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10歳の猫を帰国させるのですが、2回の狂犬病の予防接種に耐えられるでしょうか?

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

字を上手に書くコツを教えてください。

< 回答者|獣医 田中晶美さん >

猫または犬を日本に連れて帰るには、国際標準化機構(ISO規格)に適するマイクロチップを装着後、狂犬病予防注射を2回受ける必要があります。アメリカのアニマル・シェルターなどで流通しているマイクロチップは、ISO規格のものでない場合も多いので、自分の猫がどのタイプのものを装着しているかをまずご確認ください。ISO規格でない場合は、読み取り機を購入するかISO規格のものを装着し直す必要があります。装着方法は手術というよりも注射に近いので、猫に大きな負担が掛かるということはないでしょう。

予防接種は、最初の注射を受けてから1カ月経過しなければ2回目の注射を受けることができません。通常この注射は1回目の注射で1年間有効、以後は3年に1回行えば良いものなので、短いスパンで2度注射することが猫の体にとって負担がないとは言いきれません。2度目の注射の後は、狂犬病の抗体価検査のため動物病院で採血し、それを日本が指定したラボに送ります。採血日から180日以降にアメリカから出国でき、それ以前に日本に到着した場合は、不足する日数の間、動物検疫所の係留施設に預けなければなりません。しかしそれは猫にとっても非常にストレスがたまります。やむを得ない場合は、帰国する時期をずらすか、日数が満了した時点で猫だけ後から帰国させることができるか動物検疫所に問い合わせ、可能な場合はアメリカで信頼できる人に預けるといいでしょう。アメリカでの滞在期間があらかじめわかっている場合は、最初から帰国を見据えた予防接種の計画を立てておくことをお勧めします。検査結果は2年間有効です。

また、猫は犬よりもデリケートなので、アメリカでは同じ狂犬病の予防接種でも、副作用がより少ないリコンビナント・ワクチン(遺伝子組み換えワクチン)を使用することがありますが、この注射では日本の検疫には通りませんので、必ずキルド・ワクチン(不活化ワクチン)を注射してもらってください。

上記の内容は予期せず変更になる場合もありますし、受け入れる空港によっても若干違う可能性があります。詳しい情報は農林水産省動物検疫所のホームページ(www.maff-aqs.go.jp)で、あくまでも飼い主の方が責任を持ってご確認ください。

(2007年10月)

獣医 田中晶美さん


1980年に渡米。ハワイ大学でスピーチを学び、1990年にシャミナード大学院にてMBA取得。広告代理店勤務を経て、1997年にワシントン州立大学獣医学部に入学。2001年に獣医師免許を取得し、以降はシルバー・レイク動物病院勤務。愛犬3匹と暮らす。同院には日本人看護士のミサさんも常駐。

Dr. Masami Tanaka Silver Lake Animal Hospital TEL:425-337-1500 ウェブサイト:www.vcasilverlake.com