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美智子パンピアンさん:ワールド・ピース・プロジェクト・フォー・チルドレン主宰

 
ノースウエストで活躍している人にフォーカスしてお届けするこのコーナー。
今回は『ワールド・ピース・プロジェクト・フォー・チルドレン』主宰の美智子パンピアンさんをご紹介します。
鶴に込めた平和への願い 大切なのは“carry on”

▲禎子像修復募金と共に世界各国から寄せられた、たくさんの折り鶴や手紙

広島で平和に目覚めた

長崎で生まれ育ちましたが、当時「平和」のイメージはとてもぼんやりしていました。それが明確になってきたのは、終戦50周年に当たる1995年に広島で行われた『広島1万人子供平和集会』に参加してから。私はシンガー・ソングライターとして歌を作りますが、この時、私が作詞作曲した『禎子と千羽鶴』の歌を1万人の子供達と共に合唱したのです。その時の感動が、平和活動を始めるきっかけになりました。

それから約10年間、アートをベースとした平和プロジェクトを行っています。「アートがベース」というのは、例えば折り鶴で視覚的に訴えたり、合唱など万人が共存できる音楽をツールとして平和を呼び掛けていくことです。1999年11月に世界一大きな折り鶴をキング・ドーム(当時)で作り上げたほか、新聞記事でシアトル・ピース・パークにある被爆死した広島の女児の像「禎子(サダコ)」の片腕が切り落とされた事件を知った今春には、禎子像修復のための募金活動『アメリカ・サダコ修復募金』も行いました。この募金活動は$1の募金と翼にメッセージを書き入れた1羽の折り鶴を送ってもらうことで修復資金の不足分$3,000を集めるという、誰でも参加できる活動でしたが、日本の日刊紙への掲載やインターネットで活動が世界中に伝わったことから、目標額をはるかに上回る金額が世界各国から集まりました(修復式関連のイベント詳細はP18を参照。余剰金は『サダコ基金』として、今後の平和活動の資金に充てられる)。

この活動の目的のひとつは、鶴を折る間に平和について考えたり、折り鶴の翼に自分の平和に対する思いを書いたりすることで“子供達に考える機会を作る”ことでしたが、そうして綴られたメッセージを一つひとつ読んで、年齢に関係なく、多くの人が平和を望んでいることに感動しました。

▲禎子像の修復式は『シアトル・ピース・パーク』にて8月6日1:00 p.m.から行われる

何足ものわらじを履く生活

よく人から「主婦で3児の母。シンガー・ソングライターとして作詞作曲をしながら、『ワールド・ピース・プロジェクト・フォー・チルドレン』の主宰として平和活動もする。あなたの小さな体のどこからそんなパワーが沸いてくるの?」と言われます(笑)。でも単に自分にできることをしているだけで、気負いはありません。ただ、それを誰かが見ていて「自分にもやれそう」と勇気を出してもらえればうれしいと思います。

世界中の人達がいろいろな形で平和活動をしていますが、肝心なのは繋げていくこと。『禎子と千羽鶴』の歌詞にWe will carry on, …というフレーズがあるのですが、禎子の夢、平和への思いを私なりの形で“carry on”(続けていこう)と思っています。(取材・文/編集部)

光岡いずみさん
ワールド・ピース・プロジェクト・フォー・チルドレン主宰
美智子パンピアンさん

長崎県佐世保市出身。中学でフォークソングを歌い始め、のちにロサンゼルスのジャズ専門学校に入学。被爆した佐々木禎子さんがテーマの歌『禎子と千羽鶴』の作詞作曲や世界一大きな折り鶴作成など、アートを通じて平和を訴える非営利団体『ワールド・ピース・プロジェクト・フォー・チルドレン(425-391-3745 www.sadako.org)』を主宰している(政治活動はしてしない)。