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短時間で洋室を和風にリフォームする方法を教えてください。

さまざまな分野の専門家が読者の皆さんの質問にお答えします。

短時間で洋室を和風にリフォームする方法を教えてください。

< 回答者|建築業 内田晃史さん>

物事には基本と応用があります。読者の皆さまは洋室を和風部屋にリフォームしたいと思う時、まずは畳や障子、襖を入れたり、掛け軸を壁に掛けたりすることをお考えになるでしょう。しかし、当方が和風の基本を考える場合、それが和風部屋であっても和風庭園であっても、本当の和風の美というものはそのシンプルさにあると考えています。

和風庭園においては日々のメンテナンスの行き届いた清らかな自然空間を、和風部屋においては整理整頓され、静寂し落ち着いた空間が基本だと思います。たとえ豪華な和室があったとしても、その和室が整理整頓されていなければ、その美は損なわれます。だから、部屋の大小にかかわらず洋室を和風部屋に変えたい場合、まずは不要と思われる物を取り除き、収納するべきです。日本の和室がすっきり見えるのは、押し入れなどの収納スペースが付いていることも影響しているのではないでしょうか。その片付いた部屋に、和風小物や日本の美術・工芸品を吟味して飾れば、少なくともその空間を和風部屋に見立てることができるでしょう。しかし、ここで注意しないといけない点は、物を飾り過ぎても和風の基本である清楚さが損なわれるということです。このような事柄を、和風部屋を造りたい方々の基本理念としていただけたらと思っております。

その基本理念をベースとして、畳、障子、襖、床の間など、個々のニーズに合わせたさまざまな和風部屋化への応用が考えられます。和室には、まず畳です。洋室に畳を敷くだけで、その空間は和風になり得るので、畳は和室の原点かもしれません。畳に関しては、当方ではカスタムサイズの畳を製造しております。またウェブサイトで検索すれば、約3×6フィートほどのサイズの畳なら一般的に購入することもできるでしょう。その他、日本から帰られる際に、安価なゴザなどを持ち込んで畳代わりに利用するのも良いかもしれません。障子に関しては、お近くの材木店でウエスタンレッドシーダーやダグラスファーなど、針葉樹系の乾燥した材木を用いて、簡単なものであればご自身で制作することも可能だと思います。

「和風の美」とは、洗練された素材の美と空間をいかにさりげなく生かすかが重要かもしれません。

(2009年12月)

建築業 内田晃史さん


三重県出身、97年に渡米。エベレット・コミュニティー・カレッジNBI茶室及び西山庭園建設、シアトル神護寺本堂新築、05年にはK邸本宅及び別棟数寄屋風改築においてA.I.A. Award受賞。大小合わせて70点以上の作品がある。アメリカで和室を造る人のために、日本の木工道具の使い方、及び障子制作や床の間の建築方法などを解説する“How to Build”シリーズのDVDを作成予定。

Koji Uchida’s Japanese Construction TEL: 206-369-5012