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骨粗鬆症治療中にインプラント治療は受けられますか?

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

骨粗鬆症治療中にインプラント治療は受けられますか?

< 回答者|歯科医師 阿部恭子さん >

はい、受けられます。骨粗鬆症の治療薬ビルホスホネート(Bisphosphonates)は、骨粗鬆症のほか、悪性の骨がん、がんの治療に効果的な薬としてよく使われ、骨多孔症などによる骨の骨折を防ぐ働きがあります。現在、アメリカで使用されているビルホスホネート系薬剤で、内服薬としてはフォサマックス(Fosamax)、アクトネル(Actonel)、ボニバ(Boniva)があり、主に骨粗鬆症や骨多孔症の治療に使われ、血管静脈内に投与するものとしてはアレディア(Aredia)、ゾメタ(Zometa)があり、特に骨のがんの治療に使われています。

ビルホスホネートは、骨の再生を遅らせ、骨の硬化性を高める効果がある一方で、上下顎の骨壊死の副作用があることで知られています。つまり、 同治療薬を使用している患者さんが、口腔外科の治療:抜歯、インプラント挿入、顎の手術などをすると、手術後の治りが悪く、骨の露出や、骨の壊死を引き起こす危険性があるということです。

現在 、あるいは過去にビルホスホネートの治療をしていて、傷口や抜歯治療の経過が悪く、骨の露出が8週間以上も続いている場合、過去にがんの放射線治療の経験がないとしたら、同治療薬による骨壊死の副作用が起こっているということになります。しかしながら、ビルホスホネートの治療を受けている患者さんが骨壊死の副作用を引き起こす危険性は少なく、どれくらいの期間使用していたか、どの薬を使用していたかによっても違ってきます。また、歯や歯肉に炎症、膿瘍などを伴った患者さんは、骨壊死になる危険性が高まります。

内服薬のビルホスホネートを使用している人は、 血管静脈内に投与するものを使用している人に比べると、副作用の比率は少ないです。副作用の頻度を低くするために、口腔衛生の必要性が大きく関与し、微生菌を防ぐうがい薬の使用も勧めます。ビルホスホネートを使用している、 あるいは治療を受けようとしている患者さんで、口腔外科(抜歯、歯科インプラント、顎の治療など)が必要な患者さんは、 手術の前にその旨を話し、十分に歯科医師と相談してください。

(2012年1月)

歯科医師 阿部恭子さん


札幌医科大学口腔外科課程卒業後、東京国立病院で歯科口腔外科医として勤務。オレゴン健康科学大学歯周病科に留学後、アメリカの歯科医免許取得のため、ペンシルベニア大学歯学部へ。麻酔科医免許取得のため、オハイオ州の州病院医療麻酔科で1年学び、ポートランドで口腔外科医として勤務。2005年、バーモントヒルズ、ショッピングセンターに個人病院を開業。口腔外科医として患者の治療に貢献している。

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