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幼児期に大切な教育とは?

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

幼児期に大切な教育とは?

< 回答者|めぐみ保育園 園長 鈴木芳美さん>

「三つ子の魂百まで」と言うように、3歳までの教育がその子の人生に大きな影響を与えます。親が子供にしてあげられることは、リストにすると何ページにも及んでしまうので、今回は、最も大切だと思うことを書かせていただきます。

私が目標にしていることは、子供をひとりの人格として尊重し「情緒の安定」という土台の上で、「生きる力」と「意欲」、そして「やさしさ」を育てる教育です。子供にあふれるまで愛を注ぐこと。また、その愛が大人の自己満足ではなく、子供にきちんと伝わることが大切だと思います。例えば、「小さな望み」には応えてあげましょう。子供が小さいころに望むことは、親が今、その手ですぐにできることばかりです。それらにきちんと応えてあげれば、子供は心が満たされ、その子本来の「良さ」を十分発揮できるようになります。
コミュニケーションもとても大事です。幼児期の子供は「これ何?」「どうして?」などと聞きますが、これは子供の持っている特徴のひとつです。それで言葉を覚えるし、いろいろな仕組みも覚えていきます。しかし親が忙しくしていて「後でね」「待ってね」などと言ったら、子供はだんだん質問しなくなってしまいます。

日頃の生活の中では、何事も強制的に「やらせる」のではなく、子供に「やりたい」と思わせるようにしましょう。ただ知識を植え付けるだけより、体で体験して学んだことのほうが長く残り、ずっと覚えているものです。また、他人とのかかわりの中で、楽しみや我慢、感謝の気持ちなどを子供は学びます。何でも大人が手を出してしまうのではなく、安全な状態を確認したら、さまざまな経験ができるような環境を作ってあげましょう。将来何がしたいのかを自分の力で見つけ、それに向かって努力できるように、悲しいことや辛いことも乗り越えられる「生きる力」、何事にもチャレンジする「意欲」を育てることです。

今、皆さんの家庭環境はどうですか? 両親が言い争ったり、大きな声を出しただけでも子供の心に不安、寂しさ、悲しさ、そして影を残します。子供はうまく言葉で伝えられないので、いろいろなサインを出します。それを見逃さず、やったことを怒ったり、叱ったり、否定するのではなく、なぜそんなことをしたのかという理由を見落とさないようにしてあげて欲しいと思います。どうぞ子供の行動と気持ちに目と耳と心を傾け、彼らの小さな希望を聞いてあげてください。子供は、あっと言う間に大きくなってしまいます。素晴らしい、そしてかけがえのない命を与えられた喜びに感謝し、そして、どうか子育てを楽しんでください。

子供が英語環境にいることで英語力が伸びるのと同じように、日本語環境にいる時間が長ければ長いほど日本語力は伸びるのです。

(2010年6月)

めぐみ保育園 園長 鈴木芳美さん


13歳の時に、父の赴任地シアトルへ家族と移り住み、今年で27年。現在はアメリカの市民権を取得し、協力的で頼もしい夫と8歳、3歳の息子と暮らす。大学では幼児保育を専攻し、1992年に「めぐみ保育園」を開園。「大切な命を預かっている」という責任を心に重く感じつつ日々を過ごす。

Megumi Pre-School
TEL:425-827-2540(ベルビュー校) TEL:206-723-8818(シアトル校) ウェブサイト:www.megumipreschool.com