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寝てしまった! その真相は?

ロゴ 第6回「オーシャンズ11」
寝てしまった! その真相は?

Oceans 11
「オーシャンズ11」

監督
スティーブン・ソダーバーグ

脚本
テッド・グリフィン

キャスト
ジョージ・クルーニー
マット・デイモン
アンディ・ガルシア
ブラット・ピット
ジュリア・ロバーツ

公式サイト
www.oceans11.jp

映画「オーシャンズ11」を観た。試写会で、しかもただで観せてもらったので、いつもならお得感をひしひしと感じて映画鑑賞するところだが、私は風邪気味で、おまけに疲労感も最高潮。うかつにも映画の最中に熟睡してしまった。そしてその結果、劇場がよく冷えていたこともあって、見事に風邪を引いてしまった。どれくらい寝てたかって? たぶん映画の中盤の30分くらいは寝ていただろう。だから本来、私にはこの映画を論じる資格はない。しかも私はこの映画を“無料で”観ている。人間としてけなすのは以てのほか、むしろ提灯記事を書いて然るべきである。だが、それでも私はこの映画を誉める気にはならない。私が風邪を引いた最大の理由は寒い館内で寝てしまったからである。なぜに映画好きの私が寝たのか、その真相を追究すると……、答えは一つ。そう、映画がつまんなかったのである。

この映画は1960年に、フランク・シナトラ主演で作られた「オーシャンと11人の仲間」のリメイクである。リメイク作品となった「オーシャンズ11」は、「エリン・ブロコベッチ」、「トラフィック」で時代の兆児となったスティーブン・ソダーバーグが監督と撮影を担当、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、マット・デイモン、アンディ・ガルシアといったハリウッドの超大物スターがごっそり出演している。大晦日の零時きっかりにカジノを襲撃しようとする主人公とその仲間たちを描いているのだが、これだけのスターを揃えながら、ひとりひとりのキャラクター性が希薄なのが最大の難点である。ジュリア・ロバーツはいてもいなくてもいいような存在だし、マット・デイモンにいたっては、いつ出てた?って感じである。もっとも、30分寝てたから、その間に出ていたのかも知れないが……。

天才と持てはやされるソダーバーグ監督も、さすがにたくさんの登場人物を描き分ける能力に欠けていた。タランティーノやロバート・アルトマン、ウッディ・アレンなんかは群像ドラマを巧みに描くが、そこまでの才能には行きついていないと思うのが正直な感想である。それに、リメイクなんか撮ってはいけないよ、本当に才能があるのなら。オリジナルで勝負しなきゃあ。旧作をソックリそのまま作った迷作「サイコ」のガス・バン・サント監督も最近干されちゃったし。この新作を観る限りソダーバーグ監督は、まだ修行が足りないのでは?(ってアンタ映画全部観てないのによく言うよ!!) しかし風邪を引いた恨みは忘れない。

前川繁(まえかわしげる)
1973年愛知県生まれ。シアトルで4年間学生生活を過ごす。現在、東京でサラリーマン修行中。コネクションを作って、いつか映画を作っちゃおうと画策している。