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オレゴン話のたね|バックナンバー2009

オレゴン話のたね

オレゴン州在住の日本人ライターが、食、自然、文化と魅力あふれるオレゴンを、ローカルの視点から紹介。(2009年掲載記事)

*掲載の情報は( )に記された年月時点のものです。
*連載は2013年6月に終了しています。

正統派からキッチュまでそろうダウンタウンのおもちゃ屋さん
(2009年12月)


今月のレポーター/大石洋子
夫の海外勤務でアメリカに暮らし始めて19年。以前は東海岸に住んでいたが、03年からオレゴンに。雨ばかりの冬にもだいぶ慣れた。趣味は映画鑑賞と読書。ビールも好き。

ポートランドに住んでいて、これを知らなかったらモグリ!というもの(かなり独断):ファーマーズ・マーケット、ストリートカー、パウエルズ書店、そしてフィネガンズ。

ダウンタウン、中央図書館のすぐそばにあるフィネガンズは、おもちゃ屋さん。猫のマークが目印だ。ガラスのドアを開けると、店の中には色とりどりのおもちゃがところ狭しと並んでいる。かわいらしいぬいぐるみ、ボード・ゲーム、パズル、積み木、電車やクルマの模型、ままごとセット、楽器、人形、ステッカーなどなど……。文字通り、おもちゃ箱をひっくり返したという感じの光景には、子供はもちろん、大人も思わず心が躍ってしまうほどだ。

大手ディスカウント・ストアのおもちゃコーナーで嫌というほど目にするような、にぎやかで仰々しいキャラクター商品はほとんど置かれていない。プラスチック製品が多いが、木製のおもちゃも取りそろえてある。昔ながらの正統派のおもちゃはどれも品質が良く、温かみや懐かしさを感じさせるものばかりだ。

創業1977年。今やチェーン店でないおもちゃ屋としては、ノースウエスト地方で最大規模を誇る。もちろん、経営も運営も地元の人によって行われている。『チヌーク・ブック』という、エコに配慮した地元の店を集めたクーポン冊子にも掲載があり、そこでは「ポートランドのアイコン的存在」と紹介されていた。

我が家の娘は、動物や恐竜のプラスチック製フィギュアが大のお気に入りなのだが、フィネガンズでは、サイズも種類も豊富なラインナップから探せる。精巧にできた持ち重りのするものだけでなく、1個数十セントというミニミニサイズのキッチュなものもあるので、駄菓子屋感覚で楽しめるのがうれしい。

キッチュと言えば、ネジ巻き式で動くおもちゃの品ぞろえもなかなかだ。サンプルのひとつひとつのネジをジコジコと巻いて、カタカタ動くのを見ていると、飽きることがないばかりか、心がゆっくりと癒されていくのを感じる。また、もうひとつ見つけたキッチュは、ビニール製のトート・バッグ。ど派手な模様の付いたトートは、大手スーパーなどで売られている無味乾燥なエコバッグの代わりに最適で、日本へのお土産にもぴったりだ。

家族や親戚、友達などへの贈り物に頭を悩ませるこれからのシーズン、まずはフィネガンズへ足を運んでみてはどうだろう。子供用のおもちゃだけでなく、大人でもわくわくするものにきっと出合えるはず。暖炉脇に吊すストッキング・スタッファーにぴったりの、肩の凝らないギフトも見つかる。

くれぐれも、時間に余裕のある時に出掛けるようにしよう。あれもこれもみんな手に取って見たくなって、時が経つのを忘れてしまうから。また、うっかり子供を連れて行くと、いつまで経っても帰りたがらなくなるので、こちらもご注意を。

Finnegan’s Toys
922 SW Yamhill St., Portland, OR 97205
TEL: 503-221-0306
営業時間:10:00 a.m.~6:00 p.m.(日曜11:00 a.m.~5:00 p.m.)
休み:なし
ウェブサイト:www.finneganstoys.com

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フィーダー選びは慎重に 自宅でバード・ウォッチング
(2009年11月)


今月のレポーター/大石洋子
夫の海外勤務でアメリカに暮らし始めて19年。以前は東海岸に住んでいたが、03年からオレゴンに。雨ばかりの冬にもだいぶ慣れた。趣味は映画鑑賞と読書。ビールも好き。

ふと思い立って軽い気持ちで始めてみたら実はそんなに簡単なことではなくて、まるで予期していなかった労力とお金を使う羽目に陥ることがある。最近、我が家では、庭に来る鳥にエサをやろうという小さな試みが、ちょっとした大ごとになった。

いつも食事するテーブルから裏庭が見えるので、「バードフィーダーを買ってきて、あのエゴノキに吊ろうよ」というのが始まりだった。それで、近所の金物屋に行ったついでに細長い家みたいな形のバードフィーダーと鳥のエサを買い、庭に設置してみた。すぐにたくさんの鳥がエサを見つけて寄って来たのは良かったが、どうも鳥の行儀が良くない。フィーダーの中のエサをバラバラとこぼすのだ。そのうちに、そのこぼれたエサを目当てにネズミが出て来るようになった。小さな野ネズミだけならまだしも、ドブネズミっぽいふてぶてしそうなヤツも。

庭にネズミがチョロチョロ……というのは困るなあと思っていたら、たまたま娘がキャンプに参加したオーデュボン・ソサエティーのネイチャー・ストアに、バードフィーダーの下に取り付けるネットが売られているのを発見した。オーデュボン・ソサエティーは“野鳥を守る会”。全国的な組織で100年以上の歴史がある。ポートランドのそれは、ダウンタウンからクルマでほんの5分。150エーカーの自然保護区には、4.5マイルのトレイルがあって、散策が楽しめる。ワイルドライフ・ケア・センターでは、けがをした鳥が手当てを受ける。ボランティアの手により、毎年3,500もの鳥が救われているそうだ。野生に返せないと判断された鳥は、センターに残される。フクロウ、ハヤブサ、タカなど、普段はあまり見ることのない鳥をごく間近で見ることができ、子供も大喜びだ。厚い手袋をはめたボランティアの人が、デモンストレーションのために鳥を連れて歩いていることもよくあって、鳥に関する説明をしてくれる。

さて、ネイチャー・ストアで買ったネットをフィーダーの下に取り付けて、これで良し、と思ったら、ネズミは来なくなったが今度はリスが現れた。ネットはフィーダーの上部からヒモで吊るすタイプだったのだが、運動神経抜群のリスがそのヒモをつたって来て、フィーダーから直接エサを食べ出したのだ。エサはあっという間になくなり、そしてフィーダーは乱暴なリスに壊されてしまった。

こうなると、意地である。再びオーデュボン・ソサエティーのネイチャー・ストアへ。いろいろな種類・サイズのフィーダーがそろっている中から、リス除けの工夫が施されているものを購入した。エサの出口も、バラバラとこぼれないよう配慮されている。こうしてようやく、スズメを始め、コガラ、トウヒチョウやコマドリなどのかわいらしい鳥が平和にエサをついばむ姿を楽しむことができるようになった。やれやれ。

Audubon Society of Portland Nature Store
5151 NW Cornell Rd., Portland, OR 97210
TEL: 503-292-9453
営業時間:10:00 a.m.~6:00 p.m.(日曜~5:00 p.m.)
休み:なし
www.audubonportland.org

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コスチュームに凝る ハロウィーン大作戦
(2009年10月)


今月のレポーター/大石洋子
夫の海外勤務でアメリカに暮らし始めて19年。以前は東海岸に住んでいたが、03年からオレゴンに。雨ばかりの冬にもだいぶ慣れた。趣味は映画鑑賞と読書。ビールも好き。

何かというと、コスチュームを着ているアメリカ人。ちょっとしたパーティーでも突然、警官の衣装で現れ、「どっきり」風に人々を驚かせたり、いかにもポートランダーらしく、ティンカーベルの羽を背中に着け、ポートランド市内を駆け抜けるサイクリストがいたり。ましてや学校の催し物や行事ともなれば、子供達がコスチュームやドレスを着る機会は実に多い。

そんなコスチューム好きのアメリカ人に欠かせない大型イベント、ハロウィーンの季節が今年もやって来た。毎年、ハロウィーン・パーティーではどんな衣装で行ったらいいか、と散々私を悩ませてくれる。昨年はシンプルにカボチャに扮しただけで終わったが、一昨年はチャイナ・ドレスを身にまとったバンパイア(?)、その前の年は日本のコギャル風女子高生……。

毎年、ホリデー・シーズンが最速で迫って来る気がするのは私だけだろうか? バック・トゥー・スクールのセールが終了するのも待たずに、ハロウィーン・セールに突入。ハロウィーンの数週間前、皆が衣装選びで悩んでいる傍ら、ターゲットやウォルマートでは早くもサンクスギビング用の商品が並び始める。そしてサンクスギビングで食い倒れする暇もなく、クリスマス商戦へと突入する。ハロウィーンまで、まだまだ日はあるなんて気を抜いているから、中途半端な衣装で毎年登場さぜるを得ない状況に陥ってしまうのだ。今年こそは気合を入れて、コスチュームを選ばなければ! と考えながら217号線を2番A出口で降り、アニメニアに山P主演TVドラマのDVDを借りに行く途中に見つけたのが、不気味な店構えのハロウィーン・ウエアハウス。一見、初めて入るには躊躇してしまうような小さい店と思うが、中に1歩足を踏み入れると、そこはまさにコスチューム・ヘブン! さすが、年中オープンしているだけあって、品ぞろえは天下一品だ。

まず、私が今年のハロウィーン・パーティーに着て行きたいと思い描いていたチアリーダーの衣装を探した。見つけた衣装は$19.99と激安!そして、次の候補、メイドの衣装は$49.99と、まあまあお手頃だ。店の奥に鎮座するプレイボーイ・ブランドのコスチュームは$79.99。プレイボーイという割には、露出度がそんなに高くないコスチュームが取りそろえてあり、意外であった。今年はこの手で行こうかな、と悩む。

子供用衣装も、大体が$25前後で、お決まりのバービー、ドラ、ハリー・ポッター、バットマン、スパイダーマンなどなど。大人用衣装はマリリン・モンローやギャングスターなど、ピンからキリまで。ほかにも、店内の至るところに小道具やアクセサリーがずらりと並んでいて、ウィンドー・ショッピングをしているだけでも楽しめる。今年のハロウィーン衣装がまだ決まっていなくても、店を訪れればきっと、いろんなアイデアが浮かぶはずだ。

Halloween Warehouse
11465 SW Canyon Rd., Beaverton, OR 97005
TEL: 503-574-3443
営業時間:10:00 a.m.~9:00 p.m.
休み:なし
※ハロウィーン以降
営業時間:10:00 a.m.~6:00 p.m.
休み:日曜
www.halloweenwarehouseor.com

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本店で買う新鮮豆腐 懐かしいおからも
(2009年9月)


今月のレポーター/大石洋子
夫の海外勤務でアメリカに暮らし始めて19年。以前は東海岸に住んでいたが、03年からオレゴンに。雨ばかりの冬にもだいぶ慣れた。趣味は映画鑑賞と読書。ビールも好き。

つい先日の新聞で、カルシウムについての記事を読んだ。私達の骨は21歳までにその90パーセントができ上がる。だから、その時期までにしっかりカルシウムを取るのはもちろんのこと、その後は骨の維持のために、やはり日頃から必要量を摂取するのが大切、と。子供は1日に400~800ミリグラム、大人は男性も女性も1日に800~1,200ミリグラムのカルシウムを取らなければいけないとのこと。

記事には、カルシウムを含む食べ物のリストと、それぞれの含有量も載っていた。牛乳にチーズに魚……ふむふむ。自分が毎日摂取している量を計算してみたところ、なんだか足りない。多く見積もってみても、どうしても200ミリグラムぐらい足りない。サプリメントを飲まないとダメかなと思ったら、食べ物リストの下のほうに、豆腐とある。それによれば、豆腐は4オンス(1/4丁くらい)で154ミリグラムのカルシウムを含んでいるという。

豆腐なら手軽だなと思い、イーストサイドにある太田豆腐店を久しぶりに訪れた。ドアを開けるとジリリンとベルが鳴る。左手のカウンター奥は工場で、ゴム長靴を履いた人達が忙しそうに働いている。ベルを聞きつけた人が作業の手を止めてこちらに来るが、フレンドリーなサービスを期待すると少し当てが外れる。豆腐を注文し、店員がそれを取りに行き、お金を払う。以上。クレジットカードは受け付けず、現金かチェックのみでの支払いとなる。

豆腐はレギュラー、ファーム、ソフトの3種類。1パウンドで$1.60。スーパーで買うよりも少々安い。しかも、入れ物を持参すれば$1.35になる。その昔の日本で、鍋を片手に豆腐を買いに行っていた時代のようである。

スーパーではあまり見かけない、揚げ豆腐(小50¢、大$1.40)もある。おいなりさんを作るような薄揚げではなく、かと言って厚揚げほどのボリュームもない。青菜と一緒に煮びたしにして良し、トースターかフライパンで両面をあぶり、たっぷりの刻みネギにショウガじょう油をかけても良し。

壁に張られた商品リストにはないが、頼めばおからも分けてくれる。子供のころにはまるで興味の持てないおかずの筆頭だったけれど、年を取ったせいなのか、それとも異国に暮らすせいなのか、最近はしみじみおいしいと感じるようになった。適当に炒めた具と一緒におからを炒り付けて、だし汁、みりん、しょう油で味付けすればでき上がり。私は、ニンジンとゴボウ、干しシイタケ、イカの足、ちくわにグリーンピースを入れ、最後にネギを加えたらすぐに火を止める。炒って味付けしたおからを丸めて、コロッケみたいに衣を付けて揚げてもおいしい。

応対に出て来たお兄さんによると、スタッフは朝4時から店に出ているそう。ウェブサイトは持っていない。今どき日本でも多くなさそうな、昔ながらの豆腐屋である。

Ota Tofu
812 SE Stark St., Portland, OR 97214
TEL: 503-232-8947
営業時間:9:00 a.m.~5:00 p.m.
休み:日曜

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夏休み最後を締めくくる オレゴンの自然満喫バス・ツアー
(2009年8月)


今月のレポーター/大石洋子
夫の海外勤務でアメリカに暮らし始めて19年。以前は東海岸に住んでいたが、03年からオレゴンに。雨ばかりの冬にもだいぶ慣れた。趣味は映画鑑賞と読書。ビールも好き。

オレゴン、夏の観光スポット定番中の定番、クレーター・レイク国立公園とオレゴン・スカイウェイの2カ所を中心に巡る日帰りバス・ツアーに参加した!

朝9時、ユージンのダウンタウンにあるホルト・センター前で観光バスに乗り込み、いざ出発。58号線をひたすら東南に走ること約1時間。オークリッジという小さな町を通り越した辺りで、だんだんと森林地帯に突入して行く。

そして、その町から約20マイル走ったところにある、ソルト・クリーク滝の前で休憩。オレゴン州で2番目に高低差のある滝は、その豪快さに思わずため息が出る。

30分休憩もあっと言う間に過ぎ、そこからまた1時間バスに揺られると、スキー場として知られるウィラメット・パス・リゾートに着く。オレゴン・スカイウェイのゴンドラに乗り、標高6,683フィート(約2,037メートル)の頂上まで登れば、壮大なカスケードの大自然の大パノラマを見渡せる。冬にスキーを楽しむだけでなく、ぜひ夏場にも訪れたいスポットだ。

ツアーでは、この頂上に着いたところでランチ・タイムとなる。スタッフからデリ弁当を手渡され、晴天の下、おいしい昼食をいただくことができた。

58号線をさらに東南に進み、97号線、138号線を経て、ようやく本日のツアーの目玉、クレーター・レイク国立公園に到着! 毎年、冬になると平均で533インチ(約13.5メートル)もの積雪があり、その雪溶け水や雨が湖水となっていると言われている、世界で7番目に深い湖。その自然が創り出した湖は、吸い込まれるように透んだ青色が特徴的だ。

そして、湖に浮かぶウィザード島。今回のツアーでは行くことができなかったが、夏期は毎日2回、送迎ボートが湖畔から出ているそうだ。また、湖を見渡せるレストラン、ギフト・ショップ、ハイキングト・レイル、湖の歴史を紹介する施設など、1日掛けても回り切れないほど、見どころは多い。

約1時間を過ごしたクレーター・レイクを後にし、帰路に就く。途中、オデル湖に寄り、トイレ休憩。ユージンに到着したのは夜の7時過ぎだった。バスに乗っている時間が長いのが玉にキズだが、クレーター・レイク一帯の大自然に触れられることを考えれば、乗車時間など全く気にならない。

料金はひとり$69で、観光バス乗車、ランチ、クレーター・レイク国立公園入園、オレゴン・スカイウェイ利用の料金込み。8月28日まで毎週金曜に催行しており、以下のウェブサイトからオンラインで予約できる。夏休みの思い出に、参加してみてはいかがだろう。

Oregon Skyway – Crater Lake Scenic Tours
TEL: 541-393-1425
(Willamette Pass Resort)
www.willamettepass.com/summer/activities/bustours.php
※希望の日時にグループでチャーター可
予約:snowinfo@willamettepass.com

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エコとアートが結び付く!一風変わったアート・サプライ店
(2009年7月)


今月のレポーター/大石洋子
夫の海外勤務でアメリカに暮らし始めて19年。以前は東海岸に住んでいたが、03年からオレゴンに。雨ばかりの冬にもだいぶ慣れた。趣味は映画鑑賞と読書。ビールも好き。

我が家の5歳の娘にオモチャを買ってやることが少なくなった。なぜって、買ってもすぐに飽きて使わなくなってしまうから。どうせなら良いものを、と奮発したのが裏目に出る。「高かったんだから、これで遊んでよ。もったいない!」。ため息をつく私などおかまいなしに、娘はトイレット・ペーパーの芯だのパスタの空き箱だの、アップル・ソースの入っていたプラスチック・カップだのを家のどこかから見つけ出してきては、はさみで切ったりテープで貼ったり色を塗ったりしてあれこれ作っている。「ほら」。嬉々として完成品を見せに来て説明もしてくれるけれど、何がなんだかわからないこと多し。

「これ、何?」
「カイト」
「カイトって、凧?」
「そう」

どう見ても凧には見えないのだが、本人は満足げ。

イーストサイドで非営利団体が運営するSCRAP(School & Community Reuse Action Project)は、そんな“ゴミ・アーティスト”にとっては宝の山みたいな店である。元々は学校で使い残した工作材料などを持ち寄って始まったそうだが、今では「アートに使えそうなら何でも」という品ぞろえに広がった。店やオフィスで要らなくなったものを寄付されたと思われる、じゅうたんや壁紙、布などのサンプルや切れ端。カレンダーやグリーティング・カード、そのほか、ありとあらゆる紙、瓶のふた、CD、電話線、ワインのコルク、タイル、輪ゴム、リボンなどなど。アート・サプライ・ストアというよりは、ジャンクなガレージ・セールという雰囲気なのだが、美大生と思われる客達があれこれ熱心に選んでいる。

大抵のものは安く、「ひとつかみ数十セント」というものも。おもちゃ屋でおねだりされると困ってしまうけれど、この店でなら太っ腹になれる。子供に$1を持たせて好きなものを買わせるという、駄菓子屋感覚の買い物ごっこも楽しめそうだ。10¢の布の切れ端を前に、「どれがいいかなあ」と真剣に迷っている娘の姿を見ると、子供にとっては値段の高い安いは関係ないんだな、と思い知らされる。

夏休み期間は、6歳~12歳の子供を対象に、7月13日の週から4週にわたりアート・キャンプが開催されるという。月~金曜9:00 a.m.~4:00 p.m.の日程で、紙製のマスクやメタル製のロボットなどを作り、料金は軽食込みで1週間$250。これを高いと思うかリーズナブルと思うかは人それぞれだが、既成の工作材料で作ったものとは違う味わいの、この世にふたつとないアートが完成することは間違いない。子供達の創造力を刺激してくれるだけでなく、あらゆるものを再利用するというエコ意識も高めてもらえそうだ。

The SCRAP Store
2915 NE Martin Luther King Jr. Blvd., Portland, OR 97212
TEL: 503-294-0769
営業時間:11:00 a.m.~6:00 p.m.(水曜~7:00 p.m.、日曜~5:00 p.m.)
休み:月・火曜
ウェブサイト:scrapaction.org

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日本風のナスやキュウリも!ナーサリーで学ぶ野菜作り
(2009年6月)


今月のレポーター/大石洋子
夫の海外勤務でアメリカに暮らし始めて19年。以前は東海岸に住んでいたが、03年からオレゴンに。雨ばかりの冬にもだいぶ慣れた。趣味は映画鑑賞と読書。ビールも好き。

自宅の庭で野菜を育てる人が増えている。野菜の種の売れ行きは2桁の伸び率を示しているそうだ。不景気ばかりが理由ではない。地産地消のムーブメントがひとつ。また、安心して食べられるものを食卓に、という理由もあるだろう。我が家も、昨夏に庭の芝生をはがして菜園を作った。芝生を刈るのが面倒だから、そして娘が喜ぶだろうから、という短絡的な理由で始めたのだが、図らずもトレンドに乗った格好になり、少々こそばゆい。

どうせなら日本風の野菜を植えたいなと思っていたら、「ポートランド・ナーサリーにナスやキュウリの苗が売られている」と、出入りの園芸業者が教えてくれた。

昨年は畑の完成が遅くて、ナスもキュウリも植えられなかったが、ハーブのセクションで見つけたシソの苗は立派に育ち、夏の間ずっと堪能できた。シソと称して売られているものには当たりハズレがあり、日本からの種でも「これ、エゴマと違う?」と言いたくなるような香りのものも。しかし、このナーサリーの苗は正真正銘のシソだったので感心した。たしか、赤ジソもあったと記憶しているから、今年はそれも植えて、シソ・ジュースを作りたいと考えている。

思い付きで始めた野菜作りは、ほとんど暗闇の中を手探りで歩いているようなものだけれど、そんな中、ポートランド・ナーサリーは行く手に見える明かりのようだ。シーズン中は、野菜作りに関するクラスが毎週末のように行われているし、ウェブサイトには野菜の種類別に育て方が細かく記され、いつごろに何を植えたら良いのかがわかる便利なカレンダーもある。

昨年の秋に参加して楽しかったのが、アップル・テイスティングのイベントだ。ポップコーンに絞りたてのアップル・サイダー、陽気な音楽にホット・ドッグ。そして何と言ってもメインはリンゴの試食である。リンゴだけでなく、ナシの種類も豊富。いろいろ試してお気に入りを見つけたら、翌春には、そのリンゴの苗をここで買うこともできるのだ。

アメリカ農務省によれば、$100の野菜の種や肥料から$1,000分の収穫が見込めるという。別の調査では、$50の投資で$1,200分の収穫とも。うちの菜園からそんなに採れている実感はないが、それでも、サニーレタスは毎日食べても追い付かないくらいの勢いだったし、プチトマトも9月に青いまま収穫したのをボウルに入れてキッチンに置いていたら真っ赤に色付き、12月初めまで掛かって食べた。そういうのをお金に換算してみると、結構な節約になっているのかも。

1日6時間以上、日の当たるところなら、大抵の野菜は育てられる。今シーズン、家庭菜園に挑戦してみてはどうだろう。

Portland Nursery
5050 SE Stark St., Portland, OR 97215
TEL: 503-231-5050
9000 SE Division St., Portland, OR 97266
TEL: 503-788-9000
営業時間:8:00 a.m.~7:00 p.m.(金・土曜~8:00 p.m.)
休み:なし
ウェブサイト:www.portlandnursery.com

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学食と呼ばないで!ユニークで温かみのあるカフェ
(2009年5月)


今月のレポーター/大石洋子
夫の海外勤務でアメリカに暮らし始めて18年。以前は東海岸に住んでいたが、03年からオレゴンに。雨ばかりの冬にもだいぶ慣れた。趣味は映画鑑賞と読書。ビールも好き。

トラベル・チャンネルの「No Reservations」という番組をよく見ている。シェフ兼ライターのアンソニー・ボーデインが世界を旅して、行く先々でいろいろなものを食べるのだ。シアトルとポートランドをまとめて紹介していた回はとりわけ興味深く見たが、シアトルは洗練グルメの街として描かれていたのに、ポートランドは奇妙な街という取り上げられ方だった。料理にまつわる刺青をした料理人、ヘンテコなドーナツばかりを売る店……などなど。ポートランドにだって洗練された食べ物があるのに! と思う一方、ポートランダー達は案外、こういう捉えられ方は嫌いではないかも、という気もした。「Keep Portland Weird!(変わり者の街、ポートランドのままでいよう!)」というバンパー・ステッカーにお目に掛かることがしばしばあるから。このフレーズに出くわすたびに、私はHands On Cafe´のことを思う。

このカフェは、ポートランドのNW地区に立地する美術大学の中にある。要するに学食なのだが、学食と呼ぶには拍子抜けするほどこぢんまりとしている。

黒板に書かれたメニューは日替わり。サンドイッチ、パスタ、スープ、シチュー……。前に食べたアレが食べたい!という時には、同じものにいつ巡り合えるかわからないからやや不便。でも、気に入ると同じものばかりオーダーしがちな私にとっては、新しいメニューを試す良い機会になる。

今までに食べた中でいちばん気に入ったのは、サンデー・ブランチで注文したラムのシチューだ。ソテーしたほうれん草の上に、ピンク色のラム肉。付け合わせは、クスクスのサラダ、そしてキュウリのヨーグルト・サラダ。ラム肉は単独で食べても美味だが、付け合わせと混ぜるとまた新しい味わいが口の中に広がる。最後のひと口まで飽きずにおいしく食べられた。また、ある日のランチに食べたモロッコ風ナスのスープも忘れ難い。トマト・ベースに、エスニックな味付けが心憎かった。

料理を盛り付けた皿は色やデザインがまちまちだが、どれもぽってりと厚みがあって、カフェの温かい雰囲気を象徴している。カジュアルなテーブルを囲む壁には、カレッジの生徒かあるいは卒業生によるアートが。こちらも定期的に替えているらしく、いつも違うアート作品が楽しめる。

訪れるたびに面白い発見がある、ユニークなカフェだ。

Hands On Café
(Oregon College of Art and Craft内)
8245 SW Barnes Rd., Portland, OR 97225
TEL: 503-297-1480
営業時間:ランチ 月~金曜11:30 a.m.~2:00 p.m.、ディナー 月~木曜5:30 p.m.~7:30 p.m.、ブランチ 日曜9:30 a.m.~1:30 p.m.
休み:土曜
ウェブサイト:www.ocac.edu/#/about-ocac/campus/hands-on-cafe/

※現金かパーソナル・チェックのみで、クレジットカードは受け付けない。

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世界が広がる 地元図書館の活用法
(2009年4月)


今月のレポーター/大石洋子
夫の海外勤務でアメリカに暮らし始めて18年。以前は東海岸に住んでいたが、03年からオレゴンに。雨ばかりの冬にもだいぶ慣れた。趣味は映画鑑賞と読書。ビールも好き。

少し前に5歳になった娘の、読書のパターンが変わった。いや、読書と言っても、まだまだ大人が読んで聞かせてやらなければならないのだが、以前は同じ本を何度も読みたがったのに、今は読んだことのない本を読みたがる。もちろん、次から次へと買い与えるわけにはいかないから、地元の図書館にお世話になっている。

最近の図書館はオンライン化が進んでいるので、本選びやアカウントの管理が、家にいながら手軽にできる。私の絵本選びは、気に入った著者やイラストレーターの作品をしらみつぶしに借りていく、というやり方。図書館のウェブサイトにある検索エンジンに著者名を入れると、郡内すべての図書館の蔵書が検索される。出てきた作品リストの中から借りたい本を選んで予約すると、地元の図書館に本が届けられ、「ご注文の本が来てますよ」と連絡が入る仕組みだ。借りた本の期限を延長するのもオンラインでできるから、本をうっかり返し忘れて、罰金を払う羽目になるのも避けられる。

図書館のメンバーになるのは簡単だ。写真付きIDを持って行き、申込書に記入するだけ。私はマルトノマ郡に住んでいるのだが、同郡だけでなくワシントン郡の図書館カードも持っている。これは、郡相互の取り決めによるもので、前述の2郡に加えて、クラッカマス、フッドリバーの両郡、それからワシントン州の一部の郡も参加している。マルトノマ郡の図書館になかった本がワシントン郡の蔵書に見つかることも多く、便利なシステムだ。

図書館にはそれぞれの味わいがあるけれど、ポートランドのセントラル・ライブラリーは一見の価値あり。重厚で美しい建物は、1913年に造られたもの。ロビーの奥にある石造りの大階段に施された細工を、ひとつひとつ見ていくのも楽しい。延べ17マイルにも及ぶ本棚には、875トンもの蔵書が収められているという。3階にはちょっとしたギャラリー・スペースがあり、本にちなんだアートの展示が見られる。

アメリカの図書館だから英語の本ばかりでしょ、と思いきや、日本語の本やDVDが置いてあるところも多い。検索のキーワードに「Japanese language edition(またはmaterials)」と入れてみよう。意外な掘り出しものに出合えるかもしれない。また、どの図書館でも、イベントが常時行われている。読書クラブや子供のためのストーリー・タイムに始まり、編み物グループ、チェス・クラブ、映画鑑賞会、英語の会話グループなどなど。図書館カードをひとつ作るだけで、世界がぐんと広がるのである。

Multnomah County Central Library
801 SW 10th Ave., Portland, OR 97205
TEL: 503-988-5123
開館時間:10:00 a.m.~6:00 p.m.
(火・水曜~8:00 p.m.、日曜12:00 p.m.~5:00 p.m.)
休み:なし
ウェブサイト:www.multcolib.org

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エコなクーポン・ブックで地元ビジネスを応援
(2009年3月)


今月のレポーター/大石洋子
夫の海外勤務でアメリカに暮らし始めて18年。以前は東海岸に住んでいたが、03年からオレゴンに。雨ばかりの冬にもだいぶ慣れた。趣味は映画鑑賞と読書。ビールも好き。

英語に「You are what you eat.(何を食べるかであなたがわかる)」という表現があるが、「You are where you shop.(どこで買うかであなたがわかる)」とも言えるのではないかと思っている。

そんなことを考えたのは、『Chinook Book』を使い始めてから。これは、EcoMetroという団体が発行するクーポン・ブックで、環境に配慮した製品やそれらを扱う店のクーポンが300枚以上掲載されている。食料品店、レストラン、おもちゃ屋、ミュージアム、自転車屋、園芸店などなど、掲載されているのは地元のビジネスがほとんどだ。
使い始めてから1カ月と少し。これまで、この本のおかげで$41を節約でき、無料の買い物袋をひとつ手に入れた。クーポン・ブックの値段は$20なので、すでに元が取れた勘定だ。

しかし、すっかりお得というわけではない。「$25以上買ったら$5オフ」のクーポンを使うのに、普段行かない店にわざわざ出向いたり、また、割引なしでも大手チェーン店で買ったほうが安かったりすることもある。そんなクーポン・ブックを、それでもせっせと使っているのは、新しい店を知るのが楽しいことと、環境に対する意識が高い地元ビジネスをサポートしているという満足感による。

1パウンドのコーヒー豆を半額で買えるというクーポンにつられて訪れたカフェでは、豆を入れる袋に自然分解する素材が使われていた(普段行く店はビニール袋を使用)。我が家からそう遠くないところに、地元農家から仕入れた野菜を売る共同組合式の小さな食料品店があると知ったのも、このクーポン・ブックのおかげである。
つい先日、「安さだけで買うな」という記事が日本の新聞に載っていた。安さばかり追求しないで、応援したい店で買おう、という内容だった。クーポン・ブックで紹介されている店はどこも、安さでは大手チェーン店に太刀打ちできない。でも、彼らは利益や効率だけを追うことなく、理想や志を持って商売をしている。どの店もユニークで、店員達が店を誇りに感じている様子が伝わってくる。

このご時世、安さを求めずにいるのは難しい。でも、消費者が安さだけを追求すれば、小さな地元ビジネスは廃れ、大規模な全国チェーンの店だけが生き残っていく。私達はそんな社会を求めているのだろうか? 普段、何気なくしている買い物も、実は私達の未来を形作っている。「将来を買っている」と言っても、大げさではないかもしれない。応援したいビジネスすべてをサポートすることはできないが、そういうことを考えるきっかけになったという点で、このクーポン・ブックを買ったことは、すでに価値があったと思っている。

Chinook Book Community Coupons
ウェブサイト: www.ecometro.com
オンラインまたは地元取り扱い店(上記ウェブサイト参照)で購入可能。2009年版のクーポン有効期限は、ほとんどが11月30日。新年度版は9月ごろから売り出される。ポートランド版ほか、ユージン版、シアトル版、イースト・ベイ版、ツイン・シティーズ版もあり。

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もっとリゾート+グルメの スノボ・ツアー
(2009年2月)


今月のレポーター/Yuka M.
約7年前、都立高校を卒業直後にシアトルに渡米。オレゴン大学を卒業し、ノードストロームや州政府勤務を経て、現在はルイス&クラーク大学院教育学部で高校数学教員免許を取得中。夫のカート、犬2匹と共にセーラムに在住。時間があれば、ジョギングやテニスを楽しみ、料理やワイナリー巡りは欠かさない。

冬と言えば見逃せないのは、マウント・バチェラー・スキー・リゾート。オレゴン州のど真ん中、ベンド近郊に位置するこの雪山は、ポートランドからはクルマで約4時間掛かるが、行けば絶対満足できる最高のリゾート地だ。今回は、我が家で毎年の恒例行事となっているスノボ・ツアーの内容を紹介しよう。

まずはパイン・マーチン・エクスプレスに乗って、山の中腹へ。メインのリフトなので常時混んでいるが、滑り始めれば混み具合を感じさせない広々としたコースが至るところにあり、悠々と滑走可能。サミットまで行ってみると、オレゴンの大自然を独占している気分を満喫できてお得だ。疲れたなと思ったら、中腹へ戻り、ロッジのカフェでホイップクリームたっぷりのモカを啜る。そして疲れが癒されたところで、もうひと滑り。うまく下山したなら、「頑張った自分に乾杯」とばかりに地ビールを飲み干す。そんな繰り返しのスノボ三昧の1日は、終わったころには思いっ切り疲れるが、満足度は高い。

こんなに疲れるのだから、宿泊はゆっくりできる場所にしたいもの。山麓からクルマで約20分離れた、サンリバー・リゾートがオススメだ。私はいつも10人程度の団体を引き連れるので、どうせならと、ひとつのキャビンを丸ごと借りてしまう。ほとんどのキャビンは屋外ジャグジー風呂が付いており、疲れた体を癒すのにこれ以上のものはない。

お腹がまだ癒されていないと思えば、ベンド市街に繰り出し、デシュートス・ブルワリー本店へ。ワイワイ騒ぎながら、極上の地ビールとエルク・バーガーを頬張り、お腹も完全に満たされる。翌朝、ベラ・クチーナでいただくブラッディー・マリーで、疲れた体と二日酔いにとどめを刺すと、さすがに疲れがピークに達し、心おきなく家に帰れる。

帰路に就く前にもうひとつ寄っておきたいのが、カフェ・シントラ。自称“ラテの鬼”の私がやっと出合った、クリーミーでコクのある完璧なラテを前に、毎年私はこのカフェで「家に帰りたくない!」と駄々をこねるのである。

Mt. Bachelor Ski Resort
13000 SW Century Dr., Bend, OR 97709
TEL: 1-800-829-2442
www.mtbachelor.com

Sunriver Resort
17600 Center Dr., Sunriver, OR 97707
TEL: 1-800-801-8765
www.sunriver-resort.com

Deschutes Brewery
1044 NW Bond St., Bend, OR 97701
TEL: 541-382-9242
www.deschutesbrewery.com

Bella Cucina Italian Cafe
450 SW Powerhouse Dr., #400,
Bend, OR 97702
TEL: 541-385-7774
www.bellacucinacafe.com

Café Sintra
1024 NW Bond St., Bend, OR 97701
TEL: 541-382-8004
www.cafesintra.com

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100%生物燃料を提供する エコな給油スタンド
(2009年1月)


今月のレポーター/Yuka M.
約7年前、都立高校を卒業直後にシアトルに渡米。オレゴン大学を卒業し、ノードストロームや州政府勤務を経て、現在はルイス&クラーク大学院教育学部で高校数学教員免許を取得中。夫のカート、犬2匹と共にセーラムに在住。時間があれば、ジョギングやテニスを楽しみ、料理やワイナリー巡りは欠かさない。

アメリカ各地から注目を集めるエコ・ビジネスがオレゴン州に誕生した。バイオディーゼル、エタノールの2種類を提供する、米国初の100%生物燃料ステーション「セクエンシャル」だ。

ここで購入できるバイオディーゼルは、オレゴン州とワシントン州南部で展開するバーガービル・レストランとケトル・フーズから出る、使用済みの食用油から造られている。

エタノールは、とうもろこし100%の植物由来で、他社製品と変わりはない。しかし、創始者のイアン・ヒルさんによると、とうもろこしのカスやレストランから出る食べ残しなどを使って、エタノールを作る試みが現在行われているそうだ。

その給油スタンドは、ブラウンズ・フィールドという荒れ果てた地に建設された。工事に着手する直前に注射器が300本も見つかったり、大麻の残がいや血痕があったりと、土地の荒れ具合は半端ではなかったという。そんな場所に、太陽光と風のエネルギーだけで電気が供給される、真新しいエコな建物が造られた。

併設するコンビニエンス・ストア東側の壁は、断熱材を分厚くし、太陽光熱を遮断。そのため、店内の気温が上がりにくく、夏でもクーラー要らずだ。屋根には4,000本もの植物が植えられ、一度は逃げてしまったミツバチも戻って来たとか。店内に入って、ちょっとアイス・コーヒーでもと思いオーダーすると、とうもろこしから作られる生物分解性のあるコップに入れてくれる。ゴミとして捨てても、やがて土に還るので安心だ。

給油スタンド、コンビニエンス・ストア共に、エコへの力の入り具合はかなりのもの。同社ではそのほかにも、家庭暖房用バイオディーゼルを提供し、子会社では飲食店から使用済み食用油を買い取るサービスも行う。また、一般家庭で出される使用済み食用油を寄付できる施設を、ポートランド、セーラム、ユージン周辺に設置している。

バイオディーゼルの使用は地球にやさしいだけでなく、種類によっては、レシートを取っておくと最高で$200の所得税控除も得られる。

現在、ポートランド周辺にはバイオディーゼルを供給するステーションが6カ所存在する。このようなサービスを提供する場所が、オレゴン州内で、全米で、これからもっともっと増えていくことに期待が持てそうだ。

SeQuential Biofuels
86714 McVay Hwy., Eugene, OR 97405
TEL: 541-736-5864
営業時間:6:00 a.m.~9:00 p.m.
休み:なし
www.sqbiofuels.com

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*掲載の情報は( )に記された年月時点のものです。

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