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妊娠中に摂取すると良い栄養素を教えてください。

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妊娠中に摂取すると良い栄養素を教えてください

< 回答者|助産師 看護学博士 ナースプラクティショナー押尾祥子先生、栄養士 公衆衛生学修士土屋亜美先生>

妊娠中に大切なのは、栄養バランスの取れた食事をすること。その全部を説明することはできないので、今回はあまり知られていない要素を中心に説明します。

まずは葉酸(Folic Acid)。生理の予定日を少し過ぎて、「妊娠したかな」と思ったころには脳神経が半分形成されています。妊娠初期に葉酸不足だと、胎児に無脳症や脊椎2分症などの重篤な奇形が起こったり、中・後期に不足すると未熟児や早産になる可能性が高くなります。また、後期の胎盤の健康にも葉酸は重要な要素です。葉酸が含まれる食べ物は、柑橘類、緑の野菜、豆類、レバー類、ナッツ類、栄養強化シリアルなどですが、アメリカの普通の食生活では十分な量を摂取できません。そのため、妊娠を計画している女性に葉酸を含有したプリネイタル(妊婦用)ビタミン剤を処方するのが一般的です。

また、胎児や胎盤、子宮の筋肉、出産前に2倍にも増える血液などを作るために不可欠なのが、良質なたんぱく質。これは肉類や魚介類、豆類、乳製品などに多く含まれていますが、その多くは脂肪分も含んでいます。カロリーを取り過ぎないために、低脂肪のタンパク源を選ぶことを心掛けましょう。

一方、妊婦や子供に勧めないものは、有機水銀が含まれ脳神経系の発達に影響を与える、アマダイ、サメ、サワラ、マグロ、カジキなどの大きな魚です。ところが、水銀が心配だからと言って魚をまったく食べなかった場合、魚を食べた人と比べて子供の知能が低かったいう研究結果もあります。脳の発達のために、大型の魚は避け、サバやサンマ、ヒラメ、カレイ、マスなどを食べてください。

妊娠中は免疫が落ち、小さな胎児は毒物の影響を受けやすいので、洗浄や保存温度など食品衛生にも十分注意を払ってください。妊婦が特に気を付けなければならないのは、リスタリアやサルモネラ、トキゾプラズマです。生の肉や魚、殺菌してない牛乳やチーズなどは避けるようにしましょう。

(2006年5月)

押尾祥子先生、土屋亜美先生


押尾祥子先生:
なでしこクリニック主宰。家庭的なクリニックで、女性の健康一般の診断と治療、妊婦検診を行う。エバーグリーン病院の入院治療権を持ち、ひと味違う、助産師としての出産を扱っている。
土屋亜美先生:
アメリカで栄養師の資格を取り、公衆衛生の修士号を持つ。環境と栄養を専門とし、なでしこクリニックで栄養指導を行っている。

Sachiko Oshio, CNM., PhD. Nadeshiko Clinic
TEL:206-354-7045