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【私の転機】在ポートランド領事事務所 総領事 内山浩二郎さん

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シアトルやポートランドで活躍する方々に人生の転機についてインタビュー

2016年4月に着任した、在ポートランド領事事務所の内山浩二郎総領事。さまざまな国で暮らしてきた中でも、ポートランドはとても住みやすいと言う総領事に、転機をうかがいました。(2016年12月)

在ポートランド領事事務所 総領事 内山浩二郎さん
内山浩二郎(うちやま・こうじろう)
北海道出身。1956年生まれ。北海道出身。大阪外国語大学卒。1979年外務省入省。在ボストン日本国領事館を皮切りに、米ニューオーリンズ、ガーナ、米ヒューストン、ポーランド、オーストラリア、インド、アイルランドなどの各国の大使館、領事館に勤務。2016年4月、在ポートランド日本国出張領事事務所総領事に着任。

小6の時、父から英和辞典を買ってもらい、英語に興味を持ちました。そして、中学に上がると英語にのめり込み、いつしか、将来はいろいろな国へ行って、英語を使って仕事をしてみたいと思うようになったんです。79年、外務省に入省しました。
 
学生時代、英語の成績は良く、自信があったのですが、研修先のマサチューセッツでは、日常会話も電話も苦労し、その自信はもろくも崩れ去りました。今でこそ英語でスピーチなどしていますが、語学は毎日が勉強ですね。
 
研修の後はボストン領事館に配属。領事館に配属された外務省の若手は広報文化を担当するのが常です。現地の学校へ出向いて日本を紹介したり、メディアに日本の情報を提供したりしていました。当時、捕鯨に関する問題が大きくなってきており、領事館の前で大規模なデモが行われたこともありました。これからは日本の姿勢をもっと海外に発信していく必要があると実感しましたね。

– 外国にいるからこそ 痛感する広報の大切さ
その後は、東京での勤務を間に挟みながら、オーストラリア、インド、アイルランドなどの領事館や大使館での勤務を歴任してきました。
 
その間、食料危機に瀕したガーナでは、世界銀行などの支援で物資が流通するようになった様子を目の当たりにしたり、共産主義から民主主義に変わったばかりのポーランドでは、国が大きく変わる瞬間に居合わせたり、印象深いことが数多くありました。外務省の職員は、キャリアの半分を日本、半分を海外で過ごすことが多いのですが、私は海外での勤務が3分の2を占めます。子どもの頃から外国に行きたい思いがありましたし、外務省で働く以上は外国に出てナンボだと思っていますから、できるだけ外に出たいと希望してきたんです。
 
こうして、長年、外から日本を見てきたことで、日本について日本国内からの情報発信がかなり少ないと感じるようになりました。先ほどの捕鯨問題にしても、特定の国との歴史問題にしても、外国語を使って日本から発信していかないと、外国の人はよく分からないだろうな、と。日本ってある意味行儀が良過ぎて大人しいですから。間違っていようが正しかろうが、言うことだけは言わせてもらうという姿勢の国が多いので、それに対抗していくには、今の日本を伝える努力をしないとだめだと思っています。

– 総領事就任と、 これから目指すもの
そして16年4月、現職に就任しました。これも転機になるでしょうか。いろいろな場に呼んでいただき、出かけることで、アメリカ人、日本人問わず、日米あるいはオレゴン、ポートランドのために活躍、苦労してきた方々に大勢出会いました。百数十年にも渡るオレゴンの日系人の歴史について、実際に歴史に翻弄された方から話を聞く機会もあり、本当に頭の下がる思いです。これからは、こういった功労者の方々にできるだけ会い、お礼を伝えていきたいと思うようになりました。
 
総領事とは、その地域の日本の顔のような責任の重い仕事で、ある意味、広報のような仕事です。日程の調整が付く限り、声をかけていただいた場には出席するようにしてます。それが、今の日本を伝えることにつながっていきますから。

在ポートランド領事事務所 総領事 内山浩二郎さん
▲ マンガの祭典Kumoriconにて、故郷函館のゆるキャラ「イカール星人」の帽子を被ってスピーチ。
 
*情報は2016年12月現在のものです