マルシェ
（2012年12月）
本場マルセイユの味を再現
シアトルの冬は長い。体の芯まで冷え切ってしまいそうな夜、体も心も暖めてくれる、あったかスープが真っ先に浮かぶ人は多いのでは。そこで今回はノースウエストの魚介類をふんだんに使った、とっておきのスープ料理ブイヤベースを紹介したい。
元来は1年を通して食べられる南仏料理のブイヤベースだが、その滋味に富む濃厚なスープは冬の料理としても人気がある。
シアトルではイタリア風のチオピノ(Cioppino)として供される店も多い中、パイク・プレイスにあるMarchéのブイヤベース($28)は、シェフが本場マルセイユで体験したレシピをできるだけ忠実に再現したという本格的なバージョンだ。
まず食材へのこだわりとして、本来は脂身の少ない白身の魚でだしを取るのが一般的ということから、南仏で使う魚に限りなく近い、ノースウエストの魚ロックフィッシュをアラごと使用。ムール貝などのノースウエスト特産の魚介類や丸ごとのジャガイモを加えた、ボリュームたっぷりの1品だ。
さらに特筆すべきは、具とスープが分かれて供される点である。サフラン・ベースの魚だしは、あらかじめ作っておき、具になる魚介類を食べる寸前に加えて火を通す。付け合わせのルイユ(Rouille)と呼ばれる辛いアイオリ（ニンニク入りマヨネーズ）は、パンに塗ったり、お好みでスープに加えてより濃厚な味を楽しんだりできるのも本場マルセイユ式だ。南仏と地元ノースウエストの海の恵みが見事に融合。辛口のフランス・ロゼと共に味わえば、幸せが体中に染みていくのが体感できるはず。
(文・写真／小泉佳奈子)
▲地元で獲れた魚介類たっぷりのブイヤベース（＄28）。シェフのゴードンさんがシアトルでいちばんと自負する自信作
▲冬が旬のムール貝を堪能したいなら、ベーコンとニンニクたっぷりのムール貝のドライ・ロースト（＄17）を。オーブンで焼いたムール貝は、むっちりとした歯ごたえがやみつきに
▲やっぱり肉も食べたいという人はマルシェ・バーガー（＄17）。濃厚なパテからにじみ出るうまみとわずかに甘いペッパー・マーマレードの組み合わせは絶品
▲ブイヤベースのスープは、本場マルセイユ同様、別容器で。ルイユは普通と辛め、2種類付いてくる
■ Marché
86 Pine St., Seattle, WA 98101
TEL : 206-728-2800
www.marcheseattle.com
●営業時間：4:30 p.m.～12:00 a.m.（食事は～11:00
p.m.）、土・日曜11:00 a.m.～3:30 p.m.
●休み：なし
Place Pigalle
（2012年12月）
81 Pike St., Seattle, WA 98101
TEL : 206- 624-1756 www.placepigalle-seattle.com
●営業時間：11:30 a.m.～3:00 p.m.、5:30 p.m.～9:30 p.m.
（金・土曜～10:00 p.m、日曜～3:00 p.m. ）
●休み：なし
サフラン・トマト・ブロスを使ったプロバンス風ブイヤベース（＄26）が人気。カニ、エビ、季節の魚、ムール貝などが、スープが隠れんばかりに皿に盛られ、とにかく具だくさん！これだけで満腹に。
Etta’s Seafood
（2012年12月）
2020 Western Ave., Seattle, WA 98121
TEL : 206-443-6000 www.tomdouglas.com
●営業時間：11:30 a.m.～9:30 p.m.（金曜～10:00 p.m.）、土・日曜9:00 a.m.～3:00 p.m.、4:00 p.m.～9:00 p.m.（土曜～10:00 p.m）
●休み： なし
シーフード・レストランのブイヤベースでリピーターも多いが、メニューが頻繁に変わるので、事前に確認を。デザートのココナツ・クリーム・パイも人気！
Luc
（2012年12月）
2800 E. Madison St., Seattle, WA 98112
TEL : 206-328-6645
www.luc-seattle.com
www.thechefinthehat.com/luc/
●営業時間：4:30 p.m.～10:00 p.m.（金・土曜～11:00 p.m.）、土・日曜12:00 p.m.～4:30 p.m.
●休み： なし
フランス料理にノースウエストのひねりを利かせたフレンチ・アメリカン・カフェ。ブイヤベースは、ルイユとパンが付いて＄24。6:30 p.m.まではハッピー・アワー。
（2012年12月時点の情報です）