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日本人のハリウッド進出

ロゴ 第50回
日本人のハリウッド進出
日本人俳優が最近、海外作品の出演が続いている。「ラスト・サムライ」でアカデミー賞候補になった渡辺謙は「バットマン・ビギンズ」での出番の少なさにファンはがっかりしたものの、次の「さゆり」ではチャン・ツィイーと並んで主役級の扱いだ。その「さゆり」には日本映画界の本命、役所広司も出演。「ラスト・サムライ」ではもともと渡辺謙の役は役所が演じる予定だったという。

「さゆり」がスピルバーグが監督する予定で企画が進行していた時から、役所はキャスティングされていたらしい。今回、満を持してのハリウッド進出になっただろう(そう言えば、以前に主役に決定していたリカ・オカモトという気の毒な女の子はどうなったのだろうか?)。彼は、この次にもブラッド・ピットが主演の「バベル」という作品に出演が決定。

「ラスト・サムライ」で渡辺と共演した真田広之も、レイフ・ファインズと共演するジェームズ・アイボリー監督の「ホワイト・カウンテス」とダニー・ボイル監督の「アンタイトルド・サンシャイン・プロジェクト」に出演している。

渡辺謙は「チェイシング・ザ・ドラゴン」という作品に出演する予定。しかも悪役で、共演はウェズリー・スナイプス。生粋のアジア女性好き(奥さんは韓国人)のウェズリー・スナイプスだけに、やはりヒロインは香港のスー・チー。せっかく彼にとって、良いキャリアを積み上げたのに、こんな映画に出るのは明らかにミステイクだ。「シャドー」で失笑を買ったジョン・ローンの二の舞にならないことを祈りたい。

監督でも、本命の三池崇史監督が世界13人の映画作家が参加する「マスターズ・オブ・ホラー」にアジアから唯一参加。「インプリント」というタイトルで、全米では12月にテレビ放映される。三池崇史が、アメリカではホラー映画の監督だと思われているのがおもしろい。やはり「オーディション」の影響なのか。

「ザ・リング2」でデビューした中田秀夫もパラマウントで「アイ」を撮る。主演はレニー・ゼルウィガーに決定。「グラッジ」で全米1位をゲットした清水崇監督(日本のマスコミは全米トップを記録した初めての日本人監督と報じた。「ポケモン」の湯山邦彦監督は無視?)は、「グラッジ2」をまたしても撮るという。

日本人男優=悪の枢軸、日本人女優=主人公アメリカ男性の性欲処理役、日本人監督=ホラーな映画の作り手……というステレオ・タイプはまだまだ根付きそうだ。

前川繁(まえかわしげる)
1973年愛知県生まれ。シアトルで4年間学生生活を過ごす。現在、東京でサラリーマン修行中。コネクションを作って、いつか映画を作っちゃおうと画策している。