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スポーツ時のけがの予防と対処について教えてください。

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スポーツ時のけがの予防と対処について教えてください。

< 回答者|理学療法士 アーンスタインのり子さん>

冬も終わり、そろそろ体を動かそうと思っている方が多いのではないでしょうか。スポーツ中のけがを防ぐには、まず適切な装具をそろえることです。スノーボードやサイクリングならヘルメット、ランニングやエアロビクスなら適切な靴が必要です。ローラーブレードに初めてトライする方は、ひざ、ひじ、手首のパットが骨折やねんざを防ぐのに役立ちます。また、競技スポーツや格闘技には、けがを防ぐためのルールやテクニックが盛り込まれています。新しいスポーツにチャレンジする場合は、事前によくルールを知り、正しいテクニックを習得してから競技に臨むことが大切です。

競技スポーツに参加する前には、体のコンディションを整えることを心掛けてください。始める前のウォーミングアップやストレッチ、栄養補給などはもちろんのこと、日ごろのエクササイズのレベルと相談し、どのくらいが適量適度なのか考え、ゆっくりと運動を始めてください。いきなり高い運動量から始めたり、何日も続けて激しい運動を行ったりすることがけがの元になります。「5年前は大丈夫だったから」「前シーズンの終わりにはできたから」といった買いかぶりは禁物です。

スポーツ中、疲れがたまってきた時には、集中力が切れがちになり、けがが起こりやすくなりますから、無理をし過ぎないようにしてください。体に痛みを感じた時には痛みがひどくならないうちに中断し、様子を見ましょう。

けがをしてしまった場合には、RICE(Rest=休息、Ice=冷却、Compression=圧迫、Elevation=高位置)で対応してください。アイスパック(氷のう)をタオルで包み、患部に20分ほど当て、患部を心臓より高く持ち上げます。冷やし終わったら、患部を伸縮包帯などで圧迫します。1時間ごとにアイシング(冷却)を繰り返すと効果的です。急性期の症状は大抵72時間くらいで落ち着きます。痛みがひどい場合、また2週間くらい経っても症状が回復しない場合は、医者などの専門家に相談することが賢明です。

(2007年3月)

理学療法士 アーンスタインのり子さん


94年、ピッツバーグ大学でアスレチック・トレーナーの資格を取得。日本で、富士通アメリカン・フットボールのヘッド・トレーナー、ストレングス&コンディショニング・コーチを経験後、01年にワシントン大学で修士課程を修了し、理学療法士の資格を得る。オリンピック・フィジカル・セラピーで就業中。