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日本にいた時は何ともなかったのに鼻水とくしゃみが止まりません。

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日本にいた時は何ともなかったのに鼻水とくしゃみが止まりません。

< 回答者|医師 野本久美子先生>

ここノースウエストでも花粉症の季節です。日本で発症していなくても、当地に来て2、3年後に症状が出るというケースは少なくありません。鼻水、くしゃみ、目のかゆみ。アレルギーには季節性のものと通年性のものがありますが、症状は変わりません。季節性のものでは、アレルゲン(抗原)は主に花粉で、ここノースウエストではスギ科やブナ科のもの、夏は芝生、秋はブタクサ科のものが挙げられます。家の周囲を見渡し、それらがあれば除去してください。外出時は花粉の多い場所には行かないこと。家や自動車の窓も、なるべく閉めるようにします。

徹底的にアレルゲンを除去したうえでの対症療法としては、まず点鼻薬があります。これは、副腎皮質ホルモンを鼻にスプレーします。医師の処方が必要ですが、副作用が少ないので長期間の使用に適しています。市販の点鼻薬は即効性があるものの、1週間以上使用すると鼻詰まりなどの副作用が起こりやすくなります。内服薬としては、抗ヒスタミン剤があります。最近は眠気を起こさずに効果のあるものが開発されていますので、日中に仕事や勉強をする必要があるなら医師に相談すると良いでしょう。微量のアレルゲンを徐々に投与量を増やしながら定期的に注射する減感作療法は、治療に長期間を要するうえ、成功率は個人差があります。

通年性のアレルギーでアレルゲンとして考えられるのはハウス・ダストです。寝具や衣類、カーペットのほこりやダニ、フケ、カビ、細菌など原因はさまざまあります。対策としては、家の中をよく掃除すること。室内空気清浄機の利用も効果があります。暖房や冷房の換気口、フィルターもきれいにしましょう。

前述の外的要因のほかに、ストレスなどの内的要因も考えられます。バランスの良い食事をしてアルコールやタバコを控え、適度な運動を行うなど、生活習慣を見直すことも対策となるでしょう。

(2007年4月)

医師 野本久美子先生


北海道出身。1989年にミネソタ大学院医学部を卒業し、博士号を取得。家庭医学会認定医になる。ワシントン州レドモンドのグループ・ヘルスにて1993年より勤務。診療は内科、小児科、婦人科、外来外科が中心。「家族全員の健康管理のお手伝い」をモットーに、多くの日本人のヘルス・ケアを行う。