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オステオパシーでは、具体的にどのような治療を行うのですか。

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

オステオパシーでは、具体的にどのような治療を行うのですか。

< 回答者|オステオパシー医学博士 平沼百合さん >

オステオパシーの医師(Doctor of Osteopathy以下D.O.)は、アメリカではM.D.と同等の医学教育を受け、さらにオステオパシー医科大学在学中に、オステオパシー手技療法(Osteopathic Manipulative Treatment以下OMT)を習得します。D.O.は家庭医、内科医、産婦人科医、整形外科医など、医学のさまざまな専門で活躍していますが、OMTを専門にする医師もいます。

OMTは、体はひとつの単位であり、体の構造と機能には関連性があるという概念に基づいています。そして、骨格、筋肉、筋膜の働きを正常化すると共に、神経と体液(血液とリンパ液)の働きを促し、体の自然治癒力を高めてベストな状態を促す助けをします。

医学としてのオステオパシーのもうひとつの重要な概念は、内臓疾患が自律神経の神経反射を通して、腰痛、頭痛、肩凝りなどの構造上の痛みと関連している場合もあるということです。例えば、腰痛の患者が診療に来たとします。まず、病歴などの問診を行い、神経系統を含む全身の診療を行った後、体の構造的なオステオパシーの診断を行います。大体、触診と視診で骨格的なゆがみは明らかになります。腰痛といっても、骨盤か腰椎のゆがみ、もしくは両方に関係している場合もあり、また深い筋肉の部分でかかわっている横隔膜にもゆがみが関係しているかもしれません。椎間板や腸、膀胱、子宮や卵巣の疾患が原因の場合もあります。生理痛などで経験がある人もいるでしょう。そして、人間は常に重力に逆らって2本足で立っているため、骨盤にゆがみがあると、その上に乗っている背骨や首にもゆがみが生じてくるのです。出産後に両足がむくんだ人が、OMTにより骨盤のゆがみを治して筋肉や筋膜の動きを正常化したら、むくみがサッと引いたというケースもあります。また、特に交通事故後のむちうち症などの場合、首だけでなく全身の治療を含むOMTを受けると、治りも早く、後遺症も出にくくなります。

OMTの治療は、いろいろなテクニックから成り立っています。オステオパシーから始まって、ほかの分野に取り入れられたテクニックもあるので、医師でないセラピストなどが使うテクニックで、見た目は似ているものもあるかもしれません。 OMTは医師が行う療法として健康保険が適用される場合が多いです。

(2008年10月)

オステオパシー医学博士 平沼百合さん


イースタン・オレゴン大学を卒業後、ミズーリ州のカークスビル・オステオパシー医科大学を1992年に卒業。インターンシップ、レジデンシーを経て米国オステオパシー協会公認のオステオパシー手技療法専門家になる。頭蓋オステオパシー、筋膜リリース、筋肉エネルギー、カウンターストレインなどのテクニックを使用して診療に臨んでいる。

Yuri Hiranuma, D.O.
TEL:503-331-3916