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後見人制度とは、どういうものでしょうか?

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

後見人制度とは、どういうものでしょうか?

< 回答者|弁護士 クリスティーナ・デヴォアさん>

後見人制度(Guardianship)とは、意思決定能力のない人のために、第3者に法的権限を与える裁判所の手続きです。この後見人制度には、「人身安全の保護の管理」と「資産管理」のふたつの種類があります。「人身安全の保護の管理」の場合、例えば高齢者に対し、安全に住める所を選んだり、必要な医療を受けているか、きちんと薬を飲んでいるかをチェックしたりするなどの細かいケアをします。「資産管理」の場合、詐欺に遭って貯金を騙し取られる恐れのある高齢者などに代わって、月々の支払いをしたり、日々の生活に必要なサポートをしたりします。裁判官は、後見人の依頼者ひとりに対し、この2種類の管理のどちらかひとつ、または両方を申し渡すことができます。

後見人制度は、未成年に対しても、成人に対しても申し立てることができますが、未成年の場合、「資産管理」の必要性はほとんどなく、日常生活に基づいた決定 ― 例えば両親以外の誰と住むか、どの学校に行くかといった、身近な決定が多くなります。この場合、後見人というより、保護者と呼んだ方が分かりやすいでしょう。

後見人を付けるということは、その人の権利や生活を左右することになりますので、その後見人を選ぶというのはとても重要な仕事です。信頼できる知人、家族がいれば、そしてその人が希望すれば、後見人になるためのコースを終了した後、プロではありませんが、法的に認められた後見人となることも可能です。身近にそのような人がいなければ、プロの後見人に頼むことになります。裁判所で手続きをする上で、弁護士が必ずしも必要なわけではありませんが、特別なルールなど、分かりにくいことが多いので、弁護士を立てることをお勧めします。

初めて後見人制度の申し立てをする時だけでなく、既に決まっている後見人を替えたい時なども、裁判所での手続きが必要となります。後見人の立場として、年1回、裁判所に記録の提出が義務付けられており、弁護士のアドバイスが必要となる時もあります。多少は意思決定能力のある人に対しては、全面的な後見人制度ではなく、健康や財政の委任状、信託などで十分な場合もあります。どちらの選択が適切かの判断は、弁護士に相談してください。

(2012年10月)

弁護士 クリスティーナ・デヴォアさん


2000年、フロリダ州で弁護士としてのキャリアをスタート、08年に夫の故郷であるワシントン州に戻る。11年から現在のブライアン・ウォーカー法律事務所勤務。主な取り扱い分野は遺言、信託等の資産計画、破産、死後の債務処理、後見人の選任など。オーナーのブライアン・ウォーカー氏は刑法が専門。小さな法律事務所で市民の権利を守っている

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