作りキムチも週替わりで白菜または大根が付く。リーズナブルな値段でおなかいっぱいに！

▲肉1品と目玉焼き、餃子、ナムル、キムチ、海苔、ご飯、日替わりスープがセットになった弁当コンボ

▲ ジュージュー音を立てる熱々の石鍋にたっぷりの野菜とプルコギが入った石焼きビビンバ（＄8.79）は栄養バランス抜群！　コチュジャンも自家製
　

鼎泰豊

日本でも有名な台湾の小籠包屋さんと言えば、鼎泰豊（ディンタイフォン）。昨年11月、ベルビューのリンカーン・スクエアにも進出し、いまだに人気の衰えを知らない繁盛ぶりだ。台湾B級グルメの代表格、牛肉麺も提供しており、厳選した高品質ビーフは肉厚ながら、とろりと軟らかく口の中でほぐれる。濃厚な牛骨スープとつるつるの太麺も毎日手作りされる本格派。小籠包と一緒にぜひオーダーしたい逸品だ。デザートには、7月に登場したばかりの台湾風かき氷を。プリンやタピオカなど、にぎやかなトッピングが目にも楽しい。フル・バーを完備し、カクテルも新作が続々登場。極上のつまみをお供に、秋の夜長を過ごすのも悪くない。

▲じっくり煮込まれたビーフがごろりと入った牛肉麺（Braised Beef Noodle Soup）は＄8.50。辛みが利いて、食べ終わるころには体の芯からほっかほかに

▲ 同じく台湾名物の(Taiwanese Shaved Ice with Assorted Toppings）は3、4人分ありそうな迫力のボリュームで＄8！
　

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