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滞米3年で労働ビザを持っています。住宅ローンの利用は可能ですか?

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

滞米3年で労働ビザを持っています。住宅ローンの利用は可能ですか?

< 回答者|モーガン・キャピタル モーゲージ・コンサルタント 広瀬王亮(きみあき)さん>

質問の相続権ですが、これは市民権にはあまり関係ありません。しかし、相続するもの(資産、遺産)と市民権は大いに関係する場合があります。今回はアメリカに住んでいる国際結婚の夫婦の、アメリカでの資産に掛かる国の税金と市民権との関係についてのみ、お話しします。

故人にたくさんの資産があったとしたら、市民権を持つことに意味があるでしょう。なぜなら、1988年の法律改正により、夫婦のどちらかが市民権を持たない場合、「配偶者控除(Marital Deduction)」を受けられないからです。

2009年まで、資産に掛かる税金の控除額は$2,000,000です。米国民であるなしにかかわらず、(遺言書によって)与えられた額がいくらであっても、この額が税金対象から除外されます。市民権を持たない日本人の妻の場合、もし夫の遺産が$8,000,000とするなら、ほかの資産運営などに使わず全額を妻が相続すると仮定して、遺産のうちの$2,000,000は税金が免除されますが、$6,000,000に税金が掛かります(2006年の場合、$6,000,000×46%が納税額です)。一方、夫婦どちらも米国人なら配偶者控除が受けられるので、$8,000,000の遺産は国から課税されることはありません。よって、明らかに市民権を持つことが相続税対策になります。問題となるのは、資産が$2,000,000前後の場合でしょう。最近のノースウエストの住宅事情を考えると、$2,000,000以上の資産を持つことは稀ではありません。米国の資産に掛かる税率は、2006年で46%ですが、2007~2009年には45%になるでしょう。ちなみに、生命保険での支払いも資産に含まれます。

市民権を得るほかにも、相続税対策の方法がありますが、資格を持つ弁護士に相談する必要があります。ひとつの方法として、配偶者の死後まで納税を先延ばしにできるQDOT(Qualified Domestic Trust)というものがありますが、「配偶者控除」としては望ましくありません。ほかにも、米国民である配偶者の資産の額を減らすために、米国民でない配偶者に、1年につき$110,000以内の資産を贈与することもできます。いずれにしても、資産運用を専門とする弁護士にご自分の状況を相談することをお勧めします。

(2006年12月)

モーガン・キャピタル モーゲージ・コンサルタント 広瀬王亮(きみあき)さん


うどんのおいしい香川県出身。徳島大学在籍後、ワシントン州立大学国際経営学部を卒業。日本の外資系企業での営業担当、アメリカでのファイナンシャル・アドバイザーを経て、現在はモーゲージ・コンサルタントとしてモーガン・キャピタル社に勤務する。

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