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着物を着る際の心構えについて教えてください。

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着物を着る際の心構えについて教えてください。

< 回答者|歌舞伎アカデミー 講師 大野メリーさん>

アメリカへ来るにあたり、「着物をひとそろえ持って行こうかしら」と考え、持っては来たものの、ひとりでは着られず、そのままクローゼットの中に入れたままになっている方、着付けのヒントをいくつかお話ししましょう。きっと読み終わるまで待ちきれず、その着物を出してみたくなりますよ。

まず、着物をきれいに着るためにはいろいろな小物が必要です。下から足袋、裾よけ、肌襦袢、襦袢、襟芯、腰紐4、5本、伊達締め、帯板、帯、帯枕、帯揚げ、帯締め、草履、羽織または道行、和装バッグ、その他、体形を補正するためのタオルなど。着ながら探し回らずに済むよう、草履以外はテーブルの上に用意しておきましょう。

着物を着る前は、髪をアップにセットし、お化粧は普段より少し白めに、襟足まで塗っておいてください。着付ける際、慣れるまではフルサイズの鏡の前で全体を見ながら着てみましょう。着付けは難しいという固定観念がある人もいるようですが、大事なのは慣れです。

よく、着物を着ると苦しくて何も食べられない、すぐ着崩れしてしまう、動きにくい、歩きにくいなどと聞きますが、着物をきれいに着ると、背筋がピンと伸びて着物が体になじみ、気持ち良いはずです。また、それなりの歩き方、動き方がだんだんと身に着いてくると、「日本人で良かった」と、心の底から喜びを感じるようになるでしょう。

着物を着たら、ジーンズにジャケット、ショルダーバッグを肩に掛けてさっそうと歩くいつものあなたの姿はしまっておき、両膝をつけて小幅に静かに歩きます。手を伸ばした時は、反対の手でちょっと袖を持ち、いすに腰掛ける時は浅めに、階段や車を乗り降りする時は裾を持って……と、ちょっとした振る舞いにより、あなたの魅力がよりいっそうアップするはずです。また、イヤリングやネックレスなどの装飾品は外しましょう(指輪は可)。マニキュアは、薄いピンク系の色が良いでしょう。腕時計もあまり大きくないもの、バッグは和装用の小さなものを持つことをお勧めします。日本舞踊や三味線を習いながら、その仕草を自然に学んで行くのもひとつの楽しみかもしれません。

(2009年3月)

歌舞伎アカデミー 講師 大野メリーさん


1966年に日本舞踊、1974年に三味線の名取りの資格を取得。日本、アメリカ2国をまたぎ、多くの生徒に日本文化を伝える。現在はシアトル・セントラル・コミュニティー・カレッジとタコマ近郊の自宅スタジオで、着付け、日本舞踊、三味線などを教える「歌舞伎アカデミー」を主宰。パフォーマンスの依頼も受け付ける。

Kabuki Academy TEL: 253-564-6081 ウェブサイト:www.kabukiacademy.org