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子供に漢字を教えてもすぐに忘れます。対策は……?

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

子供に漢字を教えてもすぐに忘れます。対策は……?

< 回答者|日本語教室講師 ウィルソン亜希子さん>

日本語での日常会話すべてを書いてみてください。文章のほとんどが漢字ではないでしょうか。日本語を読み書きするうえで、漢字の占める割合がいかに多いか気付くことでしょう。

海外で生活する子供達に、その漢字をどのように習得させるかは、大変頭の痛い問題のひとつです。漢字をいくら覚えてもすぐに忘れてしまう。その要因は、生活の中で漢字と触れ合う機会が少ないこと、またそれ以上に全くないということです。解決策として最初に重要な点は、漢字を難しいものだと決めつけさせないことです。漢字を学ぶことは楽しいものであり、特別に与えられたものであると認識させて漢字を教える点にあります。音だけのひらがなやカタカナとは違い、そのひとつひとつに意味を持つ文字として、日本語学習の初期から導入する方法は、多くの日本の教育者達が取り入れ始めている傾向にあります。

それぞれの漢字に意味があり、またその組み合わせにより違った言葉が作られるということをゲーム感覚で学ばせると、子供達は楽しみながら取り組んでくれます。しかしながら、小学校中高学年にもなると、一度にいくつもの漢字を覚える必要に迫られます。子供達にとって、聞いたこともない言葉や熟語を短時間内に覚えることは、苦痛でしかないでしょう。漢字学習がストレスの原因にならないよう、無理なくそれらを身に着けるには、やはり、繰り返し学習することではないでしょうか。テストで満点を取ることは、子供の努力の成果であり、本人の自信にもつながる素晴らしいことですが、満点でなくても良いのです。少しずつ確実に、忘れそうになったらまた覚える、書き順を正確に、意味を考えながら繰り返し書くことにより、自然と語彙も増えていき、読めるようにもなっていきます。読めるようになれば、書くというプロセスがゼロからの出発ではなくなり、子供の負担も少しは軽減されることになります。一夜漬けで覚えた漢字より、時間を掛けて繰り返しゆっくりと身に着けた漢字のほうが、きっと子供の記憶の中で長生きしていくことでしょう。

漢字学習は、焦らず怒らず、気長に続けることです。子供達と接する大人の心のゆとりが、いちばん大切なことではないでしょうか。

(2009年9月)

日本語教室講師 ウィルソン亜希子さん


ワシントン州唯一の石井式国語教室(教育学博士・石井勲氏の35年にわたる教育実践から生まれた指導法)として、ネイブ美枝子氏と共に「ラーニング・パーク」を3年前に開校。モットーは“幼児期からの子供の無限の可能性と才能を引き出してあげることにより、学習能力の高い子供を育てていくこと”。開校当時の生徒数は12人だったが、現在は90名以上に及ぶ。今学期より、日本語アナウンスメント・クラス、そろばんクラスも始まる予定。

Learning Park
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