シアトルの生活情報&おすすめ観光情報

ミチコ Kornhauserさん:生け花インターナショナル

 
ノースウエストで活動するグループや活躍している人にフォーカスしてお届けするこのコーナー。
今回は『生け花インターナショナル』のミチコ・コーンハウザーさんをご紹介します。
▲戦争体験の講演について『オレゴニアン』紙に掲載された記事。手にしている写真は家族の記念写真

日本人とアメリカ人の橋渡しにと始めた生け花
『生け花インターナショナル』ポートランド第47支部は年に2回、春にはあやめ、秋には菊を使った展示会を日本庭園で開催するほか、月に1回、ピクニックなどのイベントも行っています。

現在の会員数は110名ですが、ほとんどがアメリカ人女性です。昔は日本人の会員も大勢いて、私が入会したのも日本人とアメリカ人会員とのスムーズなコミュニケーションの橋渡し役を領事館の方にお願いされたからなのです。

生け花に関しては、祖母が池坊の先生で多少の知識はあったものの、実際にしたことはありませんでした。ですから入会してから、たくさんお稽古しました。アメリカ人と一緒に生け花をするのはとても勉強になるし面白いですね。古き伝統を守りながらも、日本人には考えもつかない発想でお花を生け、すごく素敵な作品にでき上がるんです。これからも生け花の素晴らしさを皆さんにお伝えしたいですね。

戦争の悲惨さを多くの人に知ってもらいたい
私は8歳の時、岡山で空襲を受けて戦争の悲惨さを体験しました。それを元に現在「子供の目から見た第二次世界大戦」というテーマでポートランド・コミュニティー・カレッジやポートランド州立大学、日本人学校などで講演を開き、自分の戦争体験をお伝えしています。

最近は驚いたことに、子供達はおろか親御さんも第二次世界大戦についてご存じない方が多いんですよ。 「どっちの国が悪かった」ということではないんです。私自身、父を戦争で亡くしましたが、相手を憎んだところで負の感情からは何の解決策も生まれない。それどころか、 終わりのない不毛な戦いを生むだけ。そうではなく「戦争は悲惨なこと、戦争を二度と起こさないためにはどうしたら良いのか」ということを考えてほしいのです。私の体験談がそのきっかけになってくれたら、という思いでこれからもこの活動を続けていくつもりです。

弟と交わした約束が私の原点
私には弟がひとりいましたが、戦時中は食べるものがなく、栄養が取れなかったせいで亡くなりました。その時私は、まだ言葉も話せない赤ん坊だった弟と「あなたの分まで私がしっかり生きるからね!」と約束したんです。それ以来、どんな辛いことがあってもその約束を思い出し、頑張って乗り越えてきました。あの時、生きるチャンスさえもらえなかった弟のことを思えば、私はなんて恵まれているんだろう、って。人の悪口なんか言ってる暇はないですよ。常にポジティブにいろんなことに挑戦できているのも弟のおかげかもしれないですしね。
最近では友人に誘われて演劇にもチャレンジしています。何かを始めるのに遅すぎることはありません。人生、まだまだこれからです!
(取材・文/純子バイス)

ミチコ Kornhauser
生け花インターナショナル ミチコ Kornhauserさん
長崎県生まれ。ハワイ大学留学中にご主人と出会い結婚。ハワイに25年間住んだ後、ポートランドへ移住。生け花インターナショナルの窓口担当、戦争体験の講演活動や多種のボランティアをする傍ら、最近は演劇にも挑戦している。

【 生け花インターナショナル ポートランド第47支部 】
日本人とアメリカ人の親睦と文化交流を目的に、1956年に設立された非営利団体。お稽古のスケジュールは各流派の先生に連絡を取ってから決めている。
入会希望や詳細の問い合わせはミチコ・コーンハウザーさんまで(1503-246-9726)。