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ハリウッドぱくり講座その1

ロゴ 第3回「アトランティス」
ハリウッドぱくり講座その1

アトランティス
© Disney. All rights reserved.

監督
Gary Trousdale, Kirk Wise

脚本
Tab Murphy


Michael J. Fox
James Garner
Claudia Christian
Mark Hamill
Jim Varney

公式サイト
disney.go.com/disneypictures
/atlantis/flash/index.html

天下のハリウッドと言えどもアイデアは不足している。その証拠に近年、リメイクや盗作もどきのアメリカ映画が増えてきたように思う。日本もよくアメリカ映画をぱくるが、まだかわいらしい。だってめちゃくちゃヘタクソに真似てんだもん。それに比べてハリウッドは悪質である。オリジナルより数倍のお金をかけて、あたかも自分が考えた案かのように思わせるからだ。

ディズニーの新作アニメ「アトランティス」にもその疑惑が懸かっている。真似をされたのは、NHKで放送された「ふしぎの海のナディア」というアニメだそうだ。私はこのアニメを知らないが、何でもストーリーからキャラクターまで“そっくりそのまま”なのだそうだ。「ジャングル大帝」をぱくって「ライオン・キング」を作ったディズニー、本当に懲りないね。告発したのがアメリカ人というから、要するに日本の関係者はまったく静観していたのだろう。情けない。だから日本人はアメリカ人に舐められるのだ。がつーんと言ってやれってんだ!

とにかく、日本の映画がぱくられるのはこれだけじゃない。キアヌ・リーブス主演の「スピード」は、実は1975年に高倉健主演で作られた「新幹線大爆破」のぱくりで、何から何までそっくりだった。「ウォーターワールド」もタイトルは忘れたけど、ある日本の漫画にそっくりらしい。

まだあるぞ。「バック・トゥ・ザ・フィーチャー」が、我が国を代表する漫画、「ドラえもん」からのぱくりだとは誰も知らないだろう。過去のある時点で父親と母親が結婚しないと現在の自分は生まれてこない、という発想は「ドラえもん」の話の中に何度も登場したし、映画会社に勤めるスタッフがこのアイデアを誰かに話したとすれば、ぱくりもありえる話だ。スピルバーグの傑作「ET」も、アニメ「のび太の恐竜」を基にストーリーを作っているのではないかという疑惑が浮上したこともあった。実際、これらの映画の特撮を担当したルーカス・フィルムの蔵書には、『ドラえもん』の単行本が全巻揃っていたそうである。

日本映画ではないが、アーノルド・シュワルッツェネガーが主演した「ジュニア」は、台湾映画のぱくりだという疑惑もある。まったく同じストーリーの台湾映画が先に作られていたのだが、この監督がニューヨーク大学に留学していた時に、「ジュニア」の脚本家も同じ大学に在籍していたことが判り、一層疑惑を募らせたのである。

不正を嫌い、正義を愛する国民性(と当人らは思っている)を持ったアメリカ人、しかも今回はディズニーのような世界中で信頼されていた映画会社が、なんでこのように明らさまな盗作をするのだろうか? 日本のアニメは世界中に輸出されているし、実際告発したのはいずれもアメリカ人の邦画ファンだった。ばれるに決まっているのに、なぜだろう? 私が考えるに、アメリカの娯楽産業は日本をはじめとするアジア諸国の著作権管理の甘さに対し危機感を持っていた。これらは、そのことに対する警告ではないか。要するに、「お前たちは正当な対価を払わず、散々俺たちの財産を食い物にしてきた。訴えたければすればいい。その代わり、俺たちも今までのお返しをするよ」、てな感じにアメリカ人は言いたいのではないだろうか。だから今まで裁判沙汰にはならなかったのだ。裁判になれば、今まで著作権法を無視してきた日本の体質を逆に告発されるからである。

ちなみに、「リング」のアメリカ版を製作中らしいが、これはぱくりではない。しっかり日本の版権保有会社にリメイク権料を払っているそうだ。

前川繁(まえかわしげる)
1973年愛知県生まれ。シアトルで4年間学生生活を過ごす。現在、東京でサラリーマン修行中。コネクションを作って、いつか映画を作っちゃおうと画策している。